人気の大型マンション・価格の高さに注意

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

人気マンションの購入を検討する人から、「マンション評価サービス」の利用申し込みが来たとき、密かに祈ることがあります。それは「抽選に当たりますように」です。

サービス提供後、無事に契約に至ったという人からは何らかのリアクションがあるのですが、落選した人からは音沙汰なしなので、そんなときは「きっとダメだったのだろう」と残念な気分に襲われます。

ともあれ、抽選で買い手を選別するほどの人気物件は、その大半が大規模マンションです。大規模マンションは、スケールメリットを活かして様々な付加価値を備えているので魅力の物件となるのが普通です。

しかし、魅力はたっぷりでも価格が高過ぎると感じる物件も少なくありません。それでも抽選となるほどの人気になって、短期間に完売に至るのです。

今日は、大規模マンションが人気物件となる理由を、販売手法の視点から迫ってみたいと思います。

●最近の大規模マンション

完売、販売中を問わず、最近1~2年で話題となった大型マンションを思い起こしてみました。

順不同ですが、「西新宿HOME TOWNプロジェクト976戸」、「GLOBAL  FRONT TOWER 883戸」、「富久クロス1230戸」、「SKYZ タワー&ガーデン1110戸」、「勝どき ザ・タワー1420戸」、「ドゥ・トゥール1450戸」、「晴海タワーズ クロノレジデンス863戸とティアロレジデンス861戸」、「桜上水ガーデンズ878戸」、東京以外では「ウェリス稲毛(千葉市929戸)」や「プラウド船橋(船橋市1500戸)、「リヴァリエA棟B棟C棟(川崎市1408戸)」、「ブリリアシティ横浜磯子1230戸」など。

大型マンションとは何戸からを指すのかという定義は特にないのですが、首都圏では上記のような1000戸を超える超大型(メガ)マンションが少なくありません。

●人気となる魅力のポイントは?

これらの物件が話題となり人気を博するのは付加価値が高く、セールスポイントが多いからです。
共通点を拾ってみましょう。

① 大規模または超高層のスケール感・存在感・堂々たる外観デザイン ・/ ② 大規模ゆえの広大な緑地ゾーン / ③ 豊富な共用施設(スカイラウンジ、ゲストルーム、キッズルーム、スタディルーム、フィットネスルームなど)や開発敷地内ショップ(コンビニやスーパー)など / ④ 内廊下やエントランスホールなどがホテル仕様(ホテルライクなスタイル)の高級感 / ⑤ 安心・安全装置(自家発電などの防災設備、免震構造などの耐震性の高さ) / ⑥ 豊富な間取りバリエーション(40㎡台から100㎡超まで、あらゆるニーズに対応) / ⑦ 24時間有人管理とコンシェルジュによる各種サービス

グレードの差はあっても、おおよそ以上のような共通点があります。

少なからず欠点もあるのですが、これらの長所が覆い隠してしまっています。

●大型マンションならではの販売・広告戦略
魅力ある大型マンションですが、それをアピールするには、やはり広告宣伝が必要です。

マンション広告は、一般に新聞やテレビ、雑誌、チラシ、看板などを媒体として行います。勿論、SUUMOなどのネット広告も当然のように実施されます。ホームページも同時に開設されます。

500戸など驚くに値しない、1000戸、1500戸の大規模マンションも珍しくない東京ですが、流石に戸数の多さから売れ残りを危惧する売主は、危機感を抱き綿密な販売計画を練ります。

大型マンションの広告の特徴を整理してみましょう。

① 売上げが大きいので広告予算も大きい。予算があるので大規模な広告キャンペーンが展開できる。小型物件ではできない新聞紙面広告やテレビ広告も可能となる。大判チラシが広域に配布されることも多い。

② 有名タレントをイメージキャラクターとして起用するなどの派手な広告が多い。
過去の例を思い出してみると、最近ではゴルファーの石川遼選手、女優の米倉涼子、10年くらい前にはアメリカの俳優リチャード・ギアなどを起用した物件もありました。

③ 予告広告から始まって、売り出しまでに半年もの長期キャンペーンが行なわれ、市場への浸透を図る

大きく分けると大体この3点になるでしょうか? この大がかりなキャンペーンの結果、条件に合わないので関心はないという買い手にさえも物件の所在、少なくとも物件名だけは記憶に残るようになるのです。

●マンションギャラリーには大がかりな仕掛けが用意される

物件の魅力を広告でアピールする目的は、いかに買い手に現地および販売拠点に足を運んでもらうかにあります。

販売拠点はマンションギャラリーと読んだり、ゲストサロンなどと言ったりしますが、いずれにせよ、そこには物件の魅力を漏らさずプレゼンテーションするための装置がたくさん用意されています。

モデルルームは複数、物件によっては5タイプも建設されます。

買い手がモデルルームの見学の前に見せられるのが、シアタールームと呼ばれる映像によるプレゼンテーションです。

そして、大型の外観模型やジオラマ、構造を説明するための断面模型、大きく引き伸ばした完成予想パースを掲示したコーナー、カラーセレクトやオプションの展示コーナーなどに誘導されます。

