バリアフリーに改造できない中古もある

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

30年以上前の中古マンションには、バリアフリーになっていない建物が多数あります。

玄関の靴脱ぎ(三和土=たたき)と玄関ホール・廊下のレベルが最近のマンションなら数センチ(cm)ですが、古いマンションの中には階段一段分(約15cm)廊下の高いものが普通です。

廊下は靴脱ぎ部分と数センチと抑えられているものでも、廊下から洗面所に入るときには15cmの高さを上る形になっているのです。

洗面所の床を高くしなければならない理由はどこにあるのでしょうか? 配管の床転がし(床の上を通すこと)が必要だからです。

細かな説明は割愛しますが、浴室の排水を考えてみてください。浴槽の水を全部きれいに排水しようとすれば、排水口は底に設けなくてはなりません。どこの浴槽でも実際にそうなっているはずです。

底にある排水口から浴室(ユニットバス)の床下に設けた排水管をつたって排水竪管(たてかん)にジョイントされるのですが、床下の排水管はL字型になっています。一旦、浴槽の真下に水は落ち、そこから次は横引き管を通って共用の排水管(竪管)から地下の下水管へ向かいます。

この横引き管を通す空間がどうしても必要になるので床を上げるのです。 横引き管は勾配も必要なので、床の上げ寸法も排水パイプの口径分では足りません。

洗面室の床を上げずに竪管につなぐことは不可能ではありませんが、その場合でもバスユニットの床下の空間だけは不可欠なので、洗面所と浴室の段差は解消できません。

本題から少し遠ざかってしまいますが、最近のバリアフリーマンションは排水問題をどのように解決しているのでしょうか? 廊下と洗面所間、洗面所と浴室間、どちらもレベルはゼロになっています。その構造はいったいどうなっているのでしょうか?

答えは簡単です。コンクリートの床をつくる段階で、洗面所と浴室部分の床レベル自体を下げてしまうのです。廊下より洗面所の方を低く作るので、廊下とレベルを同じにする形で木質系の床を張ると、丁度その下に配管を通す空間が出来上がります。

施工の順番は違いますが、こうしてできた床下に排水横引き管がやすやすと通せるというわけです。

ついでに紹介してしまいましょう。リビングルームや寝室の天井高は2500ミリあっても、洗面所の天井高は2200ミリなどとなっていることをご存知かと思いますが、その理由は上階のコンクリートスラブが下がっているためです。

超高級マンションの場合は、コンクリートスラブもオールフラットで、かつバリアフリーになっています。これは、階高(かいだか。上下階の寸法)が一般マンションより高いので、室内全体の床を自由に上げ下げして高さ調整ができるからです。

話を本筋に戻します。

古いマンションでリノベーションを検討する際、バリアフリーは諦めた方がよいと思った方がよさそうです。 全体の床を上げれば可能ですが、超高級マンションのように階高に余裕がなければ全体が天井の低い家になってしまいます。

どうしてもバリアフリー化したい人の究極の策は、天井を張らず、コンクリートむき出し、せいぜい塗装仕上げにすることです。

天井裏は電気配線があり梁が通っているので、見映えはとても悪くなります。飲食店によく見られる内装を思い浮かべてみればお分かりいただけるでしょう。マンションの場合、お勧めできるマンションは殆どないはずです。

中古物件を内覧したとき、注目したいのは床段差です。
基本的に竪管の近くにある水回りの位置は大きく変えられないのですが、向きを少し変えることは可能なはずです。

しかし、バリアフリーになっていたら、コンクリートスラブが落ち込んでいる部分の範囲でしか浴室が設けられないですし、キッチンの排水にも影響する場合があります。

バリアフリーでない(段差のある)物件をバリアフリーに改造することは諦めなければならないのです。

古いマンションの場合、床段差は、?玄関の靴脱ぎ部分と廊下、②廊下と洗面所、③洗面所と浴室、④稀に廊下とリビング・ダイニング(リビング・ダイニングの方が低い)の4か所、そのどこかにあるのです。

段差がないように見えても、リノベーションが思う存分できるわけでもないということを覚えておかれるといいでしょう。

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