第606回 中古価格の上昇を毛嫌いする声もあるが・・・

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論を展開しております。資産価値を重んじる方のための購入のハウツーをお届けするもので、お気に障ることもあろうかと思いますが、満点の家はないと思っていただき、失礼はお許し下さい。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

中古も高い。同じ高いなら、新築にした方が得ではないかと考える人が多いことに驚きます。

 

中古が新築より高いなどということはありえないことです。

関連記事はこちらhttps://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/9172/

 

何故そう感じるのでしょうか?同じ最寄り駅の新築Aと築10年の中古B、同じような広さで価格が同じ。そのような事実は確かにありますが、新築Aと中古Bの価値が同じだから同じ価格になるのです

 

しかし、その価値判断をする術を知らない買い手が「中古は高い」と感じるのも無理はありません。その結果、「新築を検討した方がいいよ」と思ってしまうのです。

 

こうして中古を敬遠している人も最近は多いように感じます。原因は急激な相場の上昇にあるのかもしれません。

 

●中古の価格は新築の価格に連動する

新築が上昇中のときは、割安な中古に需要が向かいます。すると、やがて中古も値が上がるのです。反対に、新築が下落すると中古も値下がりします。

 

首都圏全体の新築価格(坪単価)は2012年が@213万円でしたが、2016年には@284万円にもなりました。5年間の上昇率33%です。東京23区を見ても、2012年の@264万円から2017年の@357万円に35%上昇しました。

 

中古マンションは2017年の集計が出ていないので2016年までを見ることにしますが、首都圏全体で2012年が@127万円(平均築年数19.01年)でした。2016年には@160万円(同20.38年)となり、上昇率26%でした。

 

(新築の2016年は首都圏平均で@262万円、2012年比23%だったので、3%差ですが中古が新築を超える率で上昇しました)

 

毎年の動きをグラフに表すと、新築と中古の上昇・下降曲線と、中古のそれが平行線を辿っていることが分かるのです。(図表は省略)

 

しかし、統計数値は平均で表わすことが多いので、奥底に隠れている真実を見落とすことがあります。

 

新築にしろ中古にしろ、マンションの価格・価値は個別要素によって大きな格差があるものです。そのため、ある地域では販売中の新築マンションより中古マンションの方が高いという現実が見つかります。

 

地域が同じといえども、かたや高速道路沿い、かたや公園前といった差、単純には駅から3分と10分の差、50階建て超高層と10階建て中高層、あるいはブランドマンションと無名のマンションといった差もあります。

 

比較項目はひとつだけでなく複数の要素が絡むので判断は難しいのかもしれませんが、結果的には高く評価する中古もあって、新築を超える価格になる物件が登場するのです。

 

つまり、特定の中古が高いのは周辺の新築マンションよりトータル価値が優れているからです。

 

●購入時の価格を知ってしまって憤慨する人

そもそも新築並みに高いことに驚いて、中古を買うモチベーションは下がったという人がいます。また、相場上昇の流れに悪乗りして強気の価格で売り出すオーナーもあって、購入時の価格を教えてくれる仲介業者から聞いて値上がり幅の大きさに買う気をなくしたという人もあります。

 

僅か5年かもしれないが、住んで汚した家を1000万円も高く売りつけるなんて、欲張りも甚だしいと怒っていた人にもお会いしました。「市場原理だから仕方ないと理屈を聞かされても、自分の感情が許さない」ということなのでしょう。

 

仲介の営業マンはなぜ分譲価格を言うのでしょう。何人かに尋ねました。

どうやら「このマンションはこんなに値上がりしたのです。それだけ価値あるマンションなのです」と言いたかったらしいのです。

まるで逆効果の営業トークです。

 

ともあれ、新築が高いのは納得できるが、中古が高いのは許せないという感情論は胸の内に納めた方がよいでしょう。なぜなら、新築だけ狙ったのでは買うものは見つからないからです。

 

●新築を追いかけるより中古の方がよいかもしれない

買い手さんはどこかに良いマンションはないかと、毎日さまざまな検索作業を行使していますが、中々見つからないとこぼします。検索の範囲を拡大していくうちに、迷子になってしまう人も多いようです。

 

見るべきポイントを見失い、選んではいけない物件に辿り着く人もあります。それを糾すと、「あ、そうだった」と気付く人も多いのですが、うかつにも申込金を入れてしまったとか、手付金を支払う約束をしてしまったという人にもよく遭遇します。

