タワーマンションだらけの街に思う

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

最近、購入を検討中のマンションを評価して欲しいというご依頼にはタワーマンションが非常に多くなりました。

タワーマンションが建てられる場所は首都圏広域に広がっていますが、特に集中しているのは湾岸地区で、東京都品川区、港区、中央区、江東区です。中でも中央区が最近は目立ちます。

そのせいもあって、中央区にはよく現地調査に出かけることが多いのですが、いくつかの街で感じるのは、右を向いても左を見てもタワーマンションだらけになって来たなということです。

タワーマンションと誰が言い出したのか定かではありませんが、以前は単に超高層マンションと呼んでいたものです。当たり前ですが、タワーマンションと呼ばず、超高層マンションと呼んでいた時代は、「超高層」というだけで希少価値の高い物件と評価されていました。

しかし、最近は超高層マンションが占める割合が増えて、「タワー」というだけでは希少価値も何もないこととなりました。
今日はタワーマンションの価値について、改めて考えてみようと思います。

●タワーマンションのメリット
タワーマンションは人気を博する例が多いですが、どのような魅力があるのでしょうか?

① (タワーに限らないが)都心にあるので、地震で交通機関がストップしても、帰宅難民にならずにすむ。

② タワーマンションは、ほとんど例外なく免震構造や制振構造で建築されているので、大地震が来ても揺れが小さく、家具の転倒による怪我など二次災害に遭いにくい。

③ 災害対策も充実しており、ライフラインが切れたときのために非常用設備(飲料水生成装置・太陽光電源・簡易トイレ・かまどなど)も充実している物件が多い。

④ タワーマンションは、大抵が戸数300戸以上の大規模な物件なので、ホテル並みの豪華な共用施設がふんだんに用意され、またコンシェルジュを置いて住民サービスに当たるなど、付加価値の高い物件が多い。

⑤ 既成市街地の駅前再開発の一環として誕生することが多いので、ペデストリアンデッキで駅まで繋いだものもあるなどアクセスが良いことに加えて買い物施設が充実しているなど、生活利便性が非常に高い。

⑥ 眺望という無形の付加価値が付いてくる(住戸位置によって異なるものの、富士山や東京タワー、スカイツリー、レインボウブリッジといった魅力的な光景をリビング内からいつでも見ることができる)。これが最大のメリット・魅力となっている。

●タワーマンションのデメリット

メリットがあれば、必ずデメリットもあるものです。それを整理してみましょう。

① 地震との関連で考えるとエレベーターが止まったとき、外出が困難になる。 
(階段は下るのも結構つらいものです。勿論、時間帯によっては外出している家族もいるはずですから、帰宅の際に階段を上るのに骨が折れることでしょう)

② 管理費や修繕積立金がやや高い。
(超高層であることから、将来の大規模修繕などに要する経費は高くなりがちです。また、大型物件が多いタワーマンションですから、スケールメリットがあるはずですが、それでも高くつく例が多いようです。管理費に至っては、共用施設や住民サービスが多過ぎるのか、平均より高く設定されています)

③ 方位の悪い住戸が多い。
(場所によっては、そのVIEWが売り物であることから、北向きでも人気を博する物件が多いようです)

④ 開放廊下タイプも少なくないが、内廊下タイプのタワーマンションでは風通しが悪い、採光のない個室ができるなど、間取りに難点のある例が多い。

●VIEWの良さは必ずしもメリットではない?

眺望の良さを最大のメリットと言いましたが、これをもう少し掘り下げしてみましょう。

眺望のメリットは高層階の住戸に限られます。例外があるとすれば、隅田川や多摩川などの幅の広い河川や大公園などに面する立地のマンションということになるでしょう。

眺望が良いのは夜景だけというタワーマンションも多いように感じます。都心部のタワーマンションを内覧したときに分かったのですが、階数によっては既存の低いビルの屋根が視界に入ると、景色が良いとは言えないのです。屋上が緑化されていれば綺麗かもしれませんが、そんなビルが連続しているところはありません。
従って、いい眺めだと感じるのは夜間だけとなります。階数を選ぶときに気を付けたい点です。

超高層マンションが今後も増え続けるので、購入時点のVIEWは将来も保証されることはないという点には気を付けなければなりません。

超高層マンションがまだ珍しかった時代は、低層階であっても超高層マンション住んでいるというだけで誇らしく思えたものですが、現在その感覚は持てないかもしれません。真にVIEWの良い高層階住戸だけが、タワーマンション本来の価値を享受できることになりそうです。

景色という奴は5分も見たら飽きるものですが、リビングから見える特別な光景は秘かな我が家の自慢となりそうで、やはり高い価値を持つと言えましょう。

ある契約者はこう語ったという話を聞きました。「手紙に書く住所の末尾4けたの数字3000番台は30階に住んでいると伝わりますもの。〇〇タワーと書き込まなくてもね」と。
別の人は、「何階ですかと聞かれたとき、2階とか3階とかは言えないよ。やっぱり20階とか30階と答えたいね。次の質問が、“それじゃあ景色が良いでしょうね”と来るからねえ」と嬉しそうに話したそうです。

●総合判断でタワーマンションの価値は?

将来、タワーマンションだらけの街になったら、もはやタワーマンションに住んでいるというだけでは誇りになりません。
そんな予想が確実として、中低層階で眺望も特に良いわけでもないという条件のタワー物件を買ってしまったら、そのとき我が家の価値はどのようなことになるでしょうか?そのような心配の声も最近はときおり耳にするようになりました。

階数の如何を問わずタワーマンションの価値は、立地条件が同じもの同士での比較で言えば、トータルでは文句なく一般の中高層マンションよりタワーマンションが上回ると考えます。その理由は既述のメリットで説明できましょう。

地震が起きたときの心配は、階段の上り下りだけです。それも住む階数によっても異なります。購入する部屋が20階くらいと仮定した場合、確かに復旧までに数日を要する事態となったら大きな懸念材料ではあります。しかし、電気の復旧はライフラインの中では最も早いと考えられるので(事実、阪神大震災のとき、完全復旧までガスが83日を要したのに対し、電気は僅か7日だったという記録が残っています)、不便をかこつのは短時間のことでしょう。

最も安心なのは構造です。揺れによる恐怖感が小さく、家具の転倒で大けがといった心配は、多くのタワーマンションで採用されている建物構造によって解消されるはずです。

タワーマンションということでの稀少価値が薄らいだ今日ですが、これから購入を検討する人が比較項目に加え、かつ重視しておきたいのは「外観デザイン」です。どれも似たようにしか見えない平凡なデザインでなく、際立った個性が価値を左右するはずです。

デべロッパ―によっては、外国人建築家などにデザイン料を別途支払ってでも力を入れています。外国人だから良い、日本人だから駄目ということではありませんが、過去の事例を見ると、一味も二味も違うことは確かです。

デザインの良さを具体的に言葉で表わすことは困難ですが、「何十年にも亘り陳腐化しない、かつ上質なデザインであること」です。マンションはデザインが勝負。これは、筆者の持論でもあります。

併読して欲しい記事:2012年12月10日投稿「低層階の住戸を買って高層階の共用施設を利用する―この選択ってどうなの?」

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