値上げするぞの恫喝的セールス
- 2014.12.31
- マンションの売主
ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
売れ残っている某マンションでのこと、ご検討中だったあるご相談者は、「年明けに値上げする予定なので決めるなら年内に」と言われたのだそうです。
今日は、この話題を取り上げてみました。
●本当に安いかは疑問
調べてみると、そのマンションは単純比較なら確かに安いのです。同駅圏の他社マンションより10%前後安い価格で販売中でした。
しかし、何故か竣工を間近に控えて20%くらいの売れ残りがありました。総戸数が50戸余の物件なので10戸くらいなものですが、それを強気に値上げして販売して行くというのです。
俄かには信じられない話でした。常識では、竣工が迫っていたら値引きしても完売を急ぐものだからです。
しかし、ご相談者は慌てていました。真に受けたのです。買うべきか買わざるべきかと筆者に問うて来ました。
筆者は、この話を聞いて「ある種の恫喝だな」と思いました。
ともあれ、一見安いその物件は、売れ残りの原因が駅からの距離(徒歩13分)にあるようでした。
競合する物件は2件ありましたが、2件とも5~6分の距離で、販売はどちらも順調に見えました。1件は完売まで2~3戸だったようです。
ライバル物件が残っている間は苦戦が続くが、なくなれば販売スピードが上がるとでも思ったのか、値上げの理由は分かりません。
本当に年明けに値上げするかも、今のところは分かっていません。
この話の他にも、値上げをほのめかしながら営業している物件があります。
そちらは、本当に値上げしたから驚きです。11月30日の記事で紹介した事例のことです。
●品格に欠ける業界
どの業界でも値上げするときは、事前に理由を付して公表します。「原材料が円安で高くなったので赤字だからやむなく値上げさせて頂きます」という例は最近よく聞きます。
しかし、マンションの場合、建設中に「原材料、すなわち建築費が上がりましたから」はないのです。なぜなら、発注先のゼネコンとの契約で工事費は確定しているからです。
公共工事では、物価スライド条項というのがあって、工事中に建設資材が高騰したとき、その分を発注主の自治体に追加請求できる契約になっている例も増えているそうですが、マンション工事では聞いたことがありません。
従って、建築中の販売物件を途中で値上げするというのは過去にはなかったはずです。
ところが、最近は値上げマンションが散見さます。 理由は、後発の他社マンションが高く売り出されているので、それに追随するということらしいのです。言い換えれば、「相場が上がったので、それに合わせます」というわけです。
建築中マンションを値上げしてはいけないという規範も常識も特に存在はしません。従って、半分くらい売れた段階で値上げしても咎める理由はありません。
売れ残りを安くして処分するという例は過去に数えきれないほどありました。今もどこかで行われています。
しかし、反対の高くして売るという常識外れの例を見聞きするにつけ異常と思わざるを得ません。
勿論、人気のエリアの人気の物件でのことです。きっと、その物件を欲しいという人が引きも切らないのでしょう。
7千万円以上する高額マンションですが、値上げしても売れたそうです。 購入した人は、「腹立たしいが価値あるものなので仕方ない」と自分に言い聞かせ、慰めながら契約したのでしょうか?
それとも、焦って我を忘れ、業者のなすがままだったのでしょうか?
不動産は唯一無二の商品であることは確かですが、買い手にとって「それでなければならない理由」など普通はないのも確かです。このような恫喝的セールスに屈しないで、冷静に判断をして欲しいものです。
筆者は、この話に憤慨し、その業者(大手です)を品格に欠けると感じたものです。
業界がこぞって真似をするようなことがないようにと心から願っています。
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