 

追いかけ続ける人の中には、2年先3年先の販売物件(つまり、完成は5年後だったりする)をターゲットにしてしまう人も少なくないようです。

 

筆者も、よく尋ねられます。これから発売されるマンションで良いものはありませんかと。

そのときこう答えます。「今は新築マンションには興味をなくしています。なぜなら、いくら素晴らしいマンションが計画されているといっても、おそろしく価格が高いので、結局待った甲斐があることにはならないからです。そんな情報は役に立ちません」と。

 

再開発によって駅の近くで大規模で付加価値も高い優良マンションが出て来る可能性はあっても、その数は知れていますし、貴方が希望するエリアにはないかもしれません。候補地に入れても良いと思える場所に出るとしても、価格が高いことは間違いないのです。

 

評判になった物件で、価格も安い(その価値に見合う)物件は、首都圏中探しても年に1件あるかないかです。価格はいくら高くてもいいから買いたいという人は、それぞれの物件単位に見れば何人かはあるでしょう。あなたも、その一人なら何も申しませんが、そうでないなら、追いかけるのは得策ではありません・・・こう付け加えています。

 

今ある新築、今ある中古の中から選ぶしかないのです。新築の供給は細ってしまったので、中古もターゲットにしないと買えないのです

 

しかも、新築はろくなものがないと言ったら言い過ぎですが、そう感じるほどお粗末な新築物件が多いのです。

そもそも駅に近いところを望んでも、駅に近いところに空き地はなく、たまに現われると、小規模であったり、ワンルームが混在していたり、魅力的な物件は本当に少ないのです。マシな物件が出ても、価格が信じられない高さであったりします。

 

手頃な価格の物件になると、駅から遠い、谷地である、ブランド価値ゼロ、しかも駅からも遠い、細かく見て行くと間取りが良くない、梁が下がり天井が低い、これが大手ブランドマンションかと疑うような物件だったりするのです。

 

中古がこんなに高いのかと抵抗を感じながらも、立地条件、外観の風格、エントランス周りの上質感や高級感、何よりリビングルームからの見晴らしのよさ、室内は少しよごれているが、壁紙だけ貼りかえれば良さそうだ、便器も交換しようかーーこんなふうに気に入る物件が見つかる可能性は高いのです。

 

新築を求めて予告広告の段階から興味を持った物件があって、モデルルームも何回か通ったが、決断の時期までに半年を要し、結局は購入を見送った。こんなことなら、半年の間に中古を探せばよかった。そう後悔していた人もありました。

 

ご縁なので仕方ないのですが、半年前にお会いできていたら、今頃どこかを買っていただろうにと何度思ったことでしょう

 

そんなことも最近は強く感じています。これまでは、ご相談者が持ち込んだ物件を客観的に評価するという受け身の仕事に終始して来ましたが、筆者は仲介業を営むつもりはないものの、特定物件の評価サービスや将来価格の予測サービスをしているだけでよいのかと反省しつつ、もっと踏み込んで物件探しのお手伝いもしなければと、昨年末からサポート策を模索しています。

 

脱線しましたが、どうやってマンション探しをしたらいいのか、そのお答えの一端は「新築にこだわってはダメ。中古も候補に入れること」と進言たいと思います。。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

 

 

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何がすごいのか、上記ホームページに記載ない部分をここで初めてご紹介します。

以下は、住まいスタジアムにご相談でお越しになった方のみ限定の追加サービスです。

 

「ご検討物件を1回あたり5件お知らせください。それぞれに評価コメントを要点のみ書いて2日以内にお届けします。これを原則としてゴールに辿り着くまで続けます。追加料金は一定範囲まで(1年間など)いただきません。また、新築・中古を問いません。

 

あまり深く掘り下げないで(考えれば考えるほど、調べれば調べるほど悩み、時間もロスするからです)、予算の範囲にあれば、どこでも構わず、興味を持った物件のURL(新築は間取りと価格も)をお知らせ頂くだけでいいのです。

 

コメントを読み、さらに興味を持った物件があれば、現地を確認したのち、前向きに検討したい・買う方向に傾いたという段階でご依頼いただくと、詳細を調査分析した20~50ページの「マンション評価レポート」を追加料金なしで提供します。

 

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