「手数料はゼロです」の広告に注意

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

中古物件の中に手数料ゼロというケースがあります。中古物件を探してみたことのある読者ならご存知のことと思います。

今日は「手数料ゼロ」の甘いキャッチコピーの裏側を覗いてみたいと思います。

●買主側から見た手数料ゼロ物件

仲介手数料は物件価格の3%+60,000円と上限が法で決まっています。買主と売主、それぞれの支払う限度額です。

この料率は上限であって、例えば1%でもいいわけですが、殆どの取引で限度いっぱいを要求するのが実態ですし、何故か手数料を値切る買い手もあまりいないようです。

ともあれ、3%という数値は5000万円の取引なら156万円(+消費税)なので、買い手にとっても売り手にとっても大きな金額になっています。それがゼロでいいと書いてある広告を見れば、つい目が行きがちです。

メリットがあればデメリットがあるもので、何か裏があるのではないか、ただより高いものはないと言うではないかなどと疑り深い人もあるでしょうが、本当に手数料はゼロなのです。

しかし、仲介業者にとって手数料ゼロではビジネスが成り立たないので、別のどこかで利益を確保するはずです。そこが問題なのです。

利益確保策は次のようなものです。

※自社所有物件である・・・中古物件を個人オーナーから買い取って自社物にしたケース。この場合は、業者自身が売主なので、言い換えると仲介業務ではなくなるので手数料は取ることができないのです。

利益は、個人(とは限りませんが)オーナーから100で買い取って120で販売することによって得るのです。買い取り転売というビジネスです。

安く手放す個人オーナーなどあるのでしょうか?それが現実にあるのです。早期の売却を望んでいる人、何かの事情で売却の期限が迫っている人などです。築40年など、高経年マンションで買い手が中々つかず、半ば焼け気味に叩き売ってしまう人もあるのです。

安く買って、そのまま売却する業者はなく、大抵リノベーションすることによってバリューアップした商品として売り出します。3000万円で仕入れた商品がリフォーム代に500万円かけたとしても4000万円でも売れるということに味を占めた業者は、これを繰り返すのです。

実質価値が4000万円もあるか、ここが問題です。しばしば価値以上の高値になっているので気を付けなければなりません。手数料ゼロは得な取引のようで、実はそうでもないというのが実態です。

リノベーション物件は、室内を新築同様にしてあるわけですから、その価値を錯覚しやすいものです。

業者所有物件で例外があるとしたら、人気物件を何年か前に購入し、機を見て転売するというビジネスモデルを持つ仲介業者の物件です。

※利益確保策の二つ目・・・売主から手数料が入るから買い手はゼロでもいいというケースです。これは、手数料3%+60,000円だけで採算が取れる小規模な仲介業者の場合です。ただし、取引額が大きな物件を狙うようです。

つまり、1億円を超える高級・高額マンションの売り依頼を取れれば、3%でも十分にペイするのでしょう。

高額なマンションは手数料も数百万円になるわけですから、買い手から見たら手数料ゼロというキャッチコピーには強く惹かれることでしょうが、このような物件は実は少ないのです。

売主の大半は、依頼先に大手業者の三井のリハウスや住友のステップ、東急リバブルといった企業を選択するからです。

●売り手が業者選びで気を付けるべきこと

自宅マンションを売るに当たり、少しでも高く売ってくれそうな業者が良いが、「手数料が半額でいいというなら、その分が実質的に安くなるのだから、売りやすくなるのではないかと思うのだが、このようなチラシをポスティングして来た業者についてどう思うか」というご質問メールをいただきました。

お答えします。

ご質問にあるような業者が頑張って高く売ってくれるかというと、一概にはそうと言えません。仲介業者は、所有者と直接媒介契約を結んだ会社が経営的には有利なので、常に売却希望者を探しています。

 手数料は、売り手から3%+6万円、買い手からも3%+6万円を取ってよいことになっていますが、間に入る業者が2社なら、それぞれ3%+6万円の収入となります。通常は、売り手から委任された業者が、不動産情報ネットワークに物件を登録すると、別の業者が買い手を紹介してきます。

そこで買い手と売り手が合意に達すると、仲介業者2社による売買が成立するという形になり、これが多いのです。
勿論、売り手だけでなく買い手も自ら探した業者は、手数料は両取りの6%+12万円(両手取引と言います)となります。

 売り手から直接委任された物件を自家物件というのですが、それさえ手に入れられれば、買い手探しは他社に任せても黙って手数料が入って来るので、そうした物件を多く抱えることは、業者の命題になっているのです。

大手業者は、この両手取引を常に狙っていると言います。片手では経営が成り立たないのでしょう。

 多くの仲介業者は、自家物件は販売努力をしなくても不動産流通機構(REINS=業者間の情報ネットワーク)に登録さえしておけば左うちわなので、手数料は少しくらい下げてもメリットはあるというわけです。

ただし、半額にしても経営が成り立つようにしなければならないので、狙いをつける物件は高額物件が中心となるわけです。

 売り手にとっても手数料が安いことはメリットですので、手数料は半分でいいという業者に依頼するのは悪くないのですが、値段が下がったら意味がないことになります。

ここが落とし穴です。売り依頼を契約で縛っておき、買い手が中々決まらないとい、売り値を下げてくれと要求して来るのです。

売り手にとっては、高く売ってくれる業者、おまけに手数料も安い業者が良いわけですが、そんな業者はないでしょう。大手は集客力においては中小業者をはるかに凌駕するので、大手に依頼した方がよい場合が多いかもしれません。

しかし、大手も営業マンの全てが優秀なわけではありません。また、優秀か優秀でないかの基準も、仲介業では買い手に向けられるものだけではないのです。 営業力があると言われる業者は、買い手の要求を聞いて、売り手に値段を下げさせるような交渉力にも秀でているということでもあるのです。

売り手にとって、業者選びは結構難しいのです。

 強いて言えば、売り手のマンションをよく知っていて、買い手に対し売りマンションの利点や長所などを強くアピ―ルしてくれる可能性のある業者または営業マンということになるでしょう。まあ、営業マンと売り手の人間関係や、営業マンの熱心さなどが決め手になるとも言えますね。

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