第737回 駅に近いがマイナーな駅。それってどうなの?

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。

「ちなみに当物件は、マイナー路線のマイナー駅ではありますが、駅直結のライマンション。●●ヒルズと並んで、●●駅では最も存在感のあるマンションです。

この3物件は空きが出てもすぐに売れてしまい、中古物件取得の難しさを身をもって経験しています。中でも〇●は立地、デザイン、佇まいで頭一つリードしており、非常に狭いコミュニティではあるものの、地元では憧れのマンションとなっていて購入が最も困難な物件でした。●●公園の側というのもポイントになっています。

その〇●マンションで運良く申し込み一番乗りができたため、購入額が予算以上で迷いはあったものの引き下がることもできず、価格交渉もできずほぼ言い値で、売買契約まで進んでしまいました。後悔先に立たずと言いますが、本当に良かったのかとモヤモヤしているというのが現在の心境です。

 

このお便りは、1年前のものです。東京都外の有名マンションの購入者からのご相談メールですが、今日は、「マンションの立地」についての見方をお伝えしようと思います。

 

●駅に近いことは価値あるマンションの条件

マンションの価値は、①立地条件(利便性と環境。マクロ的な人気度)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、⑤ブランド、⑥管理体制の6項目で考察しなければなりませんが、この中で一番比重が高いのは①の立地条件です。

 

マンションの価値は、「1に立地、3・4がなくて5に立地だ」と語った人がありました。この意見に筆者も同感です。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かです。

 

逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の弱点を補うことはできません。 また、稀少価値の高い土地かどうかの観点で検討することも大事です。

 

そして最も大事な要素は「価格」です。価値に見合わない高値で購入(高値掴み)すれば、将来価格は期待外れになるからです。

 

●マンションは将来の価値まで考えて買うべき

マンションに20年も30年も住み続ける人は少ないが、10年足らずで移転してしまう人は少なくない。これは現実です。移転時に売却するとすれば、果たして売ることが可能なのか、可能であるのは間違いないとしても、問題はいくらで買い手が付くのかにあります。

 

ひどく安値になってしまわないか、住宅ローンの残債は処理できるのか、手元預金を崩すことが必要なのか、このような心配をする人は少なくありません。

 

買い手はいるとしても、問題は価格だ。想定外の安値になってしまわないか。このような心配をする人も近頃は多いのでしょう。 筆者が展開する「将来価格の予測レポート」へのご注文は10年前に比べると、随分増えました。購入マンションの売却見込み額に関心を持つ人が増えていることが実感できるのですが、無関心な人も少なくないようです。購入時点では、新居での新しい暮らしに夢うつつなのかもしれません。

 

誰だったかは失念してしまいましたが、出口戦略という言葉で、「将来の売却価格を予測しつつ買いなさい」と業界新聞で語っていたことを思い出します。筆者も、複数のマンションを売買して来た経験と市場データを対比させながら、過去10年以上「マンションの資産価値の問題」を分析・研究して来ました。

 

言い換えます。「買ってはいけないマンションと買って良いマンション・儲かるマンションと損失が大きいマンション」の峻別をするため、市場の動きを見ながら、具体のマンションの価格を調べるのが筆者の日常作業です。

 

●駅力という概念が重要

マンションの価値を見るとき、どこから見るかが重要です。「着眼大局・着手小局」という格言がありますが、マンション選びで大事な点はここです。

先に述べたように、先ずは立地です。立地が悪ければ、すべて台無しになるといくくらい立地条件は重要、かつ比重が大きいのです。

 

具体的には、「駅力」はどうかという点から始めることが大事です。駅力。文字通り駅の力ですが、駅の吸引力のことです。ヒトを引き寄せる魅力がどれだけあるかという観点を重要視しなければならないのです。

 

駅の吸引力は、駅の周囲に魅力ある商業施設(物販・飲食などの店)がどれだけあるか、環境はどうかによって決まります。一言で表せば、便利で、住んで楽しい街が駅を中心に形成されているかどうかということです。これを数値で表すのは難しいので、人気投票を参考にするのが一般的です。

 

