買ったときから我が家を高く売るための準備を!

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

欧米では中古住宅の流通が活発で、新築が中心の日本とは大きく異なると言われます。

住宅の取引の中に占める中古のシェアは米国や英国で90%近いのに対し、日本は僅か15%しかないというデータがよく紹介されるので、ご存知の方も多いことと思います。

日本の住宅政策が新築一辺倒だった時代は終わり、これからは中古市場の活性化策が中心になることは間違いないはずです。

しかし、それにはまだ解決しなければならない諸問題があります。そのひとつが、中古住宅を客観的に評価する物差しの策定です。

●中古住宅の評価方法

中古住宅の客観的な評価方法には、仲介業者の価格査定システムがあります。

売却するときに仲介業者に依頼すると、不動産業界が設けた物差しを使って査定してくれるのです。この物差しとは、「取引事例比較法」というものです。

簡単に説明すると、先ずは依頼物件と類似の成約事例物件を探して選択します。

次に、例えば、事例物件が高さ5階であるのに対し、依頼物件は1階だからマイナス何点、事例物件の向きは西で依頼物件は南だからプラス何点、駅からの距離は同じだから0点などと点数を付けて差を算出します。
(注:実際の採点方法は少し異なります)

その差で事例物件の価格から10%ダウンとか5%アップとかいう数字を導きます。

流通業界には査定マニュアルというのがあって、取引事例比較法を実践的に解説しています。
業者共通の方法によって査定額を出す仕組みが30年以上も前から存在するのです。

査定額に売主(所有者)の思惑が加わって売り出し価格が決まります。思惑とは、売りを急いでいるとか、もっと高く売りたいといったことです。まあ、査定額より安くする人はいないでしょうが、大抵は5~10%がONされます。

売主は業者の査定額に従わなければならないことはないのです。しかし、高い値を付けても売れなければ意味がないので、初めは高くし、様子を見ながら徐々に下げるというのが現実です。

ともあれ、住宅・マンションの評価方法が現に存在し定着していることだけは確かです。

●中古住宅の品質に関する評価方法

2000年から登場した「住宅性能表示制度」も物差しのひとつです。

最近の新築マンションは大半が第三者機関による評価を受け、「評価書」を取得しているようです。

今後の中古市場で大半が「評価書」付きになれば、購入者にとって「中古住宅の品質に関する不安」が幾分は解消され、取引が活発になることでしょう。

性能評価は10項目について行われ、各々の性能を「等級」で表わすことになっています。

①耐震性 (1~3等級) / ②耐火性 (1~4等級) / ③コンクリートの劣化対策 (1~3等級)  ④維持管理・更新対策 (1~3等級) / ⑤省エネ対策 (1~4等級) などです。

 性能評価は、設計図だけで行われる「設計住宅性能評価」と、建築工事中の検査の後に交付する「建設住宅性能評価書」の2種類があります。評価するのは、国が指定した第三者機関で、ご承知の通りです。

性能評価書は建物の価値を客観的に証明したもので、いわば宝石の鑑定書のようなものです。

しかし、これはまだ不完全です。評価書が建物の性能を適正に評定するものではあっても、マンション価格を決定づけるものとは言えません。建物だけに限定しても、現在の評価項目では表しきれないものが欠落しているのです。

確かに耐久性がどうかと聞いたとき、従来なら「一般的にマンションは数十年持ちますよ」的な曖昧な答えしか得られなかったところ、性能評価書にはコンクリートの劣化対策は等級3と書いてあれば、最高ランク明示してあるのですから、安心感は随分違います。

省エネ等級にしても、見えない部分を「エコなマンション」と明示されるので、入居前に実感が湧くことはないにしても、ランニングコストの面で安心感を持てるわずです。

しかし、建物の価値を左右する要素にはデザイン性がありますが、この評価方法は確立していません。とりわけ外観、そして玄関周り、さらには植栽やロビー、エレベーター、廊下などの規模や数量、材質、色彩などによって生まれるデザイン価値は大きく違って来るものです。

日本デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞というのがありますが、マンション部門にも授与されています。

