マンションにただで住む方法

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

最近、5年前にご相談があった方からお便りが届き、3月に転勤になったので自宅マンションを売却したところ買い値を割り込まずに売れたとのことでした。

プライバシーにかかる問題なので詳しくは書けませんが、その方は5年間、住宅ローンも含めて毎月の費用負担ゼロでマンションに住んだこととなりました。正確には「ただ同然で」となるのですが、その理由を説明しましょう。

以下は、この例を参考にシミュレーションしたものです。

●キャッシュフローで収支を計算

購入マンションは、中野区の中規模、大手デベロッパーが売主の、2LDK55㎡というものでした。価格は4850万円、頭金を850万円、銀行融資4000万円という資金内容でした。他に登記料や修繕積立金などの諸費用の一時金と取得時の不動産取得税を合わせて220万円ほどかかっています。

毎月の支払いは、管理費と修繕積立金が18,000円と住宅ローン返済が120,000円でした。5年間の合計では、828万円の支払いとなりました。

さらに、毎年の固定資産税が合計で約62万円ありました。

結局、5年間で支払った取得・維持費用の合計は、4850+220+828+62=5960万円でした。

売却額は仲介手数料3%余を差し引いて購入価格と同じ4850万円でした。

住宅ローンの残債が3450万円だったので、手元には1400万円が残りました。

住宅ローンは、5年間で元本が550万円も減っていたのです。低金利のおかげで、毎月の返済は元本に充当される割合が多かったと分かります。これは貯金をしていたようなものですね。

譲渡費用の4850万円から取得・維持費用の5960万円を差し引けば1110万円の損となったわけですが、貯金の550万円は出費ではないので、これを差しを引けば560万円の損で済んだ計算となります。更に、この間の住宅ローン控除が150万円ほどあったので、差し引き410万円で足りました。

これを60か月で割ると月平均の負担は68,333円となります。これは、「ただ同然」とは言い切れませんが、住宅ローンの返済も入れての計算なので誇大表現とも思いません。

何故なら、同等のマンションを借りて住んだとしたら、賃料は軽く200,000円以上になる立地条件だったので、差し引き13万円以上の得であったとも言えるからです。

●10年住んだマンションが購入価格と同額で売れた場合

設定を10年に変えると少し違う結論となって来ます。

毎月・毎年かかる費用がおよそ2倍になるので、(828万円+62万円)×2で1780万円です。
(注:固定資産税が6年目から上がるので、実際はもう少し増えます)

取得・維持費用は合計で4850+220+1780万円=6850万円となります。譲渡費用は、同じく4850万円でした。

ちなみに、東京都区部の築10年マンションは購入時から平均で3.8%しか下がっていないというデータがあり、さらに駅別のデータを見ると10~15%も上昇したエリアは少なくありません。

さて、10年後のローン残債は3060万円(平均金利1.5%)でしたので、4850万円の売却代金からこれを清算すると手元残金は1790万円にもなりました。 元本の減少額は940万円にもなりました。つまり貯金がそれだけできた格好です。

譲渡費用4850万円から取得・維持費用6850万円を引くと2000万円の損失ですが、貯金940万円があるので差し引き1060万円となります。更に住宅ローン控除の還付金が10年で約300万円とすると、これを引けば760万円。120か月で割ると月平均63,333円の負担で住めたことになるのです。

同等のマンションを借りて住んだと仮定しましょう。同等のマンションなら同じ快適性、同じ利便性を得たことになりますから、精神的な満足度は同じと考えることができます。

しかし、経済的には全く違うと言えます。約20万円の住まいに63,333円で住むことができるのですから、差し引き13.7万円、10年間では約1640万円も得な計算が成り立つのです。

●エリア・駅・物件で格差は大きい

この経済的なお得が生まれるのは、購入マンションが値下がりしなかったからです。10年間で1640万円の得も、仮に購入価格から1640万円値下がりしたら損も得もなしということになります。

4850万円のマンションが10年でそこまで下がるものでしょうか? 値下がり率は約34%です。これは現実にある例です。エリア・駅、物件固有の差で、郊外では多数ありますし、都区内でも決して珍しいことではないのです。

言い換えましょう。エリア・駅、物件によって値上がり率・値下がり率は+30%からマイナス30%と、大きな幅がある。それが現実なのです。

尚、シミュレーションでは購入価格と売却価格が同じだった場合のみを紹介しましたが、もし購入価格以上で売れれば、本当にただで住めたという結果もあり得るわけです。

●家賃が高い東京だから

このシミュレーションを行ってみて、改めて気づくことがあります。それは東京って何と家賃が高いのだろうということです。

上記のシミュレーションでも設定家賃は控えめにしたのですが、マンション価格が値上がりしそうな場所は家賃も高いものです。

だからこそ賃貸より買った方が得だと考える人が多いのでしょう。しかし、選択した物件によっては「賃貸の方がマシだった」ということもあるのです。

我が家だけはマイナス30%の仲間に入らないような選択をしたいものですね。経済的な利益(資産価値)と精神的な利益(使用価値)の両方を満足させるマンション探し、それが目標となりましょう。

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