第612回 マンション探しの新しいカタチを模索中

 このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

家事を他人に頼んだり、中には子供の世話までベビーシッターに依頼したりする人があります。年末の大掃除も、掃除専門の業者を呼んだりします。忙しい現代人は、プライベートな時間を取りにくいのでしょう。

 

夫婦とも多忙のため、育児のための休暇を交互に取ったりする家庭もあると聞きます。しかし、夫は仕事中心で家事と育児は妻任せという家庭も多いようで、住まい探しも妻が主導的ということすら珍しくはないようです。

 

家探しは、結構な時間とエネルギーがかかるものです。失敗したくない、後悔したくないと思うためか、予備知識を蓄え、事前に下調べを行い、何度も現地を訪問します。見学物件もひとつではないので、決まるまで何か月も、人によっては何年もかかってしまうようです。

 

妻が選んだマンションを夫が追認するというカップルもあれば、候補を妻が見つけ、夫がその中から良いと思うものだけ見学に二人で出かける。つまり、妻にとっては二度目のモデルルーム訪問であるというカップルもあります。

 

中には、仕事の合間にスマートフォンで検索し、趣味のようにマンション探しを続けている人もあります。それでも、中々見つからないのだと言います。どんなマンションがどこにあるか、大体全部知っているが、気に入ったものが見つからない。見に行っては、いつも失望して帰って来るというのです。その方の自己分析では、数多く見たので、目が肥え過ぎてしまい、粗ばかりが目に付いて決心できないのだそうです。

 

中古物件では、仲介業者から新しい売り出し情報が来ていたが、あれがダメこれがダメと言い続けるうち、最近はメールが来なくなった。結局、SUUMOなどのポータルサイトから自分で検索するのが早いと考えている人もいます。

 

筆者は、もっと効率的にマンション選びができないものか、多忙な現代人は仕事も仕事以外もやらなければならないことが多すぎて、いっときのこととはいえ、マンション探しに割く時間が少ないという人も多いのです。

 

このような事情を知った筆者は、もっと早く無駄なくゴールに達する方法はないものかと長いこと考えて来ました。

 

 

●売り手の姿勢に問題があるのか?

新築マンションでは、一度資料請求をすると、希望条件や予算を把握しているせいか、いつまでも「新発売物件のお知らせ」メールが長年に渡って届きます。印刷したDMも時々来ます。あれは、顧客管理を専門にしている部署が機械的に送るのでしょう。

 

それも広告戦略の一環ですが、もっと心を通わせた営業ができないものか、買い手も、その方が喜ぶはずだから。ときどき筆者は、そう考えます。新築は物件ごとに担当が決められ、完売すると別の地域に配置換えになるので、知り合った顧客との関係が続くことは少ないものですが、仲介部門なら顧客本位の営業はできるはずです。

 

大手は自家物件(売主さんから直接自社が売却依頼を受けたもの)を優先するものの、中小業者の営業マンなら他社物でも積極的に紹介できるからです。

 

自分が営業マンなら、ご縁があって知り合った買い手さんには最高のサービスをしつつ契約を取ろうとするだろうなあ。そう考えます。もう他を買ったと言われるまでアプローチをするし、反応がないようなメールも書かないと思ったりします。

 

ある若手の営業マンに質問してみたところ、「情報をお送りしても反応が全くないので、どこか別の業者のセールスで買ってしまったのだろうと思って、そのうち諦めてしまうことはあります。反応のない客を追いかけるより、反響のあったホットな新規客の方が優先するのです」ということでした。

 

メールを送っても無反応。客に言わせると、物件情報をくれるのは勝手だが、興味がないから反応しないだけだということらしいのです。

 

営業が送る情報が客の条件に合わないということでしょうか?つまり、それを承知で営業マンはメールで情報を送っているということでしょうか?営業の定石には「ダメで元々。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」もあるので、機械的に、とにかく大勢の客に一斉に送っているのでしょうか。少なくとも、客にそう思わせているのかもしれません。

 

営業マンに追加質問してみたところ、「そんなことはありません。ただ、顧客の状況が変わってしまうこともありますから、条件ぴたりではないが念のために送ろうと思っているのです。でも無反応だと、やっぱりだめかと諦めています」というのです。

 