リクルート社が毎年調査し発表している「住みたい街ランキング」がその代表です。それぞれの地域で、ベスト10の街(駅)をランク付けしています。関東なら、1都3県全体のランキングも公表していますが、こちらは100以上を公表しています。100位以内に入っていれば人気度は高いのですが、駅数は何百とある首都圏ゆえです。

 

他方、小規模エリアに分けていくと、ランキングは10位でも、人気の駅(街)とは言えなくなるのです。

 

東京都世田谷区は、区別で見れば人気度は上位ですが、その世田谷区でも人気のない駅はいくつかあります。高い人気の港区や千代田区でも、人気順で上位に来る駅、そうでない駅と優劣はあるものです。 

 

駅力は、交通の便にも左右されます。23区の地下鉄沿線の場合は、都心なら運行頻度も乗り換えも便利なので、駅力の差は大きくないのですが、少し郊外に出ると、都心に出るのに時間がかかるとか、急行電車が止まらないといった点で不人気の駅も少なくありません。

最低限の商業施設は揃っているものの、レストランが少ないといった不満の声が届く23区の駅もあります。

 

●郊外の駅をどう見るか・

23区を離れて郊外の駅はどう見なければならないのでしょうか?郊外と言っても、横浜駅のように、東京からは近くないものの、横浜市は人口が多いので、市外からの支持も集めて「住みたい街ランキング」の関東圏1位に輝いています。

 

東京都では、23区でない「吉祥寺」が関東圏2位の人気度を誇っています。神奈川県民だけの調査では、上位に横浜・武蔵小杉・鎌倉・藤沢・たまプラーザといった駅が現れます。

 

これらの駅は、遠方の住民からも人気があるようで、多くの「住みたい人」を集める力を持っています。人気のある駅は、地元民だけの調査でも人気度は高く、周辺都市の住民からも人気を集めているらしいことが分かります。

 

しかしながら、人口が少ない地域では人気ナンバーワンの都市でも、絶対数としてのマンション購入者の数は少ないのです。結局は、「ミスワールド」なのか「ミス●●町」なのかの違いのようなもので、郊外の街では、「ミス●●町」と言われるくらいの地域一番マンションを選んでおかなければなりません。

 

●これから伸びる街はないと思った方が良い

検討マンションが建つ駅は何もない不便な駅でした。「マンションが完成する頃には大型スーパーと併設の店舗が出店するから便利になりますよ」と言われて、将来に期待して買いましたが、あれから10年、期待通りにスーパーマーケットはできましたが、それだけでした。

 

スーパーマーケットだけが、近隣市から来店客があるせいか、いつもにぎわっていますが、スーパーから一歩外に出ると、その町は静寂です。マンションがいくつかできましたが、商業施設が少ないので、人通りが少ないのです。

 

言い換えると、活気のない街で、環境は良いものの、寂しい街です。週末の外食も都心に出なければなりません。たまに買い物に来るという人は言いました。「ここに住みたいとは思わない」と。何故かを問うと、「発展しそうな感じがしないから」と答えが返って来ました。

 

マンション購入を検討し始めた人から、よく問われます。「これから伸びる街は?」と。

筆者は即、こう答えます。「伸びる街、もはやないと思った方がよいでしょう」と。

 少子化もまだまだ続きそうです。人口減少時代がそこまで来ているのです。移民の受け入れにも政府は消極的です。

 

日本は国として見れば、成長力は低く、従って街が成長する期待も持てない時代になってしまいました。30年前に決められた開発構想が事実上、止まってしまった街も少なくありません。

 

これからは、既存の街の中で人気を維持する街はどこかという発想を持った方がよいのです。言い換えましょう。既に成熟した街の中から、人気を長く維持する可能性があるかどうかという視点で選ぶことが大事です。

 

●発展しそうに感じるのは錯覚である場合も

新築マンションの売出し広告やWEBページを見ていると、必ず「街の紹介」が歴史とともに語られています。歴史的な見方がしにくい街、言い換えれば今後の発展を期待したい街には、自治体の街づくり構想が紹介されたりしています。

特に街の発展を謳う要素がない街では、現状の生活に必要な施設等の存在を微細に紹介したりしています。

 

