中古マンション見学。管理状態はこうしてチェックする

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

ご相談者からいただくメールの中には、中古マンション見学時の感想が含まれていることが少なくありません。

その感想のひとつに、「清掃が行き届いており、管理状態も良さそうだ」というものがあります。

そのコメントを読むとき、いつも「どこまで観察しての所感だろうか?」という疑問を禁じ得ません。

マンション管理という業務の実態は、管理会社に勤務したか、管理組合の役員にでもなって管理会社の担当者などと接するまでは、本当のところよく分からないものです。

そもそも「マンション管理」とは何をするものか、どこが重要なのか、分かっているようで分かっていない人の方が多いのではないでしょうか?

管理人さんがいて、管理人室に詰めていること、ときどき館内を巡回しているらしいこと、ゴミ収集車が来たときは、ゴミ置き場付近で見かけること、ときどき掲示板に何か張り紙をしていること、管理人さんとは別に清掃員が来て掃除をしていることなどです。

一言で表せば、「マンション管理とは綺麗に保つこと」ですが、綺麗に保つためには、日常管理において清掃をするだけでは足りません。

植栽の手入れ、床や共用トイレの清掃、キッズルーム・ゲストルームなど共用室の清掃、共用部分の壁や玄関ドアのガラス、エレベーター内外の拭き掃除と磨き、共用電灯の交換、、共用室の備品等の補充・交換、といった作業・管理項目が実にキリなくあります。

建物は完成したその日から劣化の道を歩み始めるので、それを踏み留め、寿命を長く維持することが管理という仕事の目的です。清掃だけで見た目を新築同様に保つことはできないので、新品と交換することによって若返りを図ることも必須です。

外壁や鉄柵などの塗装、破損した郵便受けの全面交換、機械式駐車場の交換、ロビーに置かれたソファの交換、共用室の畳の表替え、共用廊下の蛍光灯・白熱灯のLED電球への交換、共用廊下の床の表面材の張り替え、バルコニーの床の防水工事、屋上の防水工事、バルコニー天井(軒裏)の塗装などの工事を実施することによって、めざましく綺麗になるとともに若返るのです。

しかし、中古マンションを見学したとき、管理状態の良し悪しを一目で判断するなどということは可能なものでしょうか?

たまたま大規模修繕が行なわれた直後に訪問した場合なら、築〇〇年も経たマンションとは思えないという感想を抱くことでしょうが、工事が始まる前に行けば「古ぼけているなあ」とか「汚いなあ」などと感じるかもしれません。

清掃は行き届いているが、メールボックスにチラシがたくさん投げ込まれ、はみ出しているものもあって見栄えが悪いとか、自転車が所定の場所にきちんと置かれていないということもあるはずです。

また、壁に地震でできた亀裂があって、補修(埋め)の跡が太いミミズのような形で残っているが、内覧時には気付かなかったという場合もあることでしょう。補修してあれば問題はないものの、見栄えが悪ければ資産価値は下がるのです。

では、中古マンションの管理状態の良し悪しを見分けるにはどうしたらいいのでしょうか?そのヒントとなるものをご紹介しましょう。

➀管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「整理・整頓・清掃状態」

先ず誰でも気付くこととして清掃状態を挙げることができます。

多言を要しない問題ですが、床が綺麗に磨かれているというだけでなく、集合郵便受けの周囲にごみが落ちていないか、ゴミステーションはきちんと分別され整頓ができているか、自転車が指定通りに置かれているか、植栽周りの落ち葉などが片付いているか、掲示板の張り紙がめくれていたりしていないかといった点検は内覧時でも可能です。

これらの細々とした作業はマンションの見てくれを悪化させないための必須の管理員業務(一部清掃員)ですが、これは1週間に1回か2回の巡回方式で完璧にこなすことは困難なものです。

②管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「管理費の滞納」

中古マンションを検討するとき、仲介業者から「管理に関する重要事項説明書」が交付されます。これは、管理会社から発行されるもので、そこには管理費の金額、修繕積立金の残高、大規模修繕の履歴といったもののほかに、管理費・修繕積立金の滞納状況(滞納期間や滞納額など)が記載されています。

管理費を滞納する人には、のっぴきならない事情があると考えられますが、ルールはルールなので納めてもらうことが不可欠です。

管理会社は何度も督促するなど、納めてもらう努力を続けますが、それでも未納が続けば管理組合に報告することに加えて、「管理に関する重要事項説明書」にその旨を記載しなければなりません。

国交省のマンション総合調査(調査対象地域:全国。平成25年度。以下「同調査」という)によれば、築年数に比例して滞納者の発生率も上昇する傾向がはっきりと見て取れます。

管理費・修繕積立金を3ヶ月以上滞納している住戸が1世帯でも「有り」という管理組合は37.0%もあるのですが、完成年次が古くなるほど、また戸数規模が大きくなるほど、滞納住戸のある管理組合の割合が高くなる傾向にあるようです。