最後はモデルルームですが、モデルルームは基本形を崩したものが多く、いわばよそ行きの服を着込み、化粧を施した娘さんという感じです。3LDKは例外なく2LDKにして展示しています。

1部屋をリビングと一体にして大きく見せるのです。お洒落な家具と家電、カーテン、インテリア小物などで綺麗に飾ります。

デパートでも高価な商品を売るときは、服ならマネキンに着せたりしますし、どのような商品でも照明を当てる方向にまで神経を使います。また、背景や展示台の色と材質を考えて見映えよく展示するものです。マンションのモデルルームも同じ発想と言えます。

大型物件では、販売拠点、すなわちマンションギャラリーの建設費用だけでも、2~3億円もかけると言われます。1000戸のマンションなら、売上だけで500億円にもなるので、そのくらいは高がしれていると言えましょう。

体験済みの読者なら、大型マンションの販売拠点は、そのスケールの大きさと大がかりな仕掛けに、また来場者の列や熱気などに最初は圧倒されたことと思います。そして、少なくとも瞬間的には、まるで魔法にでもかかったように「買いたい・欲しい・住みたい」と感じたことでしょう。

それが売り手の狙いなのです。大型マンションの多くは、魅力的な物件ばかりです。夢見心地になって購入したとしても、多くは間違いないかもしれません。

しかし、どのような物件も完璧ではありません。メリットだらけのように見える大型マンションであっても、欠点・デメリットは隠れています。

そこが後悔につながることにならないとは限りません。しかし、買い手に我を忘れさせ、来場者の中から高い確率で「登録」という名の購入予約を売主は勝ち取りたいのです。その狙いを念頭に置きながら可能な限り冷静に判断したいものです。

●気を付けたいのは高値掴み

致命的な欠点がなく、魅力にあふれた大型マンションでも、いつも筆者が気になるのは価格の妥当性です。というのも、多くは割高な感じがするからです。

確かに、これだけの価値があれば高くて当然だろうと思わないでもないのですが、物件によっては「高過ぎる」と思う物件も少なくないのです。

マンションの価値を大きく左右するのは立地条件ですから、立地が良く、その上に建物が付加価値豊富で魅力にあふれるならば高くても当然であるし、将来価格も高いであろうと期待する人も多いのでしょう。ゆえに、売れ行きも好調に推移します。

しかし、過去の人気物件を追跡すると、期待はずれであったという例も少なくはありません。つまり購入価格から下がってしまった物件もあるのです。

東京都のデータを紹介すると、購入時から10年後には平均で僅か3.8%ダウンだったそうです(今春の集計。東京カンテイ社調べ)が、物件によっては30%も上がった物件があり、他方30%ダウンの物件もあったので、上下の幅は大きいと言えます。

そんな中、大型で人気となった物件が10%ダウンとなったと聞くと、期待外れと言うほかありません。これはどうしたことでしょう。

答は簡単です。価値に見合う分譲価格ではなかった、言い換えると高値で買ってしまったのです。

中古マンションは、工事中に販売される新築マンションと異なり、見たまま感じたまま、言い換えれば「素のまま」で物件を確認できることになりますが、それがかえって十分な商品アピールとならないこともあるのです。

中古市場では、新築時のような派手な宣伝広告も大がかりな販売装置もありません。映像や飾ったモデルルームなどを使った商品アピールもありません。

販売を担当する営業マンも、新築では専任者となって当該物件だけを売ろうとしますが、中古は複数の物件を担当するという根本的な違いがあります。その差が成約への熱意の差となりがちです。

こうした違いが、値上がり期待を裏切るのです。

新築は売主企業が決めた分譲価格を値引きなしで販売します。人気物件なら、最後まで値引きなしの販売を押し通すことでしょう。

これに対して、中古マンションは買い手と売り手の間で価格交渉が行われるのが通例です。買い手が高いと感じれば指値をしますし、売り手は購入(内覧)希望者の発生度などを見て強気になったり弱気になったりします。

それでも売り出し価格が、そもそも高く設定、すなわち査定価格が高ければ値引きに応じても売り手の期待の範囲に留まることでしょう。ところが、査定段階で売り手を落胆させてしまうようなケースが多いのも事実です。

新築分譲の段階で高い人気となった物件の中には、販売・広告戦略が功を奏し、割高な物件も割高と感じさせない事例があります。 割高と感じながらも購買意欲の高まりを抑えきれずに購買へと導かれてしまう買い手も多いのです。

沈着冷静な買い手でも、マンションギャラリーに集まった熱気にあふれた購入予定者群を見たら、「これだけ数多くの人々が押し寄せているのだから、良い物件であることは間違いあるまい。価格は高い印象もあるが、それでも支持する人が多いのだから適正なのかもしれない」という心理になってしまうためです。

将に売り手の戦略・戦術にはまってしまったというほかありません。

1日に一人ずつ内覧するような中古の販売方法とは天地ほどの差があります。ここに高値掴みの落とし穴があるとも言えるのです。気を付けたい重要な部分です。

とはいえ、この罠から抜けるのは容易なことではありません。そんなとき、筆者の「無料・マンション評価サービス」が役立つはずです。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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