第637回 着工戸数が減って「新築マンションはますます品薄に?」

このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

国土交通省が毎月集計している「新設住宅着工戸数」という統計をご存知でしょうか?これは、工務店・ゼネコン等が工事に着手したら「着工届け」を提出することになっており、サンプル調査による推計と違って実数が把握できる貴重な資料です。

 

通常、建築物を建築しようとする場合には建築確認申請とともに「建築工事届」(通称「着工届け」)を提出する必要があります。 これは建築活動の状況を把握することにより経済活動の貴重な資料となるものです。 提出された届け出は、都道府県知事が統計を作成したのち国土交通省へ送付され、統計法に基づき建築着工統計として一般にも公表されます。

 

この統計は「分譲住宅」、「持ち家(=注文建築)」、「貸家(アパート・賃貸マンション)」、「給与住宅(官舎・社宅)」の4種に分類されています。分譲住宅は一戸建てとマンションの2つに小分類されているので、5分類とも言えます。

 

さて、この統計からマンションに関してどんなことが分かるのでしょうか?

 

  • ●着工戸数は先行指標である

ご承知のように、分譲マンションは工事中に販売を開始します。しかし、販売準備の関係から着工後直ちに販売活動が開始できるわけではありません。

着工してから半年ほど経過した辺りから販売を行い、何期かに分けて順次売り出すのが普通です。

 

つまり、着工戸数はマンションの全戸数を表し、販売戸数の統計は分割戸数を発売時期ごとに遅れて加算計上する(民間集計)ことになるのです。

 

着工統計を見ることで、今後の新築マンションの発売戸数は増えるか減るかを先読みすることができるわけです。

 

  • ●首都圏の着工戸数の推移

首都圏マンションの着工戸数は、2015年:63,080戸、2016年:65462戸、2017年:57,591戸と推移して来ました。

 

これはリーマンショック直後の2009年(40,041戸)に比べれば増えているものの、回復基調にあった2012年の70,544戸から見れば減少傾向を示しています。

 

2018年の上半期集計でも25,980戸で、これは前年同期比34.7%の大幅減となっているのです。このままでは、2018年の年間では高く見積もっても55,000戸程度と推計しています。つまり、2017年比5%の減少となりそうです。2012年比では22%減少です。

 

着工戸数減少の要因として考えられるのは以下の二つです。

 

※既に着工戸数したが、売れ行きが悪いので在庫が溜まっているため。

未発売戸数は調査会社の集計ではカウントされませんが、売主側の認識では工事だけが進み販売開始に至らない「隠れ在庫」となります。

在庫が溜まると、建築許可が出ていて、いつでも着工できる状態にある物件にストップがかかるからです。一種の在庫調整ということになります。

 

※もうひとつの原因は、用地そのものが取得出来ていないためと考えられます。

着工したくても、用地難のために着工できる案件がないのです。遅ればせながら取得出来ても、許認可を取るまで至っていない、つまりスケジュールが遅れているということも考えられます。

また、建築費が予算内に収まらないので、ゼネコン探しに手間取っていたり、内定したとしても予算オーバーなので、その調整作業に時間がかかって着工できないということもありそうです。

 

●着工件数が減るのは販売戸数の減少とイコールである

いずれにしても、着工件数が減るということは遅行指標の販売戸数も減ることを示唆しています。

 

新築マンションの販売戸数はここ数年低迷しています。本ブログでも何度も指摘して来たことです。

 

スーパーに行ったが品物が少ない。入荷がないのだという。その状態が何年も続いています。空っぽの陳列棚もあり、僅かに品物が並んでいる棚を見ると賞味期限が近づいている物ばかり、新着の新鮮な果物が並ぶ棚を見ると、手が出ないほど高い値札が張ってある

新築マンション市場は、例えるとこんな状況にあるのです。

 

●新築にこだわったら買えない

マンションを買おうとする理由は人それぞれですが、一般的には、結婚、子供の誕生、転勤、子供の進学、子供の独立、定年といった人生の転機やライフステージの転機が挙げられますが、列挙してみると以下のようなものになります。

1)賃貸マンションに住んでいるが、契約更新で値上げ通告を受けた。

2)子供ができて手狭になったので引っ越しを考えたが家賃が高く、これだったら買った方がいいかもと思った。

3)知人がマンションを買ったことを転居通知で知った。

4)安普請の賃貸マンションに住んでいたが、地震の揺れに驚き、丈夫な分譲マンションに住みたいと思った。

5)2階の居住者がうるさいので遮音性の高いマンションに住みたいと思った。

6)共働き夫婦は住宅ローン控除を二人分使えばとくだと知った。

 

こうしたマイホーム取得には、期限があるわけではないものの、買いたいと思ったら脇目も振らず猪突猛進という人も少なくありません。思い立ったが吉日ともいうので、チャンスと思ったら積極的に検討するのは悪くないので、活発にマンション探しの行動が進むのでしょう。

 

しかし、新築マンションの数が少ないという構造的な問題を知らないと無駄な行動を繰り返す罠に陥りかねません

マンション市場には新築も中古もあるのです。中古マンションは毎月45,000戸も出ています(首都圏)。新築の発売戸数が1年で35,000戸、月平均3000戸弱と比べると、数だけなら圧倒的に中古が多いことが分かります。

何度も言い続けて来たことですが、視野を広くして探すことが必要な時期です。

中古は探しにくいと考えている人も多いようです。お困りの節は筆者までご相談メールをお気軽にお寄せください

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

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