新築マンション市場は悪化の方向。選択肢せばまる!!

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

このほど2016年上半期(1~6月)の市場動向について、不動産経済研究所から恒例のプレス発表がありました。そのデータを元に、筆者の分析を述べたいと思います。

●発売戸数が激減

首都圏全体の1~6月の発売戸数は、14,454戸で前年同期比20%減となりました。

同研究所は、年間トータルの予想を37,000戸としていますが、果たしてそこまで行くでしょうか?単純に2倍すれば30,000戸にも達しないことになるのです。

30,000戸を割り込むということになると、バブル末期の1992年の26,248戸以来のこととなります。

1993年以降、発売戸数は急速回復し、1993年が4万4千戸台、1994年7万9千戸台、1995年~2006年までは1998年を除き7万~9万戸台と高水準の供給が続きました。

同研究所の2016年「年間予測値3万7千戸」は、10年前の2006年が74,463戸でしたから、その頃に比べて丁度半減するということになります。

2007年以降の経過もおさらいしておきましょう。 

2010年にかけて価格が急騰したことから売れ行きが悪化し、発売戸数は減少傾向にありましたが、この間に世界的事件が起こります。

リーマンショック(2008年秋)です。

この事件を契機に、世界金融危機が起こり、而して100年に一度と解説された「世界同時不況」が2009年に表面化します。

その後、マンション価格は下落しましたが、供給戸数は伸びません。2009年の3万6千戸台を底に、2010年以降も4万5千戸前後と低迷しました。

2013年は回復基調かと思わせる56,478戸に増加しましたが、2014年は44,913戸、2015年も40,449戸でした。つまり最近数年は再び停滞気味なのです。

●低迷の原因は急激な価格高騰にある

リーマンショックの2008年を挟む2006年~2010年の価格(坪単価)は、2006年@183万円、2007年@203万円、2008年@214万円、2009年@212万円という推移でした。

底値だった2006年の@180万円台(2004年、2005年も@180万円台)から見て2009年の212万円は、僅か3年で16%弱の上昇でした。

その後、2010年には@219万円まで上昇しますが、2011年には@214万円に下落、2012年も@213万円となりました。

しかし、2006年の@180万円台に戻ることはなく、再び上昇に転じます。2013年@230万円、2014年@235万円、2015年@257万円と急騰したのです。2012年(@213万円)の3年後、2015年には20%も高くなりました。

首都圏の中でも特に東京23区の値上がりは急激でしたが、価格高騰による販売への影響を吸収する背景がありました。住宅ローン金利の低下とアベノミクスの効果で株価が上昇し、景気回復が期待されたのです。

株高とともに円安も進みましたが、円安効果は新たな需要を生みました。国際的に見て一段と割安になった東京の不動産を外国人が買いにやって来たのです。

これらが、マンション価格の高騰をものともせず、販売は好調を維持する要因となりました。

株価上昇で資産を増やした人、加えて2015年に施行された相続税の強化策が富裕層を都心のタワーマンション、人気高額マンションに向かわせましたが、これらの需要階層は多数派ではありません。

大部分を占める買い手は一般勤労者です。この需要階層は、金利低下の恩恵が得られる範囲に価格がとどまっているうちは、販売不調の大きな要因として表面化しなかったのですが、その限界を超えてしまったのでしょう。昨秋9月の契約率に異常値が表れました。

年初来、初月契約率が70~80%台を維持していたのですが、好不調の目安と言われる70%を割ったからです。

秋は通常なら契約率も上がり、契約戸数も伸びるものですが、9月は発売戸数を絞ったにも関わらず契約率が低下したのです。発売戸数は前年同月比で27.2%も少なく、夏枯れと言われる低調な8月との前月比でも6.9%も減らしたのですが。

その後、一進一退を続けましたが、年明けの1月には、とうとう50%台に下落しました。初月契約率50%台は、2008年7月以来7年ぶりのことでした。

2月以降も、70%台を回復した月もありましたが、60%台に低迷という基調となっています。

●価格高騰の原因は1に建築費の高騰、2に地価の高騰

建築費の高騰は、東日本大震災の復興需要やアベノミクス関連の公共工事の増加に起因します。

建設労働者・技能者の不足が人件費の上昇を招き、建築費を高騰させたと言われます。その建築費は、首都圏内なら都内も埼玉県も大差はありません。

一方、マンション用地はどうでしょうか? 詳細のデータは割愛しますが、マンション用地の争奪戦は都区部ほど激しく、競争の結果、高値で取得したものが多いのです。

簡単にまとめると、郊外マンションの価格高騰は建築費の上昇によるものですが、都区部のマンションは土地代と建築費の両方の上昇によるのです。

このため、マンション価格の上昇率は都区部ほど激しくなっています。

●価格高騰がもたらす今後の展望は?

価格高騰は予算内に収まる物件の減少をもたらします。 金利低下が一段と進んだおかげで価格高騰分も一定程度の吸収効果を発揮したものの、限度を超えました。このため、予算に収まる物件を探し求めて郊外マンションに辿り着く人もあります。

そのような買い手が多ければ、郊外マンションは販売が好調を持続するはずです。しかし、その郊外マンションも供給量が増えていないため、選択肢が広がるとまでは行かないのです。

バブル期を思い起こすと、都心の便利なマンションは都区部の土地が投機買い(土地ころがし)にあってデベロッパー各社は取得できず、供給が激減しました。僅かな販売物件も途轍もない高価格でした。

当時はマンションを含む不動産も株、あらゆる資産価格が右肩上がりで、それが永遠に続くかのような「楽観の錯誤」に総国民が陥ってしまった時代でした。

いま買わないと一生買えなくなるとの強迫観念に陥ったのか、通勤圏なら何でもいいというくらいの買い手心理が蔓延しました。 中には、新幹線通勤の可能な静岡の「三島」や群馬県「高崎」といった街の物件を選択した人もありました。

しかし、多くの人は限界と見て購入を諦めてしまったのです。

当時と現在では、様々な条件が異なります。時代背景もはっきりと違います。値上り率も今の方がバブル期よりは緩やかな方です。また、金利水準がまるで違います。

こうした点を考え合わせると、この先が同じ流れとなるかは予断を許しませんが、品不足であることだけは確かです。

買いたいと思う人が、買い時にうまく遭遇することはないのでしょう。今はとても難しい時期ですが、中古も含めて広く売り物件を見つめ直し、可能な限り価値ある物件を探し当てられることを心から願います。

 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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