適正価格の見極めに苦慮する買い手

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

買おうとしているマンションが、「どうも割高な感じがする」とか、「高いがそれなりの価値があるようにも思う。でも、本当のところはどうなのか」といった疑問を持つ人が多いようで、筆者へのご相談の中にも多数見られます。

「このマンションは適正価格ですか?」というご質問に対し、常に丁寧にお答えしているつもりですが、そのレポートを作成するとき、たまに勘違いしてしまう自分に気づくことがあります。

勘違いの根本に、比較するときの基準を何に置くかという問題があるためです。

相場が5000万円であるとき、購入マンションは6000万円。購入マンションの価値は相場を形成する「平均的なマンション」に比べて明らかに付加価値が大きい。その価値の検証をしてみた結果、建物価値、環境、ブランド力などを加味すると購入マンションに平均的なマンションより明らかに高い価値があると判定。

それで1000万円の差はあるとの見解を出したとします。さて、これだけで「価格は適正です」という答えになるのでしょうか?

今日は、適正価格とは何かというテーマでお話ししたいと思います。

●視点➀:適正価格とは?

何を基準にして、適正価格であるとかそうでないとか言うのでしょうか。
基本的には、地域相場があって、それとの比較で高いか安いかという判断をすることになります。
相場とは、一定期間の平均販売価格によると考えられます。
一定期間とは、どのくらいのレンジを指すかですが、例えば価格が安定期にあれば3年なり5年なりになりますし、現況のような急騰期では2年前の相場と過去1年の相場では大きく変動するので、期間は短くなります。

首都圏の全体的な傾向で言えば2010年~2012年は安定していたので、その頃の相場を旧相場、値上がりが顕著になった2013年以降2015年までの価格を新相場と称したりしています。
ただし、地域によって差があり、2010~2013年が安定期で、2014年に上昇し、2015年にはさらに上昇といった地域では、相場は3段階の変動と見るべきかもしれません。2015年単年を「新・新価格」などと語る業界人もあります。新・新価格=新・新相場と同じですね。
尚、ここで言う地域相場とは、概ね最寄り駅を同一とする物件の集計によって形成されることになります。

●視点②:物件による増減ポイント

地域相場との単純比較では3割高であっても割高とは言えない物件と、2割安であっても割高な物件とがあります。言うまでもないのですが、物件価値の高低が加わるからです。
建物が高級であるとか高機能といった建物の質とグレードやブランド力によって、また駅からの距離や直近の住環境など、立地条件の差異によって物件価値に格差ができるわけです。
相場を形成している物件が上級な物件ばかりであれば、検討物件が上級であっても価格が相場より高い場合、それはそのまま割高と判定されることになります。反対に、主に中級物件で形成された相場との比較で何割か高い高級物件ならば、その物件は必ずしも割高でなくなるわけです。
また、大型のバス便物件(格安)が平均を押し下げてできた相場なら、それより10%程度高いだけの駅から徒歩10分の物件は割安かもしれません。

この比較検証は慎重に行う必要があります。同じ最寄り駅の同じような環境を持つと考えられる立地条件ならば、建物価値だけで比較すれば足りるわけですが、実際はそう単純ではありません。
同じ駅といっても、距離が5分と10分では価値判断が違いますし、隣接する建物の放つイメージや眺望、日当たり、接面道路の騒音、接する公園など、立地条件を判定する要素は複数あるからです。
こうした多数の要素を勘案しながら物件価値を検証したうえで、相場と比較して適正価格かどうかを判定することになるのです。

●視点③:直近相場との比較で安ければいいのか?

ところで、先に述べた相場の変転を踏まえて、今の相場が過去2年で急激に上昇したものであるとき、それとの比較で検討物件がレベルならば適正価格と見なしていいのでしょうか?

ここは難しいところです。

販売中の他社物件、もしくは少し前の完売物件を引き合いに出して、「高くない」ことをアピールする営業マンに出会うことがよくあります。

一定範囲のエリア地図上に物件名と価格(坪単価)を明示し、これらと比べて高くないこと、稀に安いことを買い手に強く訴える手法です。

しかし、地図の範囲が問題であって、A駅と隣のB駅では「駅力」の違いがある場合も少なくないので、それを一緒くたにして比較するのは妥当性を欠きます。また、徒歩10分超の物件と5分圏内の物件を同列に「高い・安い」を論じることはできないのです。

さらに、駅から5分の物件同士の比較では、一方が「大手ブランドマンション」で他方が「ノンブランドマンション」なら、物件価値に差がついてしまうので、価格差がないとしても「ノンブランド」は割高となるのです。

その差を埋められるだけの要素が他にあるのかないのか、さらなる検証が必要になって来ます。

●販売員の誘導に注意

販売に当たる営業マンは、物件の長所を強くアピールし、その価値の高さを買い手に理解してもらおうとします。そのために、上述の「価格の比較地図」などのツールを用いるのが普通です。

駅から3~4分と近い物件が担当であれば、中古市場における「駅からの距離別・価格変動率」というグラフを使って「駅近マンションの値打ち」を訴えます。

立地も普通で、建物プランに特別な差別化策が採られていない物件ならば、「間取りのオーダーシステム」や「多数のオプション」、「カラーバリエーション」などで買い手の関心を引こうとしたりします。

発展途上の新駅を最寄りとする物件であれば、「人口増加中のグラフ」や、自治体などが公表している「開発計画のグランドデザイン」などを使って「将来性」をアピールするというわけです。

また、最寄駅が魅力に乏しい場合は、エリアを拡大して魅力の街(生活を豊かにする施設等)が近くにあるとアピールしたりもします。

例を挙げるとキリはないのですが、売り手の様々な策によって、買い手は商品価値が実際以上に高いと錯覚させられてしまいます。逆説的には、価格の高さが「割安」に感じさせられてしまうのです。

それ自体は、当然の商行為であり、何ら非難すべきことではありません。しかし、買い手は冷静に適正価格か否かを判断することが求められます。

そのための物差し、言い換えればチェックポイントを知ることが必須です。そして、これは簡単なことではないのですが、重要度・優先度によって比重を変えて判断することが大事です。

大げさに言えば一生に一度の買い物なのですから、後悔することのないようにしたいものです。

ついでに言えば、宣伝じみてしまうことをお許しいただきたいのですが、筆者が提供する「物件評価サービス(無料)」のご活用をお勧めします。

 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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