中国不安で世界同時株安の動揺。マンションはどうなる?
- 2015.08.25
- マンション市場
ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
このところ株式市場と為替の動向が異様です。 少し前にも一時急激な株安、円高があり、短期間で収まりましたが、昨日(2015年8月24日)までの4日間で日経平均は2000円以上も値を下げ、20,000円を大きく割り込む18,540円に下げたのです。特に昨日は895円の大暴落となり、大きな衝撃を与えました。
同時に、有事に最も安全資産と言われる円を買う動きが加速し、1ドル=116円前後まで円高が進みました。8月中旬には1ドル=124円前後だったので円買いの大きさが分かります。
この2年半、アベノミクス効果で株価は回復し、円高の修正が進みました。円安が急速に進んだことにより、輸出産業は差益を稼ぎ、上場企業の半数近くが過去最高の営業利益を計上するという好決算となりました。そうして、株価は15年ぶりに20,000円台を回復し、一時は21,000円をうかがう展開でしたが、再び19,000円台に戻ってしまったのです。
日本の財政は、ご存知の通り借金まみれです。世界に類を見ない、天文学的な金額まで膨らんでいくばかりです。それにも関わらず円が買われるのは、日本は世界でも稀にみる安全な国だからです。
日本は治安が良く、政情も安定しているため、突然のクーデターやテロで相場が暴落するなどという危険性もほとんどないので、海外で通貨と経済に不安材料が出たとき、通貨は真っ先に円へ逃避する、すなわち円高になる傾向があります。
円が高くなると輸出産業は利益が減るので、株は売られやすくなります。一方、内需型産業でも円高の影響を受ける例があります。
例えば、円安効果で訪日外国人が急増し観光産業が潤いました。また、中国人の爆買いによって販売が好調だった家電製品や日用品を扱う企業の業績が高まりつつありました。円高は、これらを元の木阿弥にしかねません。
また、円高は外国からの投資が減ったりもします。今日の日経新聞(2015年8月25日)によれば、三井不動産の株価が前日比10%もの大幅な下落となったのは、外国人が日本投資を手控えるだろうとの思惑から売り一色になったためと分析しています。
今回の株安のきっかけは、中国不安にあるとされます。1週間前の大幅な下落は人民元の切り下げを中国政府が発表したことでした。輸出を増やす狙いと言われました。一昨日と昨日の急落も中国景気の減速を予想するところから起こっているとされます。
世界第2位の経済大国となった中国とは、先進国も途上国も、その多くが経済的なつながりを強めて来ましたから、中国の成長率が鈍化することは自国の経済の減速を招くのでしょう。
そのように不安視することが各国の動揺を誘い、マネーの動揺となったのです。その結果、このところの株安は、日本だけではなく欧米も中国も東南アジアでも起こっています。つまり、世界同時株安となったというわけです。
さて、世界同時株安は、これから世界同時不況などに発展して行くのでしょうか?また、円高は国内景気の後退を招くのでしょうか?
振り返ると、リーマンショックをきっかけに起きた世界金融危機、世界同時不況が100年に一度あるかないかの経済危機と言われたのは、記憶に新しく、2008年から2010年にかけてのことでした。
その当時のマンション市場をが思い起こしてみましょう。
その前(2005年~2007年)、マンション価格は急騰し、ミニバブルと呼ばれていました。地価も上がり、販売好調を良いことに高値で売り出し、売れるから上がる、上がるから売れるという循環を見せていたのです。
ところが、2008年後半からマンションの売れ行きは急ブレーキがかかりました。原因は言うまでもないですが、価格上昇が需要の後退を招いたからです。そこへリーマンショックをきっかけとする世界同時不況がやって来ました。
マンションは売れなくなりました。買い手の多くは価格上昇に嫌気しただけではなく、景気の先行きに強い不安を抱き模様眺めに転じたためです。
この不況は先に金融危機をもたらしたので、金融機関は防衛策に走ることとなりました。 不動産会社への融資金回収などの策を講じたのです。 そうして、中堅不動産会社が全国で何十社も倒産しました。
2009年以降、マンション価格は大幅な値引き販売が常態化し、冬の時代へ突入したのです。
値引きは統計に表れにくいので実態は不明ですが、定価の数字だけを見ても価格低下は顕著でした。 東京23区だけをご紹介すると、平均坪単価で2007年・2008年は280万円台でしたが、2009年~2012年は260万円台に下落したのです。
それから3年、現在はどういう状況でしょうか?
再びミニバブルが発生して、2008年時の価格を超える水準になりました。23区の価格は、2013年に8%も急上昇し285万円となったのです。2014年も2015年の現在も価格上昇のトレンドは続いています。2015年1~6月の23区平均は、とうとう300万円を超えてしまいました。
中古市場も、連月価格上昇のニュースが伝わって来ます。
もしかすると、近々景況は悪化し、株価上昇で都心のマンションの好況を支えている富裕層や外国人投資家が買い控えに転じ、バブルが弾けてしまうかもしれません。連れて、首都圏全般の売れ行きも新築・中古ともに不振となり、価格は下落トレンドへ転じるかもしれません。
思えば、マンション価格は、経済変動(景況)によって上下動を繰り返して来ましたが、今後も同じでしょう。 例えば10年レンジ(スパン)くらいで見れば、結局は上がることはあっても下がらないものです。
2014年のマンション価格を首都圏全体(一都三県)で見ると、2004年の坪単価@182万円と比べると29%も上がって@235万円となりました。 今回の値上がり前の2012年を見ても@213万円と17%アップなのです。
世界の予測不能な事件や変動によって、思わぬ危機に直面しても、日本人・日本経済は適応し、克服して来ました。 敗戦、石油危機、円高、巨大地震、大津波などが典型的です。
高度経済成長は随分前に終わりましたが、今日まで僅かながらも経済成長を続けて来られたのは、日本人の能力や国民性にあると言って間違いはないはずです。
その意味からも、現在の株価下落と円高など大きな問題ではないと言えるかもしれません。何故なら、少し前までは株価は10,000円以下だったのですし、円レートも80円台だったのですから。
長期的には、人口減少問題への対応は不十分なので、それがマンションの資産価値にも影響を与えて来ることは間違いないと思います。ただし、これはマクロの見解であって、影響を受けにくいものもあるのです。
それは、地域で言えば大都市の中心部、生活利便性で言えば駅近マンション、需要階層で言えばシニア層や富裕層、あるいは夫婦共働きなどで世帯収入の多い家庭が求める物件などです。
今回の事象を見て悲観的になるのはいかがなものか、そんなふうに思います。
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