「筆者なら、もっと送る相手の心の琴線に触れる言葉を添えてメールするね」というと、営業マンは「私も新着物件の情報をお送りします、といった事務的なメールはしていないつもりです」と答えるのです。

 

無反応の理由は「興味がない」ことに尽きるのですが、なぜ興味を持ってくれないのか、そこにカギがあるように思います。

 

予算をオーバーしている。予算は良いが広さが足りないか間取りが悪い、あるいは駅から遠いか幹線道路沿いでうるさそうだといった、どこかが満足できない、条件を満たしていないためなのでしょう。

 

何もかも条件ピタリの物件などないのにと営業マンは考えるかもしれないが、買い手とは理想を追い続けるものです。特に、多数の見学経験を持つ客は目が肥えているだけに、理屈では分かっているつもりでも感情が妥協を許さないのかもしれません。

 

●効率的なマンション探しの方法は?

先日、見学する前だが評価レポートをいただけないかというご依頼が筆者にありました。価格が高い時期だけにリセールが心配なので、将来価格の予測レポートもお願いしますというお便りでした。

 

レポートの納期は内覧日の前日でした。大急ぎで仕上げたレポートを送ると、ほどなくメールが届き、「チェックすべきポイントと価格交渉の目安の金額が分かってよかったです。レポートをよく読み込んで明日の内見に備えたいと思います」と結んでありました。

 

別の人から、「疲れました。見学はもう30件以上したと思います。インターネットの情報では限界があることもよく分かりました。不動産屋さんが送ってくれるペラ1枚の物件情報も素人には判断が難しく、自分なりの調査で良さそうなものだけに絞って見学するのですが、失望の連続です。決まりかけた物件もあったのですが、タッチの差で別の買い手に取られたりして、中々決まらないのです。可能かどうか分かりませんが、条件にピタリの物件をご紹介いただけませんか」というメールが来ました。

 

「当職は業者ではないのです。どうして、このようなメールを下さったのでしょうか?」と問うと、「業者さんは、情報はたくさん下さいますが、見に行くまで良い物件かどうかが分からないものが多いのです。三井さんなら、これはダメとか、勧められるとかの判断ができると思うので見学に行くベき物件を絞りこめると思った」というお答えでした。

 

こんな人もありました。「中古マンションの場合、持主さんが居住中という場合もあって、ゆっくり隅々まで見学することができません。どこを重点的にチェックすればいいのか、どこを見落とさないようにしたらいいかを教えて欲しい」、「良い物件は素早く結論を出さないと買いそびれると聞きました。そのための重要ポイントを教えてください」と。

 

「狭い一定地域に絞れば、仕事中でも移動の電車の中などにスマートフォンを使って検索することはできますが、その絞り方に問題があるような気もします。着眼点を変えれば、検討できる物件を数多く見つけることができるかもしれません。仲介業者にも情報提供をお願いしていますが、三井さんのサービスには同様のメニューはないのか」というメールをいただいたこともあります。

 

新築では、「販売開始予定が大抵延期になるし、情報が中々出て来ないので長く待たされます。最後は予想外の高い価格なので、手が届く住戸は希望しない条件の悪い部屋ばかり。今までの時間は何だったのか」――こんなメールもありました。

 

●マンション選びの代行というサービス

マンション探しに苦労している様子が手に取るように分かります。条件を満たす物件は皆無、満足できる物件に出会えても予算をオーバー。一体どうしたらいいのか?そのような悩みを抱えている人が多いという実感があります。

 

筆者は、マンション探しの基本は検索、検索、また検索と、暇さえあれば検索して見つけ出すしかないと思っています。その中から、条件に合った物件・気に入った物件と出会ったら、「マンション評価サービス」をご利用くださればいい。判断の是非、注意すべき点、価格の適否などを筆者なりの客観的な第三者の視点でコメントしましょう。長らくそのスタンスでいました。

 

しかし、「評価レポート」や「将来価格の予測レポート」は冷たい、あるときは突き放すようなものかもしれないとも思います。今は「もっと買い手に寄り添うサービスが必要になっているのかもしれない。そんな気持ちが湧いては消え、消えては再び湧いて来るのです。

 

新築なら、中古と異なり時間に余裕を持てる場合もありますが、価格が中々決まらないので(公表が遅いので)待っている間の時間がロスだという場合もあります。並行して中古を検討しても、失望の連続で、こちらもロスが多い。仕事の関係で見に行けないこともある。値引き交渉に失敗することもある。

