売れている物が良い物とは限らない

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

人間心理は摩訶不思議なもので、「たくさんの人が買っていると聞くと、普通の物でも優れた物と思いがち」です。

この心理を販売に利用して、「売上日本一の○○」や「累計何百万本」といったセールストーク、宣伝文を見聞きしない日はないかもしれません。

マンション販売でも、これに類する戦術は日常茶飯事に行われています。「第1期で300戸のお申込みを頂きました」や、「年間の契約戸数で首都圏一番」、「1期1次・2次で登録戸数〇〇〇戸達成」といった文言をご覧になったことがあると思います。

しかし、これらのコピーは決して誇大広告ではないはずです。本当に多数の買い手が集まり、それだけに好成績を上げたのでしょう。

●よく売れていることの背景

首都圏の新築マンション市況は、全体的には好調が持続中であるものの、物件ごとに見て行くと、建物が竣工してから半年以上も経過して売れ残りを抱えている例は、通覧すると結構あることに気付きます。

建築費の高騰が原因で新規の売り出しが増えず、いわゆる品薄感が強くなっています。少し前にも書きましたが、住宅情報誌SUUMOを手に取るとき、最近は「何と薄いことか」といつも嘆息が出るほどです。

買いたくても買うものがないという状況が続くと、何でも売れてしまうという異常な結果が出てしまうものですが、まだそこまでは行っていないのだとも感じる日々です。

売れているという販売現場の説明は、どこまで本当かと疑いたくなる例も少なくはないのです。

しかし、一部の物件には狂乱状態とも言えるような状況も見られます。

良い物件とは言えるが、そんなに売れるだろうかと訝る筆者ですが、結果的に予想を超えて本当に売れているらしい物件も実際にあります。

好調要因を分析すると、単に比較する物件がないからと分かります。

どんな時にも、並ぶものがない格別な物件が稀に発売されて高い倍率の抽選で買い手を決めるといったことがありますが、そこまでの人気物件ではないのです。

他に比較したい物件がないからと、迷いながらも仕方なく申し込んだという人が多かったらしいのです。

「迷いながら」という心理の裏には、どうやら「価格の高さ」があるようです。

何回も書いたので繰り返しませんが、価格の上昇は顕著で、買い手心理には「価格の一段の先高観」が見受けられます。

「ここで見送ると手が出なくなるかもしれない」と、購入へと踏み切る姿が増えているというわけです。

●売れているが高過ぎる?

売れている物は支持者が多い。だから良いものだ。この論法が正しいかどうかの解は、価格が適正かどうかに鍵があります。

確かに良いものだが、価格が高過ぎる。そう思うものが増えています。増えていると言うのは、相対的な意味で感じることです。何しろ、全体の供給量は少ないのですから。

ともあれ、人気物件の多くは「高過ぎる」のです。その価値に見合う価格ではないと思うものがあります。「こんな高い物件をよく買うなあ!」と感心します。 

過去の記憶を呼び戻してみると、飛び抜けて高い物件はいくつもありましたが、立地条件・建物内容ともに素晴らしく、とりわけ二度と出ることはないと言われたほどの立地条件の希少性の高さに納得感を持てる物件でした。

最近の人気物件は、稀少価値においても、建物プランにおいても「文句をつけようのない」とまで評されることはなく、それでも人気が人気を呼んで好調な販売経過を辿っている感じがします。

売り手は、希少価値を力説したり、地域の将来性の高さをアピールしたりしています。そこにウソはありませんが、疑念がないわけではないのです。

それでも、これだけたくさんの人が買いに来ているのだからと、無理やり自分を納得させていることに気付かない人も多いのではないかと想像します。

売れているマンションは良いマンション。これは半分正しいのです。しかし、その価格が妥当と言えるほどではない。ここに着目して慎重に検討すべきことを進言したいと思います。

●難しい時期だが

「高いが、これ以上の物件はない」、「高くてもいい。自分たちには価値ある物件だから」、「高いが、この街に住みたいと以前から願って来たのだから」――そう思えるなら、その選択も間違いとは言えないでしょう。

そうではなく、単に「よく売れている人気マンションだから、選んで間違いないような気がする」や「住んだことはないし、好きも嫌いもないが、良いマンションだと思うから」といった動機で選ぼうとしている自分に気付いたら、そのときは「価格検証」を再度行いましょう。

建築費の上昇がマンションの価格に転嫁され、急速に高くなっている昨今、高値と思っても今手を打たなければ益々マイホームが遠のく――このような強迫観念にさいなまれることがあるかもしれません。

難しい情勢にあるのは確かです。それゆえに、納得できる動機、納得できる理由が必須になるのではないかと思うのです。

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