熊本地震「マンション崩壊」の映像を見て

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

座屈(ざくつ)という、一般には聞きなれない建築用語があります。マンションの1階のピロティ―(建物を支える柱だけの空間。駐車場に利用される)が、2階から上の建物の重みでつぶれてしまうことを言います。

2016年4月14日をスタートに連発している熊本の大地震を伝えるTV報道で映し出されたのでご記憶のことと思います。 ピロティに駐車してあった車がつぶれている様子や、1階部分の柱が折れ曲がって鉄筋が飛び出していました。

2階から上の共用廊下は、本来なら水平であるはずなのに、波打っていたり、「逆への字」になっていたりしていました。

既視感というのでしょうか。実際には見たことがないのに、どこかで見たかのように感じることですが、一瞬そう思った人もあったのではないかと思います。

筆者には、確かな記憶としてよみがえりました。1995年の阪神淡路地震のときに何度も見た映像と同じです。実際に現地を歩いて見た光景でもあったのです。

あれから21年も経ちました。普段は忘れていることですが、鮮烈な映像は瞼の奥にしっかり記憶されてしまうものと、あらためて感じました。多分50年経っても忘れない光景なのだろうと思います。

脱線しますが、ピロティ形式のマンションは座屈の可能性が高いから購入は止めた方がいいなどと、当時、得意顔で発言していた専門家がありました。しかし、その後もピロティ形式のマンションは多数建設されて来ました。

言うまでもないのですが、ピロティ形式であろうがなかろうが、今の建築法規では震度6強~7でも倒壊・崩壊しないことを「耐震性能」の最低基準としています。

座屈したり傾いたりしたマンションは、現基準を満たしていない、つまり1981年以前の旧・耐震基準で建てられた古いものだったに違いありません。

また、映像では壁に亀裂ができた建物も何回か登場しました。あの壁は「雑壁」と呼び、「構造壁」と区分されているもので、地震エネルギーを亀裂によって逃がす役割を持つものです。言い換えると、亀裂が起きた方がよいというわけです。亀裂が起きるように設計されているとも言えます。

話を元に戻します。 

昨年10月に発覚した横浜市のマンションの「杭工事欠陥」事件は記憶に新しいですが、マンション検討者の多くが早くも無関心になってしまったかのように思えて仕方ありません。無論、数字的な根拠はないのですが、筆者へ届くご相談メールなどから何も伝わって来ないのです。

「このマンションは大丈夫ですか?」と問われる前に、売主サイドは「適切に杭工事を完了した旨の確認をしております」などといった書面を提示していることが不安を消し去ってしまったのでしょうか?

とまれ、欠陥マンション騒ぎは収まり、何もなかったかのように時は流れています。

杭が堅い地盤(支持層)に達していなかったという前代未聞の欠陥工事は、2年続きで発覚しましたが、他にはなかったのでしょうか? 

2件の事件は、傾きが発見しやすい建物だった(2棟を渡り廊下でつないだ形状なので、棟の片方が傾いたことによって棟間で段差が生じた)からではないのか? 横浜市の地層の特殊性から考えて、他にも同様の可能性の潜むマンションが存在するのではないか。そんな疑問は消えていません。

工事中の新築マンションの場合はチェックのしようがなく、施工会社並びに分譲主を信頼するほかありませんが、中古マンションを検討するときは、四方八方から建物をよくチェックした方がよいのです。

天災は忘れた頃にやって来ると言います。阪神淡路大地震は千年に一度と言われました。今回の熊本も百年ぶりの大地震だったそうです。

人間の寿命から見て、千年も前のことは誰も覚えていないのですから、対応ができていないのも仕方ないのかもしれませんが、半年前の事件は言わずもがな、20年くらい前の事件や天災なども忘れずに、購入前のチェックはしっかりしておきたいものです。

流行は短いものですが、マンションを購入するとき、地盤、杭工事、耐震性、遮音性、耐久性などと、売主の施工管理・品質管理体制などを厳しく問う買主の姿勢は不易であるべきです。

とはいえ、若い買い手の中には、阪神淡路の被害状況でさえ記憶にないという人もあるでしょうし、首都圏の人にとって阪神淡路の記憶は薄いということかもしれません。

10年も経ったら、事故や事件、天災を教訓とするチェックポイントなど、世間で忘れ去られてしまうかもしれません。まして、何も覚えていない、体験がない若年層の買い手にチェックを求めても無理がありそうです。

風化を導く人間の習性や世代の交替を思うとき、学習した先人の知恵をどのような形で後世に残すべきか、その方法論を考えながら、その役割の一翼を担えたらいいなと思う日々です。

 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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