広告作りのプロは、マンションの良さをアピールする前に、立地の良さをアピールする策を練ります。 歴史をアピールするのか、今後の発展を匂わせるのかといった点を検討します。どちらにせよ、物件の近隣以外からも買い手を募る必要があるので、様々な広告戦略を練り、広告の読み手に訴えます。

 

この広告手法を検討するに当たって、発展途上にある沿線・駅のマンションを売るには、マンションの良さをアピールすると同時に「沿線・駅・街」をアピールしなければならないのです。

 

買い手は、その戦略にまんまと嵌まってしまい、寂しい街のマンションでも将来価値に期待を寄せてしまうものです。

 

マンションの買い手は、新築マンションに限れば、年間に周辺世帯数の0.3%もないのです。ひとつの物件単位には、それこそ1000世帯の中の1件あるかどうという確率です。

その買い手をキャッチするためにマンション販売会社は様々な手練手管を用いるものです。広告策定にも心血を注ぎます。その一面には、街の発展をにおわせつつ、資産価値の上昇期待をアピールしようという狙いが見え隠れしています。

 

広告には表現の規制があって、事実と異なる表現や事実と大きな差異がある説明、価格上昇を期待させる露骨な表現などは禁じられています。このため、規定の範囲で最大のアピールをしているのです。

 

そのせいもあって、私たちはしばしば錯覚を起こします。駅ができた、街がきれいに整えられた、スーパーマーケットが出店する、人口も増えて来る感じがする、街が立派になればマンションの価値も上がるだろう—-などと期待し、価格の安い今の内に買っておけばきっと儲かると思ったりもするのです。

 

しかし、それは幻想である場合が多いのです。時代は変わったのです。大きく街が変貌し、マンションの価値が大きく上がったのは過去の話です。

 

300戸のマンションがひとつできて、他の都市から買った人が大半でそれによって人口が1000人増えても、そのことがマンション価格の高騰につながる直接の要因にはなりません。 

 

近年、最も有名な発展都市は「武蔵小杉」と「豊洲」ですが、どちらも短期間に大量のマンション開発が進み、並行して「グランツリー(武蔵小杉)」や「ららぽーと豊洲」をはじめとするショッピングモールが出店して魅力を増し、それが更なるマンション開発を促すという好循環をもたらしました。.

 

武蔵小杉では、10年ちょっとの間にタワーマンションだけで13棟も建ちました。タワーマンションは1棟で数百戸もあるので、人口は2万人も増えました。つまり、他の市域から移住して来たのです。豊洲も、10年間で人口が3倍になりました。

 

その発展に連れて価格もうなぎ上りとなりましたが、それでも人気は衰えず、新たな人口を誘引したのです。 このような街は、もう出て来ないでしょう。僅かに残る湾岸エリアも開発余地は少ないのです。

 

駅前に大型マンションが2棟か3棟建ったくらいでは、大きく発展したとはいえませんし、買ったマンションの資産価値が大きく上昇するなどといった期待は持てないと思った方がよいのです。

 

●既存の街に可能性は残る

人間には、他人比という心理があると言われます。 他人より儲けたい、他人より豊かな暮らしをしたい、他人より幸せになりたいと無意識に思うものです。

 

マンション選びでも、得するものが欲しい、条件の良いものを安く買いたい、できたら値上がりするものを買いたいなどと無意識に考えてしまいがちです。それ自体は間違いでも悪いことでもありません。

 

そのせいか、発展を期待させる広告のコピーや表現につい惹かれてしまいます。しかし、今日の東京圏では、大きく発展して大きな利益を掴むことができるマンションなぞはもはやないと思った方が良いのです。

 

むしろ、根強い人気を保ち続けるであろうと期待できるエリアで選択した方が間違いないのです。言い換えると、既に価格の高い「人気の街」で選ぶという策が確実・賢明なのです。成熟した街は既に価格が高いけれども値崩れもしないと考えた方がよいということです。

 

人口の少ない郊外都市で選ぶほかない人も、「その街一番マンション」を選ぶつもりで検討した方が良いのです。

 

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1.売却見込み額をお調べします。

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