「高い物件は高く、安い物件はより安く」の法則

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

「安く買えば、それだけお得になる」 この一見正しそうな論理は反対の結果になることがあるという話をしようと思います。

●郊外の低額物件と都心の高額物件のリセールバリューは?

言うまでもなく、都心のマンションは郊外マンションより高いものです。東京郊外の各都市にも、それぞれに働く場所があり、そこへ通勤する人もあるわけですが、首都圏住民の大多数は東京都心の職場に通勤しています。毎朝の通勤ラッシュがそれを象徴しています。

都心の職場に通う人は、できることなら自転車で通える程度か、電車でも二駅か三駅程度の近くに住まいを構えたいと思っています。しかし、そう考える人が多いために都心の住宅価格(売買・賃貸)はうなぎ上りに高くなってしまい、安い住宅を求めて郊外へ移ることとなりました。正確には押し出されたのです。

高度成長期に、都心は会社、郊外は住宅という棲み分けができてしまったということです。その後の低成長やバブル経済、ポストバブルを経て、都心への回帰が幾分進んだのです。

しかし、それは焼石に水みたいなものです。今も圧倒的に職場から遠い住まいの勤労者が多いのが実態です。

バブルがはじけてから都心への回帰現象が目立つようになったのは、価格の低下に加えて住宅ローン金利の低下で実質的に購買力がアップしたからです。

ところが、最近2年ほどの間に、マンション価格は上昇トレンドを見せるようになり、都心では買いにくくなってきました。

話しを戻しましょう。モノの値段は需要と供給の関係で決まります。職住近接を望む人が圧倒的に多いので、都心のマンションは高値となり、その傾向に大きな変化はありません。

供給を増やしたくても都心の土地は高く、そこに建てられるマンションの価格は安くなりません。土地が高いのは、それだけ土地に対する需要が多いためです。マンション以外の用途でも需要があるからに他なりません。

マンションを建てるには、ある程度まとまった大きさの土地が必要ですが、売り物が少ないので、マンション業者同士の競争は常に激しく、それが土地の価格を吊り上げる結果となるのです。

開発できる新築マンションが少なければ、中古物件にも人気が集まります。

こうして都心のマンションは、新築も高く、中古も旺盛な需要に支えられて価格は強含みとなるのです。つまり、都心のマンションは中古になっても値下がりしにくいことになります。

これに対し、郊外マンションは土地需要が相対的に少ないので、価格も安く供給できます。中古マンションも同様で、都心ほどの需要がないので、価格は常に弱含みとなります。

都心の新築マンションの価格を100とし、郊外の新築マンションを70とします。これが中古になったとき、都心は90くらいの価格を形成しますが、郊外の中古は50くらいに下がってしまいます。

これがリセールバリュー(RV)で、都心は90.0%、郊外は71.4%(50÷70)となるのです。同じ率で中古価格が決まるわけではないということです。

調査会社のデータを比較してみると、都心の駅より郊外の駅の方がRVは低いという傾向が顕著に出ています。

言い換えると、「高い物件は高く、安い物件はより安くなる」。これを法則として覚えておくといいでしょう。

注意:将来、都心が高くなり過ぎて郊外へ需要が大量に向かうことがあるかもしれません。そうなると、郊外マンションでもリセールバリューは高くなるでしょう。

また、郊外マンションの新規供給が極端に減少するようなことがあれば、郊外でも中古マンションの人気は高まり、リセールバリューは高くなるでしょう。

ただし、仮にそのような傾向に向かうときが来るとしても軒並み高くなるとは思えません。物件個別の条件によって差ができるのです。これは普遍的なものです。

その意味から、郊外都市のどこで購入するにしても、「駅近」や「中心地」「急行停車駅」などの条件を満たす物件を選択しておくのが無難と言えます。

●駅近物件とバス物件のリセールバリューは?

「高い物件は高く、安い物件はより安く」という法則は、そのまま駅近マンションとバス便マンション(主に郊外都市)との差にも当てはまります。

バス便マンションは、多くの場合で環境の良さと価格の安さを「売り」に販売されます。

バス利用の不便さは望むところではないはずですが、通勤先が近辺にあるような人を中心に、また子供が喘息のために空気の良い場所に住みたいからという人や家族数が比較的多いので広い家が欲しいという人、かつ予算が少ない需要を取り込んで販売されます。

しかし、通勤を犠牲にしてバス便を選択する絶対数は少ないのです。結局、販売は長期化します。

バス便でも「価格訴求」すれば販売が難しくないなら、安い土地を取得して開発し売り出す例は少なくないはずです。ところが多くのデベロッパーは、環境がちょっとよいくらいではバス便の弱点を克服できないことを知っています。

