駅前再開発マンション選択の是非

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

駅前などの再開発の中で誕生したマンションは大抵が爆発的な人気になりますが、その要因はどのような所にあるのでしょうか?改めて考えてみました。

●環境の良さと便利さは二律背反
一般的に、「駅に近い便利さ」と「住環境の良さ」は両立しにくいものです。駅に近いほど住環境は劣って来ますし、反対に、住環境の良さを求めれば駅から離れるのが普通です。
駅に近くて環境も良い街というと、東横線、井の頭線、京王線、小田急線など、東京の南西部を走る私鉄沿線が思い浮かびます。これらの鉄道は住宅街を縫うように走っています。駅を降りると昔からの商店街があり、その裏に回ると直ぐに高級な、もしくは中級以上の一戸建て住宅が目に飛び込んで来ます。一帯は閑静な、そして緑の多い住宅街という趣きを見せてくれます。
小規模な公園も点在していますが、何より個人住宅がそれぞれに植栽した庭を手入れしていることによって街全体が緑多く映るのでしょう。

大規模な公園が駅前に広がっていれば最高ですが、そのような便利さと環境の良さを併せ持つ場所となると、広い首都圏でも片手で数えるほどしか存在しないものです。
一戸建てが並ぶ閑静な住宅街では、そもそもマンションの開発自体が困難です。たまに、大きなお屋敷が売り出されて小規模な低層マンションが建てられることがある程度です。

駅の近くでマンションが売り出される例を見ると、大抵が鉄道や広い道路に面していることでの騒音がネックになっていたり、商業地のため飲食店の並ぶ通り沿いだったりするほか、中高層のビルや賃貸マンションに囲まれていたりもします。
前が空いていると、そこは貸し駐車場になっていたりで、将来は何か建ちそうな印象を受けるものです。

●駅前でも住環境の良さを得られる再開発マンション
便利さだけを求めると、このような問題を抱える物件が多いものですが、その点、駅前再開発によって誕生するマンションは、住環境の良さと便利さを両立させた最高の条件を備えています。
再開発においては、ゼロから理想的な街がデザインされますから、便利であり、かつ永久に変わらない環境の良さを手に入れることが可能になります。
商業施設は無論のこと、車道と歩道の分離され、車道も速度制限されて安全性が高いことに加え、街路樹と無電柱化、小公園や散策路など憩いの空間が設けられます。こうしたタウンデザインが綺麗な環境を形成するのは言うまでもありません。
当然ながら、その一角に設けられるマンションに住めば、便利さだけではないメリットを享受できることになります。

こうした再開発マンションは、例外なく話題になり、販売も順調に進むものです。
このとき、買い手の心理には、将来性があり、購入してからの値下がりも起こりにくいだろう、ひょっとすると値上がりするかもしれないという思惑が働きます。それが売れ行きに拍車をかけるのです。

●将来価格の先取り物件もある?
確かに、再開発マンションは二律背反の条件を具備した稀少性から、将来価値も下がらないものです。
ところが、そんな人気に便乗するわけではないのですが、随分と高い価格で販売されるマンションが見られます。
まだ開発途上なのに、つまり便利さも環境の良さも享受できないのに、価格だけが一人歩きしている、そんな印象が拭えない物件がときどき見受けます。
再開発は一般に5年がかり、長いものでは10年以上かかるケースもあります。従って、分譲当初は空き地も目立ち、緑が少ない上に、商業施設も不十分という場合があります。
ある程度開発が進み、住民が増えて来ないと大型商業施設は進出して来ません。それまでの間は寂しい街です。
通常は、再開発エリアの半分以上が出来上がったあたりから街づくりが加速するものです。大型スーパーが出店し、専門店街が並び、クリニックや趣味の教室、学習塾などがやって来ます。こうなると、人気は爆発します。
人気爆発というときは、分譲価格が跳ね上がっても仕方ないのですが、その手前でも高いと思わせる価格で分譲されることには抵抗を感じます。しかし、これには理由があるのです。
その説明は、複雑になるので別の機会にさせてもらいますが、比較的短期間に開発が進めば、それも許容できる話ではあります。

●開発が計画より遅れると・・・
再開発と一口に言いますが、イメージ的に言えば2種類あります。
開発エリアの後背地・沿線に大きな人口のある都心に近い駅の場合と、人口密度の薄い郊外の駅前などの場合です。

