第572回 「大胆に値引き要求をしましょう」

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新築マンションの売主・販売現場は各社とも、かなり苦労をしているらしいことがはっきり伝わって来るようになりました。

前2回の本ブログ記事では「新築マンションの価格」は相変わらず高いこと、「しかし待っても急落しないものであること」をお伝えしましたが、そんな市場のもと、有利な条件でマイホームを手に入れる策が実効を得る。その時が来たようです。

今日はそんなお話をしようと思います。

●竣工前でも値引き販売

大手マンション業者、複数のブランドマンションで値引き販売をしていることは簡単に知れ渡ってしまうようで、筆者のところにも情報が続々飛び込んで来ますが、その中には、竣工前に値引きに踏み切った例も出て来ました。

具体的な物件名を明かすことは差し控えますが、5%程度の提案があるようです。竣工を間近に控えて、売主の狼狽ぶりが分かるような気がします。

通常は竣工前に値引き販売を断行するのは、残り数戸だから完売して全戸を決算計上しようと考える場合以外には、販売が計画から大きく遅れている場合です。

竣工後1年以上を経過した物件で値引きするケースはよく知られていますが、竣工前は比較的少ないので、その物件の概要をチェックしてみましたが、標準以上のスペックであり立地もさほど悪くないのです。然るになぜ販売が進まないのか、理由は簡単です。価格が高過ぎるのです。

急激な価格上昇が購買力を超えた証拠です。もちろん3割くらいは売れているようなので、購入できる人も少しはいることを証明していますが、同一エリアに競争相手もあるので、言い換えると圧倒的な競争力はない物件ゆえに、一定の需要を分け合う形になったのです。

価格上昇は、購買力の届く買い手を減らします。平たく言えば「届かないならあきらめるほかない」と何割かの需要は休眠するか、他の地域へ移動してしまうのです。

それでも、例えば東京中からかき集めれば手が届く人は十分にあるのです。そこまでの魅力・吸引力がない物件だから売れないのですね。

竣工後も長く売れ残っているのは、安くても買いたくない物件か、戸数が多いので残ったか、大体どちらかです。安くても買いたくない物件なぞ、プロのデベロッパーなら作らないはずです。ところが、現実は違います。住戸単位に見れば「ひどく日当たりが悪い」とか「ひどくやかましい位置にある」、「ひどく間取りが悪い」ものができてしまうこともあるのです。

「全体としては良いマンションだと思うが、検討対象になりそうな住戸はない、残っている部屋はどれも良くない。ずばり言えば、ただでもいらない」・・・このような感想を漏れ聞くことがあります。

ともあれ、値引き販売はいつもどこかで行われるものですが、今はそれが多数であると断言できます。中には、あまり値引きしないと言われるX不動産もついに値引きに応じたらしいという情報が届きました。

ともあれ、竣工前の物件でも値引きしていると聞くと、「いよいよ終末期」だなと思わずにいられないのです。終末期とは、マンション業者にとって覚悟を決めなければならないときというほどの意味で大げさな表現しただけですが、これまでの数年は決算利益も毎年増加を続けて来たが、前年比減収減益の覚悟をしなければならないようだということを示唆しています。

●売り手より買い手の立場で

筆者は売り手側に属していたときもあったので、マンション業者の発展を喜ばないわけではないのですが、現在のスタンスは「より価値あるマンションの選択・購入を応援する」側に軸足があります。

今日の話題も、買い手がいかに値引き要求を勝ち取るかです。

その結果、売り手企業が利益を減らすことになったとしても、それは経営リスクとして受け止めなければならないのです。優秀な経営陣が揃う大手デベロッパーならマンション販売で利益を減らしても別の事業分野で利益を上げるに違いありません。

今後しばらく、マンション販売も「冬の時代」が続くことになるかもしれません。

買い手も売主企業が傾いてもらっては困りますが、まあそんなこともないでしょうから、経営のことなど気にする必要はないのです。どこの業界だって、商品アイテムごとに見ればディスカウントによって赤字になる商品はあるのですから。

そんなことを気にする買い手さんに偶然お会いしたこともあり、筆者自身のエクスキューズも重ねて、こんな話をさせてもらいましたが、買い手の大半は「いくら値引きしてもらえるものか」に関心を払います。それでいいのです。

以前も書きましたが、マンション事業は利益率で見れば大きなビジネスではありません。しかし、1単位の販売額が大きいのでグロスの売り上げも利益も大きいのです。

買い手にとっては、5%の値引きでも物件価格が5000万円なら250万円に相当するのですから小さくはないわけです。とはいえ、値引き目標は10%以上としたいものです。20%という実例もありますが、さすがにそこまで下げてくれるケースでお勧め物件はないものです。

●値引き交渉の仕方

ここで会社名を明かすことも、物件名を示すことも憚りますが、つい数日前のこと、売り手からいきなり値引き額10%を提示されたというので、これを使って値引きの交渉術をお話ししましょう。

担当者が、いきなり「今決めていただけるのなら500万円お値引きします」 と言ってくることがあります。 これは、あらかじめ 500万円までなら値引きしていい、 という値引き幅が現場に与えられている場合で、 買い手の誰に対しても、その額だけは値引きしてくれるということなのです。 そういう場合は、その額を交渉のスタートと考え、積み上げを狙うようにするべきです。

上手な営業マンは、「 上司の決裁が必要になるのですが、300万円お引きしたらご購入いただけますか?」のように500万円の枠があっても300万円と内輪の数字で打診して来ます。そうしておけば最悪でも200万円のプラスで買い手の満足度を高めつつ契約を取れるからです。

下手な営業マンは、最初から500万円を提示し、買い手からプラスを要求されて窮地に立たされてしまうのです。決裁が下りないとか、下りても上司からこっぴどく叱られて点数を下げてしまうのです。

買い手が気を付けるべきは、前者の営業マンが担当かどうかを見極めることです。

●大きな金額をダメ元でぶつけるのがコツ

交渉の仕方ですが、提案数字がいくらであろうと、それにこだわらず平然と大きな金額を言うのがコツです。300万円といわれても「300万円ですか、魅力ないですねえ。倍の600万円なら考えてもいいですが・・・」くらいは言いましょう。

最初は、「それはとても無理です」と答えるでしょう。そうなったら、「では、いくらならOK
ですか」と切り込めばいいのです。「ちょっと上と相談しませんと・・・」などと反応したら脈ありですね。

販売が順調ならば、売主も強気ですから、「ご勘弁ください」 と値引き交渉に応じないでしょうが、先方から提示してくるようなときは絶好のチャンスです。

理由など説明する必要はありません。安い方がいいに決まっているのですから。

百万円と言って百万円になるよりは、1千万円と言う方が、5百万円は無理でも3百万円くらいの値引きを勝ち取る可能性が高いのです。交渉術に長けている人は、駄目でもともとの精神で臨むものです。

先方から何ら提示がない場合でも、売れ残っていることが明白なとき、しかも竣工後半年以上経過している物件では、当たり前のように「こちら、いかほど勉強してくれるんですか?」と打診してみましょう。買ってもいいかと思える部屋も決まり、商談が深い所まで進んだようなときに言うのがタイミングとしては良いでしょう。

値引き額次第では、この客は買ってくれるかもしれないと思わせてから言うのです。

いずれの場合も、目標ラインは10%です。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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