また、6ヶ月以上滞納している住戸がある管理組合は22.7%であり、1年以上滞納している住戸がある管理組合は15.9%もあるのだそうです。

特に築30年以上のマンションにおいては、5割以上の管理組合で3ヶ月以上の滞納者が、3割以上のマンションで6ヶ月以上の長期滞納者がいる、と回答しています。

管理費の滞納者が多ければ多いほど管理費が不足し、日常管理はおぼつかなくなります。管理会社は、清掃回数を少なくするなどの対策を提案して来ることでしょう。

その提案に管理組合が従わなければ、他の方法で管理費用の節減を図ることとなります。その内容次第では、長い間に資産価値の下落につながらないとも限らないのです。

③管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「賃貸比率の高さ」

同調査によれば、賃貸比率0%のマンションは約10%、20%以下は約18%、20%以上が約60%もあるのだそうです。

一方、管理組合が抱えるトラブルの第1位は、①「居住者間の行為・マナーをめぐるもの」が55.9%と最も多く、次いで②「建物の不具合に係るもの」が31.0%、③「費用負担に係るものが28.0%」となっています。

「賃貸比率の高さ」と「居住者間の行為・マナーをめぐるトラブル」との関連は同調査にはないのですが、想像に難くありません。

モラルの低い居住者が賃貸住戸に多いという分析も出ていません。しかし、大いに関連があると管理の専門家は言います。

とするなら、「このマンションの賃貸比率は?」と尋ねてみることも有効になるはずです。賃貸比率は、マンションの立地条件、住戸面積の大小、さらには築年数などにょって異なります。

これらを掛け合わせて、比率が高いと思えたら、トラブルが多いマンションと想像できますし、それが管理の悪さとも結びつく危険を内在するマンションと言えるかもしれません。

④管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「エントランス前の自転車」

マンションのアプローチ部分(玄関前)に何台も自転車が置いたままになっている光景にぶつかることがあります。

その状態が何時間も続いており、いつも同じ自転車が置いてあることもあるのだとか。
誰も注意しないのを良いことに、1台が2台になって、とうとう10台に増え、常態化してしまったマンションもあるというのです。

別のマンションでは、各住戸のエントランス前、つまり玄関ポーチにベビーカーとともに置いてある例を見たこともあります。

こうした光景を見ると、「管理がよくないマンション」と感じざるを得ません。

➄管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「長期修繕計画書の作成日」

仲介業者を通じ、管理会社から「長期修繕計画書」を取り寄せることができますが、その書面で注目すべきポイントは、「作成日」です。

一般に、長期修繕計画は3年ごとに見直すことになっていますが、入手した計画書は何と15年前の新築分譲時に策定したものだったという例があります。確認したところ、一度も見直しを行っていないというのです。

管理組合が見直しを管理会社に依頼していなかったのか、計画書は目安に過ぎないから最初のものでも問題ないと管理会社が作業を嫌ったのか、理由は不明ですが、考えられないことだと、管理会社の知人は言いました。

何にしても管理組合の関心が薄い証拠なのです。

⑥管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「大規模修繕の履歴」

仲介業者に頼んで管理会社から「修繕履歴」を取り寄せましょう。小修繕から大規模修繕まで、できるだけ細部に渡っての記録を欲しいと言ってみましょう。それが何を意味するかはお分かりいただけることと思います。

⑦管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「管理組合役員会の開催頻度」

同調査では、「月に1回程度開催している」が48.5%と最も多く、次いで「2ヶ月に1回程度開催している」が20.7%となっているとあります。

「月に1回程度開催している」の割合は、完成年次が古くなるほど、また、総戸数規模が大きくなるほど高くなる傾向にあると分析しています。

古くなればなるほど老朽化に伴い、大規模修繕以外の応急措置的な部分改修も必要になるからです。ルール違反者の対応策を話し合う回数も増えるのかもしれません。

開催頻度を知るのは難しい場合もあるのですが、頻度が少ないと分かったとするなら、管理に関する当事者意識の弱さが疑われるマンションだということになるでしょう。

⑧管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「修繕積立金の残高」

積立金残高が潤沢にあれば、着実に必要な改修工事を実行できるわけですが、潤沢かどうかの判断は簡単ではありません。過去に何もしなかったために多額に残ったのかもしれないからです。

大事なことは、適切な時期に適切な修繕を実施して来たかどうかにあります。⑥番の履歴のチェックの方が大事です。しかし、その上で潤沢な残高があるとすれば、良い管理を成し得ることは確かです。

残高を聞いたら、それを総戸数で割って1戸当たりの残高を算出します。その金額が毎月の積立金の何十倍(何か月分)になるかを見ます。それが10年分(120か月)と出れば、潤沢と見てよいでしょうが、1年分しかないとしたら、とても少ないとなるでしょう。

ただし、12年目、24年目などに行われる大規模改修工事が終わったばかりの年に当たれば底をつく状態もあり得るのです。

もっと正確に知るには、やはり「長期修繕計画書」の「収支計画表」に実績を入力したものが必要ですが、上述のような方法でも大まかには分かるものです。

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