同時に、バス便マンションは、価格も徒歩物件の価格に較べて「格安・激安」でなければ厳しいという現実を業者はよく知っています。

ところが、マンションの原価を構成する土地代と建築費の割合において、バス便マンションは土地代の比重が低いので、土地をより安く取得できたとしてもマンション価格が「激安」とはならないのです。

格安・激安にするには、建物品質も落とさざるを得ません。しかし、品質を落とすことには限界があります。

結局、価格は落としたくても十分なレベル(格安・激安)にはなりません。言い換えると、徒歩物件との価値の差にマッチする低価格までは下がらないのです。

バス便マンションは需要が少ないので、中古になっても同様に買い手を見つけるのに苦労することになります。そのために価格は下方圧力を受けることになるのです。

徒歩物件を100とし、バス物件を80とすると、中古になったときの徒歩物件は80、バス物件は50となるのです。リセールバリュー(RV)は、徒歩物件が80.0%でバス物件は62.5%というわけです。

バス物件の新築価格は、実は80でなく激安の70にしたかったのです。しかし、取得原価、建設コストの積み上げで仕方なく80で分譲。言い換えれば割高だったというわけです。

それゆえに、中古では「より安く」なってしまうというわけです。

●値上がり期待の高額物件のリセールバリューは?

新築時のバス便マンションは、実は割高なものが多いと述べました。

80なら安いと感じる人もあります。駅近マンションより環境もいいからと納得させて購入に踏み切る人もあるわけです。しかし、実質は70のマンションなのです。つまり、割高な物件を買ってしまうことになるのです。

これと同じことが駅近マンションの中でも見られます。再開発期待の人気物件がその代表的な例として挙げられます。

具体的な物件名称やエリア・駅などを記述することは避けたいと思いますが、10年先の価格を先取りしたかのような割高マンションを最近よく目にします。

将来性はありそうに感じるものの、まだ青写真が描けていないケースでは、土地の取得価格も安く、そのために価格も安いのですが、再開発エリアの全体像が描かれ土地取得者も決まっているようなケースでは、高い取得価格が高い分譲価格を生んでしまいます。

思惑通りに人気を博し、高値でも売れて行きます。しかし、グランドデザインの固まったような物件は、完成後の価格を織り込んだレベルになっているものです。

開発業者は、「再開発のグランドデザインはとても魅力がある。これなら高値でも売れる」そう踏んで、用地争奪戦で高い札を入れて行くからです。

再開発で街の魅力は倍加し、従って値上がりすると期待して多くの購入者が集まるのですが、価格は完成後の価格が設定されているので、中古価格は期待ほどにはならないのです。

勿論、バス物件のように値下がりするということではなく、高値安定とでも言えばよいでしょうか、購入価格から下がる確率は低いのです。

何故なら、魅力的なタウンが完成し、そこには新築マンションはもうなく、購入した人たちも惜しんで売り出す人が少ないため、中古人気が高いからです。

●タワー低層階住戸と高層階住戸のリセールバリューは?

ご承知のように、超高層マンションは、眺望の良さが「売り」になっています。レインボウブリッジとお台場が見える、富士山や東京タワーが望めるといった眺望は確かに大きな付加価値となっています。

しかし、その魅力は全住戸に平等に付加されているわけではありません。高層階の一定範囲に限られます。おおまかに言えば、低層階住戸は恩恵に浴することはありません。その分、分譲価格も安く設定されています。

では、高層階と眺望の魅力に欠ける低層階ではリセールバリューの差は生まれるでしょうか?

「高い物件は高く、安い物件はより安くなる」という法則は、ここでも生きています。

眺望の良い高層階は、プレミアム住戸と言われる特別なものか、それに近いハイグレード住戸で構成されています。言い換えれば富裕層向けの住戸になっていることが多いものです。

新築、中古を問わず、価値ある物件は「高くてもいいから買いたい」という人があります。そうでない住戸には価格に関わらず見向きもしない人たちです。つまり、富裕層は特別な住戸であれば金に糸目は付けないのです。

このような購入者心理が働く特別な住戸ほど、売りに出されることが少ないこともあって、価格に下方圧力はかかりにくいのです。

一方で、下層階住戸は上層階に比べれば眺望価値が低く、かつ専有面積が狭い住戸で構成されています。 そこには、眺望価値を求めない階層が目を付けることになりますし、予算的にも上階の富裕層よりは低いと考えられます。

どちらかと言えば、低層階は希少住戸ではないので、強気の価格では買い手の購買意欲を高めることが難しいものです。結果的に高いリセールバリューが得られないこととなります。

誤解のないように断っておきたいと思いますが、マンションは眺望だけで購買が決するわけではないので、下層階でも高いリセールバリューとなるケースがあります。ここでは、あくまで上階との比較を説明しているわけで、下層階の中古は上層階中古に比べてRVは低くなるということなのです。

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