「マンションと言えば中古」の時代が来る?

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

たびたび書いて来たことですが、新築マンションの発売戸数が減っています。首都圏全体で見たとき、ピークの90,000戸台から昨年は40,000戸台とほぼ半減したのです。

理由や背景はともあれ、新築マンションの品数が少ないために買いたくても買えない状態が続いています。

新築を諦めて中古に切り替える人も増えていると考えられます。今後は、新築でなく中古も当たり前のように選択の対象に浮上する時代になるのでしょうか? 

●新築住宅はもう要らない?

欧米諸国の住宅取引は中古が大半で、新築中心の日本とは大きな隔たりがあるという話をお聞きになったことがあると思います。

中古取引が70~80%という欧米、新築取引が80%以上の日本(一戸建てを含む)という構図だそうで、よく住宅情報誌や新聞の特集記事などで取り上げられます。

ご承知のように、今は全国的に住宅が余っていて、空き家が大きな社会問題になろうとしています。

戦後の復興政策で始まった新築住宅の建設促進策は、質より量を追うものでした。やがて、欧米からの「ウサギ小屋批判」を受けて質的向上を図りましたが、相変わらずの新築住宅建設を促進するものでした。つまり、質も量もという政策に転換したのでした。

住宅建設は「持家促進策」でもありました。住宅建設促進税制という住宅関連の税金を特別措置法で軽減したり、所得税の軽減(ローン控除)を実施したりというものでした。

今はもうない「住宅金融公庫」の低利融資も長い間、住宅取得を応援する大きな武器であったのです。

しかし、家はもう建てなくても十分に数があるというだけでなく、質的な意味でも欧米に負けないレベル(主に一戸建ての広さのこと)になったと統計数字は語っています。

これからも住宅需要はなくなることはありませんが、その大半は転勤や就職・結婚等による人口移動によるものです。加えて老朽化による更新需要、地震対策による高強度住宅への転換需要などがあるからです。

これらを満たすため、新築住宅も一定数は建設が続けられて行くことでしょう。

●マンションの新たな需要

マンションに限定して考えてみましょう。

人口・世帯数が増えなければ住宅需要の絶対数は増えません。かつて「核家族化」という言葉が誕生した時代、子供が独立するたびに新たな家が必要になったので、子供二人の標準家庭は子供が成人し結婚すると二つの家が必要なこともありました。

最近はどうでしょうか。子供の数が少ないので新たな家も1軒で足ります。また結婚年齢も遅くなったり、結婚しない人も増えたりで、親と同居を続ける独身者も増えて、結局は新たに家を求める数が減ってしまったのです。

一方、新たな家に対する需要が増えたとき賃貸住宅への需要も高まったわけですが、そのために賃料もウナギのぼりに高くなりました。最近はどうでしょうか?

需要が減ったのだから賃料も安くなって当然と思いきや、最近は東京圏に限れば外国人居住者が老朽化した賃貸住宅の需要を担う形となり、賃料は高いまま安定しているようです。

それでも、戦後のひとときのような貸し手市場ではなく、借り手の争奪戦の色彩が強くなったようです。いかに高く貸せるか、そのための個性的な賃貸住宅づくりも盛んです。

単身者は一旦、賃貸住宅に住んでも、やがて分譲マンションを購入するのが最近の風潮で、男女問わずにマンション購入へ動くので、ますます賃貸住宅は需要が増えない傾向にあるとも言えます。

単身者が分譲マンションを買うという現象は、需要ボリュームを底上げする要因となります。シニア層からも同様の傾向が見られます。

かつて憧れだった庭付き一戸建てを手に入れたシニア層は、子供の独立に伴って一戸建てを持て余す傾向が高まったことから、マンションへの住み替えに動いているからです。

夢の一戸建ても、残念ながらバスを利用しなければならないとか、家族に最寄り駅まで送迎してもらわなければならない、または都心から1時間以上も電車に揺られる郊外にあるのが普通です。このため、夫婦二人で老後を楽しむには便利な立地のマンションが良いと、都心の利便性の高いマンションに買い替えようという新たな需要を生んだのです。

東京圏は全国的な傾向と異なり、地方からの人口流入が続いています。つまり、人口減少はどこの国の話なのかと疑いたくなりそうな傾向にあると言えます。

このように考えると、東京圏のマンション需要は根強く続いて行くようにも思います。

しかし、2050年までに東京の人口は現在の1300万人から1000万人に23%も減少するという推計を東京都がまとめて公表しています。首都圏全体でも大きな人口減に直面することになるのでしょうか。

詰まるところ、新たなマンション需要が期待できるといえどもプラスよりマイナスが大きいと言えそうです。

●新築志向が強い日本人

需要が減れば、家余り現象が顕著になって来ることでしょう。既存住宅の改修だけで十分に需要に応えられる理屈も成り立ちます。

マンションに限れば、利便性の高さで一戸建てからの住み替え需要をまかなう必要があるかもしれませんが、新築がまるで足りないということはもうないはずです。

しかし、日本人は何故か買い替えの人も初めてマイホームを求める人も、中古より新築を選ぶ傾向が強いと言われて来ました。

中古に売り物が多数あっても見向きもせず新築へ向かう人のです。

中古マンションに住む人が買い替えを考える場合でも、新築を目指すことが多いと言われます。

場所や広さに生活上の不都合が起こって買い替えるということなら、新築でなくてもいいわけですが、実際には設備の良さから新築のモデルルームを見て購買意欲を高めているという側面もあるとされます。

勿論、これからは築後40年、50年と古いマンションがどんどん増えて来るので、耐久性や耐震性への不安から新築需要はなくなりません。

●買い替えで発生する中古の売り物

中古から新築へ住み替えるとき、元のマンションを売らずに賃貸する人もありますが、売却する人が多数発生することになります。

新築マンションは数が少ないうえ、設備もデザインも斬新で人気ですが、価格は高くなる傾向にあります。

新築を購入できる人は、既にマンションを所有しており、その売却によって自己資金を多額に捻出できる中高年層などに限られて来るかもしれません。

一次取得者が選択できるのは新築に較べて価格の安い中古へ向かう流れが強まって来るのかもしれません。

●優良な中古マンションが増えて来る

一方、中古マンションも2000年以降に建てられた物件には、住宅性能評価書が付く比率が増えています。これは、いわば「鑑定書」が付いた品物なので安心感が強まり、中古取引の壁のひとつが解消されることになります。

住宅性能評価書が付けば、上級のものでなくても一定の品質が第三者により保証されていることから安心材料となるものです。これにより、中古取引が活発になる可能性があります。

また、性能面で上位の等級を狙った優良マンションも増えました。特に、耐久性や省エネ性で高い等級を持つ物件が増えてきたのです。 タワーマンションでは免震構造のマンションも都心中心に増加しています。

また、最近は所有者の管理意識が高まり、修繕積立金を増やして大規模な改修に努めるマンションも増えています。

さらに、最近はリノベーションと言われる新築と変わらないレベルに変身したリフォーム済みの中古も増えて来ます。数は少ないものの、個性的で一般的な新築マンションと比べても見劣りしない例が増えて来ました。

リノベーションの実例を見る機会が増えたことが、中古マンションへの期待を高めているとも言えそうです。

以上のような時代の変化を見ると、今後は新築にこだわらないで探す人が増えて来るに違いないと予測できそうです。

「マンション購入と言えば中古も当たり前」の時代が来るかもしれません。

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