 

マンション探しは、デパートに行って宝石を選ぶのとはわけが違います。契約に至るまでは多くの買い手が迷い、悩み、空振りを繰り返しているようです。この数年は価格が高い時期にあることが、拍車をかけているのかもしれません。

 

筆者がこの2~3年感じて来たことは、「マンション評価サービス」だけではダメだということです。初回は無料でレポートをお引き受けできても、数が重なれば依頼者の費用負担は増えますし、無駄になる場合もあるでしょう。もっと気軽にご依頼下さるサービス形態はないものか、具体的な方法を模索し続けています。

 

多忙な人に代わってマンション選びを代行するサービスが提供できないものかという検討課題を持っているのです。

 

しかし、良い物件を探して提案するというのは、業者の仕事。筆者の仕事は、気になった物件、買おうと思った物件の評価依頼を待つという受け身の仕事で良いのでは?でも、どうもそれでは足りないようだ。もっと違うスタンスでサポートすべきではないか。最近は、その思いが強くなっています。

 

買いたい物件の候補探しは買い手と業者の仕事です。筆者に特別な情報源や方策があるわけではないのです。希望条件を窺って、SUUMOなどから選び出しても二重手間になるだけです。それでも、視点を変えてみることで思いがけない物件を探し当てることができるかもしれない。

 

しかし、仕事の合間に検索を繰り返す顧客には「ありがた迷惑」かもしれない。また、同時に複数の人から受注すると、今でも多忙な筆者には無理かもしれない。そんなふうにも思います。

 

このような葛藤の中から、機械ではできないサービスを、しかも低廉な料金で請け負うことはできないものか、その答えを見つけつつあります。まだ、完全に固まったわけではないのですが、年初から少し先が見えて来た感じもしています。

 

マンション探しのお手伝いを、個人の実情に応じてキメ細かく提供して行こうという試みを実験中ということです。筆者のサービスメニューの中から選択していただくという従来の方法だけでなく、「オーダーメード」のサービスという位置づけですが、何人かの依頼者との間で成功例も何件か出始めています。

 

読者のみなさんも、お困りの実情をメールで(HPの申込ボタンから)お寄せ下さい。適切な方法を提案させていただこうと思います。

 

●効率的なマンション探しの方策

宣伝になってしまいましたので、最後にひとつ提案をお送りします。

 

マンションの価値は、間取りや設備などの建物もさることながら、場所が優先します。

 

場所は行ってみれば分かります。モデルルームや中古なら内覧をするのは後回しでいいのです。その場所が、とても良いと感じたら検討すればいいですし、場所(立地条件)が良くないと思ったら止めればいいのです。

 

間取りや設備、ブランドに惚れてはいけません。マンション選びは街選びでもあるのです。念のため付け加えれば、住み慣れた街も捨てることも検討するべきです。

 

子供の世話を見てもらいたいから親の家の近くに買いたいとか、保育園の関係から今の住まいの近くで探したい、勤務先の関係からこの鉄道がいいといった事由は理解しますが、可能な限り幅広く街を選ぶことをお勧めします。

 

どうしても無理な場合は、その街の中の「より良い場所」を選ぶのです。

 

あくまで、資産性の観点から提案しているのであり、永住のつもりでも、買い替えるときが必ず来るので、そのときローンの残債割れをしない家、できたら多額のキャッシュが手元に残る家を選ぶべしというのが変わらぬ筆者の持論です。

 

そのためには、建物がどうでもいいとは言いませんが、何しろ立地条件の良いものを優先すべきと申し上げたい。

 

駅に近いことは言うまでもないのですが、駅に近いだけでもダメ。前が開けているか、前に何か障害になるものがないか、今はなくても将来何かできるのではないか、両脇は空いているか、角地か、幹線道路や鉄道に面していないか、買い物施設は充実しているか、飲食店は豊富にあるか、子供の遊び場はあるか、最寄り駅の鉄道は都心にまっすぐ向かう幹線か、急行は止まるか、高台か谷地か、住みたい街ランキングの上位にあるか・・・こうした観点から場所の評価を自分なりにしてみましょう。

 

全部が合格ということはないかもしれませんが、先ずはその自己評価をしてみましょう。

 

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

 

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