第597回  2017年を振り返って。そして2018年は?

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論を展開しております。資産価値を重んじる方のための購入のハウツーをお届けするもので、お気に障ることもあろうかと思いますが、満点の家はないと思っていただき、失礼はお許し下さい。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

 

いつも筆者のブログをご購読くださりありがとうございます。そして、今年も一年間お付き合いくださり、誠にありがたく、心より御礼申し上げます。

 

いよいよ2017年も暮れようとしています。来年は平成30年、平成最後の年になるのですね(正確には2019年4月までは平成ですが)。

 

さて、2017年はみなさまにとってどんな年だったでしょうか?

 

筆者には、とても良い年でありました。数えてみたところ、 2017年1年間で700件以上の「マンション評価レポート」と約200件の「将来価格の予測レポート」を書きました。そのほかに、現地調査も対面のご相談も多数ありましたので、猛烈な忙しさでありましたが、それは取りも直さず数多くの方々のお役に立てたかもしれないことを意味するので、うれしい悲鳴でもあったのです。

 

年の瀬に当たり、マンション業界の今年一年を振り返り、来年の展望を考えてみようと思います。

 

●「高値警戒感」を持つご相談者が多かった

新築も中古も価格は頭打ち気味ではあったものの、上昇傾向が続いたため、「しばらく様子を見ようか」と感じながらも、家賃が勿体ないとか、子供が小学校に上がるタイミングなのでといったご家庭の事情による「買いたい時期」に重なり、「多額な借金」を恐れつつ相談して来られる人が多い1年でした。特に後半で増えたような気がします。

「こんな高い時期に買っていいのか?」が共通の悩みでした。

 

●新築物件の販売手法に戸惑う人が多く見られた

マンション業者は、価格上昇によって需要が後退し、売れ行きの悪化に苦悩する1年となりました。2016年初頭から契約率は低迷していましたが、何とか1年を乗り切って2017年を迎えたのです。

しかし、その2017年も価格の上昇が止まらず、結局今年も販売は好転しないまま1年を終えようとしています。

 

マンション業者は、販売促進のために様々な手を講じた模様です。特に価格に関しては、手の込んだ策を採ったようです。発表時期を遅らせたり、価格を隠したり、調整したりしました。発売時期もたびたび延期し、販売戸数も減らしたり増やしたりと、「さっぱりわけが分からない」と客がこぼす場面をあちらこちらで作りました。

 

●中古の売主の強気に腹を立てる人もあった

価格上昇のトレンドに便乗して強気な価格をつける中古オーナーも多く見られました。

 

中古の売り出し価格は取引事例との比較によって仲介業者が査定し、それを基準に売り出し価格を決めるのですが、買い手の指値を予想して5%程度はONされるのが普通です。

 

ところが、今年は5%どころか10%くらいは平気で高くするオーナーがありました。少なくとも、筆者にマンション評価を依頼して来た物件のうち、どう見ても高いと感じる例が2割くらいあったように思います。

 

どんな物件も売れなければ、価格を下げるほかないわけですが、ネゴシエーションに失敗した人の話では「10万円くらいなら下げてやってもいいが、300万円などどんでもない」とあっさり断られたというケースもありました。

 

希少な物件だったとも言えますが、多くは購入して間のない(5年以内)、値上がり急な都心エリアの物件でした。買い手は売り手のあまりの強気に腹立たしいと感じたようです。

 

●新築から中古へ。そして再び新築に

新築が高くなれば連動して中古も上がるのは当然の成り行きですが、新築の供給が少ないために新築並みに上がってしまった中古マンション。その価格を聞いて、中古は高いと思ってしまう人も続出したようです。

 

中古は新築より安いのは今も変わりません。しかし、比較対照の仕方によっては中古が高く見えるケースがあります。「中古も結構高い」と感じたとしても無理はありません。

 

かくして、中古を検討したが「新築の方が得だ」に戻ってしまった人も多い1年でした。

 

●築年数の長い中古マンション検討者増える

中古も高いなあと感じた人、とりわけ人気地域の中古は新築並みなので(実は新築が供給されていないので、どこと比較して高いというのかは判然としない)、安い中古はないかと探しているうちに築40年を超えるような古い物件に辿り着いてしまったケースが今年は一段と増えた気がします。

 

そんな傾向の見えた中、築20年くらいの物件で優良なものをゲットした買い手さんにも何人か遭遇しました。筆者のレポートもGOとすべき高評価でした。みなが敬遠する築年数の長い物件の中に存外魅力ある物件があるのかもしれない、そう感じた1年でもありました。

 

【来年は曲がり角になるかもしれない】

価格が上がり過ぎれば、買いたい事情が切迫していたとしても、買うのを辞めてしまう人が増えます。家賃が勿体ないから買った方が得だとか、金利が史上最低だから今が購入チャンスだなどと言われても、気に入った物件の価格が購買力を超えていれば断念せざるを得ません。

 

こうして需要が減退すれば、売り手は困ります。

 

新築マンションの売主は在庫を抱え込むことになります。今の時代、金利が低いので在庫を抱えても金利負担に苦しむデベロッパーはないかもしれません。しかし、詳細は省きますが、別の理由で在庫(完成済マンション)を多数抱えることを避けたいのが普通です。

 

完成在庫は、何とかして早々に無くさなければなりません。最後に登場するのが「値引き作戦」です。統計上に現れない価格低下の動きは既にありますが、来年は統計上も値下がりの数字が出て来るかもしれません。

 

同様に、中古マンション市場にも変化が出て来るでしょう。売れなければ中古マンションオーナーは下げざるを得ません。既に兆候は表れているようですから、来年はより鮮明になってくると思います。

 

新築も中古も、ようやく上げが止まるということですが、数字は横ばいになる程度であって、下げに転じるかは疑問が残ります。下げるとしても、そのカーブは緩やかで、微々たるものです。場所によっては殆ど変わらないでしょう。

 

統計上のことはさておき、来年は価格交渉がしやすい環境になることは確かです。新築にせよ中古にせよ、思い切った指値に挑戦してみるといいかもしれません。

 

相手が強気な態度であっても、虚勢を張っているだけだ。そう思って、勇気を奮い起こし、ネゴシエーションを頑張ってみましょう。

 

最後に、新規の売り出し物件(新築マンション)は買い手に期待を持たせながら情報を出し惜しみするのが顧客を囲い込むための常套手段です。価格は中々明らかにしませんが、安く出て来るという期待は持たない方がいいと思います。

 

来年の物件の土地代も建築費も既に確定済みなので、安くするには利益を削るしかないのですが、それを売主が覚悟するまでには時間がかかります。プレセールスの期間に反応が悪すぎることを理由に調整して来ることはありえますが、買い手が期待するレベルにはなりません。

 

結局、期待するレベルに下がるのは、売れ残って建物が完成間近になってから、そう思った方が正しいのです。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

 

 

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