「間取り」より優先するものは「共用部」

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

日頃、ご相談者の多くが間取りについて不満があるように感じています。確かに、最近のマンションはコストアップを恐れて羊羹切りの結果から生まれる「田の字」型の間取りが多いという現実があります。

今日は、「間取りは諦め、共用部に眼を向けましょう」というお話をしようと思います。

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これは、読者の間取りに関する興味がいかに高いかということを裏付けているのですが、間取りにこだわった良いマンションは非常に少ないことの裏返しでもあるのだろうと考えています。

タワーマンションのようにエレベーター・階段をコアに周囲を住戸で囲むような真四角な形状では、ワイドスパンの個性的なプランも作りやすいのですが、そもそも羊羹切りの長方形の建物では、工夫をしても限度があって、どれも五十歩百歩に過ぎません。

羊羹や板かまぼこ型のプランから始めてしまうところに問題があるのですが、これを変形させるとコストアップにつながるので、間取りプランは優先順位で劣後になってしまいがちです。

制約を受けながらも良い間取りプランを作ろうと努力している業界ですが、仕方ないことと諦めてしまった感もあります。

●マンションの価値は専有部分より共用部分で決まる

前回のブログで「高級マンションと高機能マンション」の差について述べましたが、立地は別として、結局のところマンションの価値は共用部分のしつらえ(造り込み)が左右するということになるのです。

何万坪もの面開発を除けば、街並み・環境まで変える、すなわち立地条件を変えてしまうようなことは不可能です。勿論、最寄り駅からの距離は変えようがありません。

マンションの価値を高められるかどうかは、建物にどのようなプラスαの価値を付けるかという創意工夫次第ということになるのです。

建物をいかに魅力あるものにするかということですが、検討対象は大別すれば「住戸内(専有部分)」と「共用部」ということになります。住戸内の工夫では、間取りと設備、仕上げが項目になります。
一方、共用部は共用施設・設備とデザイン、仕上げが検討項目となります。

専有部分は、限度はあるものの購入者(所有者)があとから変える(リフォーム、リノベーション)ことができます。高級なキッチンや洗面台、化粧台付きの広いトイレ、高級な建具とノブ(ハンドル)、大理石張りの床、板張りの壁、飾りのついた天井などと、お金をかければ好みでグレードアップを図ることが可能です。

これに対し、共用部分は変えようがないのです。勿論、各住戸の玄関ドアを交換したり、ロビーの床をタイル貼りから天然御影石貼りに変えたりすることは不可能ではありません。しかし、それには管理組合の決議が必要なので、コトは簡単には行きません。

我が家の価値を外から高めたいと考えても、容易なことではないのです。大規模改修の時期などに提案しても、予算的な問題もあって、元のグレードを維持するのが限界なのです。

車離れが進み機械式駐車場の空きが増えたので、更新時期が来たとき、思い切って解体して平面だけにしたなどという例があるそうですが、解体費用だけで済み新たな工事費が不要という大きなメリットがあるから組合の賛同が得られたのでしょう。これなどは例外的なものです。

結局、既成事実となってしまった仕様は変えられず、資産価値を上げるという目標は叶わないのが現実です。よって、購入時から共用部分の仕様にはこだわっておきたいところです。

●外壁がタイル貼りというだけではダメ

大昔のマンションは外壁が吹き付けタイルというものでしたが、30年くらい前からタイル貼りが当たり前になって来ました。

従って、タイル貼りというだけでは差別化にならないのです。もっとも、最近は逆行するかのような吹き付けのマンションがタワーなどで見られます。

マンションの販売資料には必ず外部仕上げ表が付いていますから、注目しましょう。
「タイル貼り。一部吹き付け」とあったら要注意です。一部とは、80%でも一部なので、どこまでかを確認するべきなのです。

外廊下式の建物では、廊下がコンクリートの立ち上げか、それともアルミの手すり式かで見映えが変わって来ます。どちらにしても、廊下の住戸壁がタイル貼りになっているかどうかも大事なポイントになります。

同様に、バルコニーの立ち上げがガラス張りでなくコンクリートの場合、バルコニーはタイル貼りだが、住戸壁(サッシの周囲)が吹き付けという例も多いのです。

高級マンションでは、バルコニーの軒下まで素材にこだわっています。外の道路からマンションを見上げると、バルコニーの天井部分、すなわち軒下が丸見えです。

普通のマンションでは、ここが「リシン」というザラザラした吹き付け材でコンクリートの表面処理をしていますが、高級マンションではここに別の素材を使い、見た目も上質な印象を与えようとします。

●エントランスホールの天井高や仕上げ材を見る

エントランスはマンションの顔ですから、デベロッパーは例外なく規模とデザインに注力します。しかし、敷地条件や道路位置などから建築制限があり、そのうえにコストの壁が立ちはだかります。

価値あるエントランス周りの例を挙げてみましょう。

キャノピー(天蓋てんがい)が張り出した玄関は豪華な印象を与えてくれます。もっとも、その素材も質感に影響を与えるので、キャノピーがあるだけでいいという単純なものではありませんが。

エントランスホールは広いほど豪華に見えるものですが、広さは平面だけでなく天井高にも影響されます。2層以上の吹き抜け形態が理想なのでしょう。また、ホール内のデザイン・仕上げ材、調度品や照明なども大きなファクターとなることは間違いありません。

これらはシティホテルのエントランスを思い浮かべながら比較するといいですね。未完成物件の場合は、売り手が用意したパース(ペクティブ)だけでは分かりにくいものの、説明を受けながら想像力を働かしてみるほかないのですが・・・

玄関の扉のグレードも注目したい要素です。どのようなものが高級感、上質感、あるいは洗練されたデザインかは筆舌に尽くしがたいので割愛しますが、完成しているマンションの中から高級と言われるものを数多く見学することをお勧めします。

●内廊下タイプは廊下の壁の素材に注目

タワーマンションに見られる内廊下方式。大抵の物件で「ホテルのような」と形容していますが、
ホテルもグレードはピンキリです。

そこで注目点は、廊下の幅と廊下の仕上げです。超高級マンション以外は、床がタイルカーペットで、上品な印象が出るような柄を選んで張り込んであるようです。どこも大差ないと言えそうです、

しかし、壁と天井の仕上げで差がつくのです。ありふれたビニールクロス張りか、他の素材との組み合わせか、天井はどうなっているかなどに是非興味を持ってもらいたいものです。

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百点満点の家はないので、優先順位を決めて選択するほかありません。優先順位は買い手によって異なります。しかし、「資産価値」の観点を外さないようにし、立地条件は当然ながら、建物プランの面では専有部分より共用部分に目を凝らして欲しいと思います。

室内は、後から所有者の好みで改装することができます。限度はありますが、センスの良さで上質に、或いは高級感ある住まいに変えることができるわけです。しかし、共用部分は簡単に改造するというわけには行きません。

売却のとき、見学者が外観やエントランス周り、エレベーター、廊下などの共用部分を見て何かを感じます。簡単に言ってしまえば、「高級そうに感じる」か「安っぽいイメージに映るか」です。鈍感な見学者もあるでしょうが、目に映るものは強烈な記憶に残るものです。

こうした印象や感想は、中古市場における見学者、すなわち購入検討者の購買心理に影響を与えるのです。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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