ブランドマンションの安心感

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。 
 

ブランドマンション、言い換えればブランド力の高い企業(マンションデベロッパー)の安心感はどこから来るのだろう。改めて考えてみました。

●品質管理こそがブランドを守っている

ブランドマンションは高いが、しばしば 「安心料だと割り切って買いました」という声を聞きます。買い手は、どこに安心感を求めているのでしょうか?

欠陥住宅・欠陥マンション騒ぎが何年おきかに発生します。 その報道を見聞きした人は、自分だけはそのような住宅・マンションを掴まないようにしなければとの思いを強く抱きます。

しかし、素人にとって欠陥かどうかの見極めは簡単なことではありません。 実は専門家でも蓋をされてしまうと見抜けないものです。

数年前に「耐震偽装事件」が起こりましたが、鉄筋の本数が少ない柱を外から見ても誰も分からないのです。

そこで、性善説(せいぜんせつ。人間の本性は善であるとの孟子の説)に従い、買い手は作り手の良心を信じて購入することになります。

雨漏りするようなマンション、地震ですぐに倒壊するようなマンションを売っているのではないと考えるわけです。

しかしながら、悪意はなくてもスキル不足や管理ミスなどで粗悪なマンションができてしまうことが万にひとつできてしまうのも事実です。

そこで買い手は「より安全な製品」を選択するための物差しとして、「大手マンション業者」や「大手ゼネコン」などの看板を用いるのです。

大手なら、しっかりと品質管理、すなわち施工過程をチェックし、欠陥マンションの発生をゼロにしてくれるだろうと、漠然としたイメージではあるものの、期待と信頼感によって商品を選択しているというわけです。

実際はどうなのでしょうか? 大手企業は中小にない間接部門を抱えています。一人何役もこなす中小企業と異なり、重要な業務は専門部門として独立させ、スペシャリスト人材を育成しています。

品質管理に関しては、検査の専門員と独自の検査システムも構築しています。

専門部隊は徹底的な仕事をします。施工管理に当たっては検査項目を何十項目も設けており、請け負っているゼネコンの担当者が音を上げるほど厳しくチェックするといいます。

マンションの世界で特に評価が高いのは、デベロッパーでは三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産などの大手、建設会社ではスーパーゼネコンと称される、鹿島建設、大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店。そして、設計事務所では日建設計、三菱地所設計などと言われます。

デベロッパーの品質管理システムを挙げると、三井不動産レジデンシャルの 「TQPM(Total Quality Project Management)」や三菱地所レジデンスの「チェックアイズ」が最も有名です。

三井不動産レジデンシャルの「TQPM」は、品質の国際標準規格ISO9001シリーズの考えに基づいて、設計段階における「設計ゲート管理」(約1,600項目の独自設計標準)と、施工段階における「KQI検査」(約100項目の品質確認検査)の2つの柱から成り立っています。

同社のHPには、「品質管理の数値化・定型化を徹底、事業関係者の平等で強固、円滑なパートナーシップのもと、総合的な品質管理をプロジェクト単位で進めることにより、設計会社・施工会社が異なっても、三井の分譲マンションとしての品質確保と均質化が図れます」とあります。

また、首都圏の品質管理部門に専門知識を持つ社員を多数配置する人員体制、設計者・施工者向けの「TQPM」トレーニング、自社直営によるアフターサービスを通じたフィードバックサイクルなどによって、「TQPM」の継続的な運用と改善を進めています――と続いています。

品質管理は企業のブランド価値を守り、ブランドは品質の確かさを世に示すものと言えます。
そして、品質の確かさは住まい手の安心感につながるものです。

●それでも欠陥マンションが誕生したら?

マンション業者の多くは、基本的にゼネコンに工事を一任していますが、万一の施工ミスを防止するため、上述のような検査システムはなくとも、設計事務所に「監理(監督と管理)業務を依頼し、自社の企画・建設部門の担当者とともに定期的な現場訪問を行うのが普通です。

これは昔からのことで、特に目新しい方法ではありませんが、最近10年で変わって来たのは、政府指定の第三者機関がチェックに参加する方式です。

これは、2000年に施行された法律「住宅の品質確保に関する法律」に基づく「住宅性能表示制度」を利用するデベロッパーが増えて、建設中の現場を定期的に検査するようになったからです。

マンションの品質管理は、このようにして二重三重にチェックされていますが、人間のやることです。手抜かりは万に1回は起きてしまうものです。

2014年に大きなニュースになった欠陥マンションは、港区南青山7丁目に建設中だった高級マンション「ザ・パークハウスグラン南青山高樹町(地上7階、地下1階、総戸数─86戸)」でした。

「平均専有面積:約102㎡、平均価格:約1億4000万円」が、工事の不具合により販売中止・契約解除だけではなく、ほぼ完成していた建物の解体という事態に追い込まれたのです。

事業主の三菱地所レジデンスは契約解除に際して購入者に手付金を返し、迷惑料を支払うなどの対応をとりました。

工事の不具合とは、配管や配線を通すための「スリーブ」といわれる貫通孔が、設計図が示す通りに入っていなかったこと。まさに前代未聞の大失態でした。施工を担当したのは、何とスーパーゼネコンの鹿島建設です。

今年は、この他にも何件か施工ミス事件が発覚しました。このブログでも6月10日に「施工ミス相次ぐ」というタイトルで紹介しましたが、その中に欠陥が入居後10年近く経過してから分かったという事件もありました。

デベロッパーは住友不動産、施工は熊谷組。 杭の一部が地中の堅固な支持層に届いていなかったため、建物が傾いて来たというものです。

同社は「安全とは言い切れない」として、住民向けに転居を勧め仮の住居を無償で用意。「売り主の責任を痛感している。修繕や建て替え、買い取りなどあらゆる手段を検討する」と説明しています。

このような事件に触れて思うのは、信用保持のために企業が多額の経済的負担を強いられること、それが可能なのは大手に限られるだろうという点です。

構造的な部分の瑕疵は法的に担保されています。中小業者でも「保険加入」が義務付けられているので一定程度は補償されます。ただ、竣工から10年を超えてしまったら、法的には業者に補償責任はなくなるのです。

ある日突然マンションが倒壊するなどということは万に一つもないと信じたいですが、巨大地震が来たときなどに、想定外のことが起こらないとは誰も断言できません。

このようなことを想像するとき、ブランドマンションに傾く買い手が多いのは当然のこととも思うのです。

分譲マンションの歴史は、まだ50年あるかなしかです。この長いとは言えない時間の中で積んだデベロッパーの経験の中には高い授業料を払ったこともあるのです。それが今日の企業活動につながり、今日の地位とブランド価値を高めて来たとも言えます。

一定期間の集中広告キャンペーンを展開するなどして一気に知名度とブランドイメージを高めるという企業戦略もありますが、本来は長い経験と多くの実績がブランド価値を高めて行くものなのでしょう。「ローマは一日にして成らず」です。

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