前者は、再開発エリアの住宅が半分もできていない、つまり定住人口が少ないとしても、その背後に既存住宅が多数存在し定着人口が多いわけですから、商業施設は先行オープンしてもリスクは小さいはずです。
後者の場合は、沿線住民に来店を期待するものの、当該駅を中心とする一定の円内に大きな人口がないため、出店時期に関しては慎重な判断を求められることになります。そんなウェイティング中に、経済情勢の悪化などが重なると、出店時期はますます遅れるか、一旦白紙などという事態も起きます。
このような場所は、再開発といえども人気が盛り上がりません。寂しいままの状態が何年も続くことになります。
後者のような場所のマンションをうっかり買うと、期待は大きく外れて、いざ売却というとき購入価格を大きく下回るということになりかねません。注意が必要なケースです。

●駅前再開発マンションへの期待
既存住宅地を後背に持つエリアの駅前再開発の場合、多くは既に地価も高く、従って分譲価格も随分高いものです。それは、再開発前の20%以上にもなるのが普通です。
もともと5000万円くらいが相場であった駅前が、6000万円以上に跳ね上がるイメージです。それまでの相場を崩してしまうような突出した価格で売り出されることが多いのです。地元の人たちの感覚では、びっくり仰天するほどの価格なので、街の話題になったりします。
それでも将来の値上がりを期待して購入するのでしょうか?売れ行きは悪くありません。

再開発計画のニュースは広いエリアに訴求されます。分譲事業主が盛んに広告宣伝を繰り返すからです。やがて、地元以外からも買いにやって来ます。
少し離れたエリアから来た人は、価格に抵抗がないのでしょう。完成後の整然とした街並みと、人工的とはいえ緑の多さ、そして何より駅前便利生活に惚れこんで来るのですから。
勿論、地元の人(同じ駅と、その両隣りの駅くらいまでを生活圏とする人などを指します)の中にも、高額と感じながらも新しい街の魅力に吸引されるようにやって来ます。もともと住み慣れた好きな場所(住めば都)なのです。予算が届けば真っ先に買います。街づくりの内容に価値ありと思えば、価格はそれなりのこと、むしろ安いと思うのでしょう。
さらには、人間の欲がなせる業ですが、街づくりが完成する頃には分譲価格以上の値が付くに違いないと期待したりします。実際そうなるケースは過去にいくつもあったと、何かで見聞きしたのかもしれません。

暮らしの利便という物理的・経済的価値をもたらすマンションに、心身を癒やす自然(公園や眺望)の存在が加わると、精神的な満足感は大きなものとなります。更に、ある意味で資産効果、つまり値上がりの期待が持てれば、そのような資産を持つことによる将来の安心感まで手に入れることができます。
日本人は、将来に不安を持つと貯蓄に励む傾向が強いと言われますが、これと同じで、資産価値が高い不動産を持つことは、所有者に安心感を与えてくれるに違いありません。
このようなことを明確に意識しているわけでもないはずですが、一度崩壊した土地神話が、再び生き返ったとも言えます。
不動産なら何でも大丈夫だった時代とは違うが、物件選びさえ誤らなければマンションは今も老後のための貯蓄になりえるという思惑が心のどこかにあるからこそ求めるのだと考えられます。

●値崩れしにくい再開発マンション
マンションの価値が長く維持されるかどうかは、いくつかの条件にかかって来ます。
条件とは、管理・メンテナンス、ブランドや外観デザインなどです。規模の持つ存在感といったものも加わります。
それらの要件のうち、何と言っても大きな比重を占めるのが立地条件です。立地条件とは、建設地が有する「環境」と「利便性」のことです。
いくら便利でも、騒音に悩まされる高速道路前では困りますし、メンテナンスの悪いマンションでは経年劣化に侵されます。

こうした観点から見て、再開発マンションは冒頭で述べた通りの永久に守られる環境、いえ、むしろ経年優化と言える植栽の生長が価値を向上させる可能性も高いのです。
駅前という利便性だけでもマンションの価値は長く維持されますが、これに環境の良さが加わる再開発マンションは一層の価値保存が可能になります。つまり、値崩れしにくいのです。
補足すれば、便利さと環境の良さを両立させたマンションは手放す人も少なく、そのために益々高値を維持するというわけです。

最後に付言しますが、再開発マンションの全てが環境良好なわけでもありません。中には線路際にあって騒音がひどく窓を開けられないなどという事例もありますし、複数の棟に分かれているケースでは、敷地内の別棟によって日照が悪くなってしまう例もあります。
こうした個々の検証は、当然ながら必要になります。

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