しかし、残念なことに年に1回の選定であるうえに受賞マンションの数は少なく、一等賞、二等賞のようなランキングがなされる仕組みは今のところ存在しません。

●物の売り方には上手い下手がある

さて、客観的な評価方法や流通市場の活性化策はともかく、売り方に論点を移そうと思います。

誰でも自分のマンションを有利に売りたい、高く売りたいと望むものです。本稿は、その策を提案するものです。

マンションに限らず、物を売るというのは、商品の良し悪し、出来不出来とは別次元の世界ではないかと思います。

つまり、どれほど素晴らしい商品を作っても、それをPRする術がなければ販売はできません。

また、商品を手に取ってみるだけでは良さが分からないこともあるので、それを説明するセールス力も必要です。

物が売れる状態とは、買い手に「ある種の感動と納得と安心が生まれる」ことを意味します。

ある種の感動とは、室内に見学者がやって来て窓から外を見た瞬間、その景色に思わず歓声を上げるようなことです。

納得感や安心感は、説明を聞いて「なるほど」と思ったり、信頼できるゼネコンが施工したことで建物への信頼を持てたりすることです。

我が家を売るというとき、買い手に「ある種の感動と納得と安心が生まれる」状態をつくる方法を考えてみると、その手段は3つです。

第1に、「マンションそのもの」が手段として働きます。商品のサンプルまたは実物が買手に無言で語りかけるということで、マンションの場合は実物を見てもらうことです。

第2は、「販売資料による説得行為」という手段です。

商品の隠れた良さ、メリットなどを買い手に伝えて行くことが必要です。

第3の手段は、「所有者による説明」という手段です。商品展示+説明資料だけではなお説得が不十分だからです。

商品を並べておけば勝手に売れて行くとか、何人か見学者を受け入れれば、そのうちに決まるだろうという考え方では良い条件で売ることはできません。

以上3つの手段について、それぞれ詳しく見て行くことにしましょう。

●場所と建物が買い手を説得する

不動産情報サイトを見たり、仲介業者の紹介を受けたりして我が家を見学にやって来た買い手があるとします。

買い手は、外観やエントランス周りの立派さに感動し、住戸の広さや設備の良さ、あるいは天井の高さ、カラーコーディネート、グレード感、そして日当たり、眺望といったものに惚れ込み、買いたいという気になってくれました。

この場合、その商品展示は強い説得力を持ったということになります。

「場所」という商品構成要素についても同様で、駅に近くて便利な土地だとか緑の多い環境の土地だ、といった建設地を見るだけで“欲しい”の気持ちが高まったとしたら、その建設地、すなわち立地条件は大いなる説得力を持っていたということになるのです。

しかし、商品展示だけでは販売は成功しないことが多いものです。そこで、販売資料が必要になってきます。

●パンフレットや付属資料を加工して自作の資料を!!

内覧に訪れた買い手には、マンションの全体像が見えないものです。セキュリティの詳細も把握できていません。仕上げ材で隠れてしまった内部構造も分かりません。

これらを説明するためには、パンフレットや図面、さらに性能評価書が必須です。また、管理内容についてもあらましを伝えることが必要になるはずです。

これらの説明ツールは、見やすく加工する必要もありそうです。何故なら、見学者に新築マンションのようにパンフレット類をを持ち帰ってもらうわけには行かないからです。

イメージ的に表すと、A4サイズのペーパー2枚か3枚に要点を大きな文字で箇条書きしたり、重要な部分をカットした図面を張り付けたりすることです。

その中には、「私たちが良く利用するお店」といったタイトルで隠れた名店を紹介するページを作るのも一考です。

この自作資料を予め多数コピーしておいて、見学者に差し上げたらいいのです。

●リフォーム履歴は必ず残そう

何回かリフォームをしてから売りに出すというケースでは、時系列で履歴書を作成しておくといいですね。

設備機器には、どんなものでも必ず寿命があります。できたら、メーカーに問い合わせして、おおまかな寿命を聞き、設備リストを作成しましょう。そこに、設置日、交換日、使用可能年月などを記載するのです。

買い手は、これを見て、「あと何年は大丈夫そうだ」とか、「〇〇は、そろそろ更新の必要がありそうだ」などと目算を立てることでしょう。

これは先に述べた「安心感」につながる資料になるはずです。

●長期修繕履歴も記録写真でを残そう

共用部分の大規模修繕に関しては、仲介業者を通じて管理会社から何年何月にどこを修繕し、いくらかかった、現在積立金はいくら残っているといった情報がもたらされます。

これなども、BeforeとAfter 両方の写真を撮っておくことをお勧めします。きっと役立つときがあるでしょう。

●「我が家の住まい性能カード」を作成しよう

中古マンションの買手は不安心理が強いものです。

特に、見えない部分、例えば耐震性や耐久性などの「構造に関する部分」や「省エネ性能」、「管理サービス」や「上下階・左右からの音」、「環境」などに関して知りたがっています。

それを一番知っているのは他ならぬ居住者のはずです。これらを見学者に伝えて安心してもらうことが大事です。

住宅性能評価書もいいのですが、形式ばっていて見にくいことと、例えば「省エネ性能が4等級=最高」と書いてあっても、実際に光熱費はどのくらいかなどは分かりません。

そこで、オリジナルの性能カードを作成しておくことを提案します。

月別の水道光熱費の推移を一覧にしたり、震度3以上の地震があったら、そのときの室内の様子を日記風に記録しておいたりするのもいいかもしれません。

日当たりを心配することが予想される場合は、季節ごと朝・昼・晩に分け、かつ個室ごとに日の入り具合を写真に収めるのもいいでしょう。

安心して住んでいただけるための資料作りというスタンスですね。キーワードは「不安解消」です。あなたが、買い手であったときのことを思い起こしながら作成するのです。

営業マンたちは、あまり余計な情報は与えない方がいいと言います。しかし、筆者はそうは思いません。

欠点があったとしても、長所も当然あり、気に入って何年か住んで来たという事実をアピールする方が買い手には魅力に映るはずです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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