第780回 「売主や営業マンに関する不満と疑問」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

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今日は、マンション事業者に対する不平不満・疑問について、その答えを解説しようと思います。

 

Q1.設計から販売、管理まで一貫している物件はどうか?

A)管理はともかくも、売主と施工会社(ゼネコン)が同じというのは要注意です。

一社で一貫している場合は、その会社が倒産したら、その時点で関係者がいなくなります。それぞれの専門会社が分かれていれば、一社が倒産しても他に関係者は存在するからです。

 

施主と施工会社と設計事務所との関係は、通常は次のようになっています。

 

*施主とは、発注者のことで、事業主、デベロッパーとも言われます。売買契約における売主でもあるのが普通。

 

土地を取得し、ゼネコンに工事を発注して建設。その後、購入者に販売。大きな利益を得ますが、反面マンション事業に関して全リスクを負担します。

 

したがって、耐震偽装や建物の不具合があったときなどにも対応できる企業姿勢、資金力のある売主を選ぶべきです。

 

*施工会社(ゼネコン)

マンションの工事は、デベロッパーからゼネコンにまるごと発注されます。ゼネコンは、下請け会社を管理監督して工事請負の責任を果たします。

 

契約書記載事項の履行責任、アフターサービスや欠陥などの不具合について責任を負うのは全て売主ですが、実質は請け負ったゼネコンが引き受けるので、ゼネコンが倒産したりすると、デベロッパーのアフターサービスも不十分になることがあります。危ないゼネコンの施工物件は避けなければなりません。

 

*設計事務所

建物の基本計画から基本設計図面、実施設計図面などを作成します。建築確認の申請、さらに工事が始まれば監理業務(監督・管理すること)を行ないます。大手ゼネコンの場合は設計部門が工事部門と連携して行なう場合もあります。

工事を発注する者(施主。マンションの事業者)と工事を請け負う者とでは利益は相反します。

 

本来は、発注者が工事をチェックするのですが、両者が同じ会社の場合は利益確保が優先され、行き過ぎたコスト削減や手抜き工事を引き起こす危険があります。

 

また、ゼネコンが設計・施工を一緒に請け負っている場合も危険があります。1人の目より2人の目、違った立場から工事監理をすることで、より良い建築物を生むことになるのですから、同一の場合は、社内体制まで確認することが必要です。

 

Q2.自分に知識があれば、いい加減な営業マンを見分けられるのでは?

A)その通りです。こちらが何にも知らないと思っていい加減な説明をする営業マンだったら、それを信じて購入した客は、後で泣きを見ることになるかもしれません。

 

その意味で、買い手が知識や情報を持つということが必要と言えます。しかし、知識や情報を習得したり収集したりするのは、時間的に限度があります。本業そっちのけでやるわけには行きません。ある程度、販売担当者を信用して購入を決定していくしかありません。

 

ただ、担当者との出会いの幸・不幸は、運・不運ですから、全く何も知らないでは後悔するかもしれません。そこで、最低限の基礎知識を持つことが必要です。

 

最低限の知識は、インターネット情報を利用することで十分ですが、いい加減な情報もあることを肝に銘じておきたいものです。

 

Q3.良い営業マンの見分け方を知りたいのですが・・・

A)競争が激しくなって来ると、不動産会社は一人でも多くの顧客を獲得しようと他社との差別化に懸命になります。必死になるといっても過言ではありません。その結果、優れたマンションが誕生します。買い手からみたら大変結構なことです。

 

しかし、その過程で醜い争いが見られることを否定できません。不動産会社の中には、ライバル会社の弱点をあげつらったり、欠点を批判したりします。経営の不安定さを根拠なく中傷したりもします。

 

ひどい営業マンになると、「あちらは床スラブの厚みが18㎝しかない。入居後上下階の住人トラブルに発展する可能性が高い」などと、でたらめなことを言ったりします。

 

スラブの厚さは事実でも、それだけで音の問題は説明できないのです。このような営業マンはとても信用できません。

 

では、良い営業マンとは、どんな人物を指すのでしょうか。また、それを見分ける方法はあるのでしょうか。さらには、営業マンとの付きあい方についても整理しておきましょう。

 

良い営業マンを見分けるポイント

1)他社の悪口を言わない。むしろ、利点・長所を語る

2)営業トークばかりでなく、客の話を聞いてくれる

3)条件の整理をし、優先順位をつけてくれる

4)無理な資金計画を勧めない

5)不明点をいい加減にせず、あとで調べて正確に教えてくれる

6)電話や訪問などの約束を守り、マナーが良い

7)結論をいたずらに急がせない。納得のいく形で答えを引き出してくれる

 

営業マンとの付き合い方のコツ

1)希望条件を曖昧にしないではっきり伝える

2)資金内容をできるだけ正確に伝える

3)分からないことは、どしどし質問する

 

Q4.値引き販売中のマンションをどう見る?

A)値引き販売は、昔は表には一切出さず、こそこそと水面下で、既購入者に気付かれないように行なわれていました。

ところが、まれに「価格改定」「新価格」などと広告に堂々と打ち出す企業もあります。販売途中でこれをやられると、先に定価で購入した客には何とも割り切れない思いが起きます。

 

売主に対して不公平を理由として訴訟を起こす人もありました。しかし、裁判では、商行為として不正ではないとして、売主勝訴の判決が出ています。

 

そうした経緯からか、最近の状況では値引き販売については、当然あるものだと認識している買い手もが多いと思われます。

 

しかし、裁判まで発展すれば企業のイメージダウンになりますから、そうなることを恐れる事業者は、価格改定を断行するとき、先行契約者に対し、値下げ率に応じた差額を返金する場合があります。

 

また、「モデルルームの格安販売」は、定価販売した契約者とのトラブルを避ける最も有効な手法として一般化しています。

 

広告に、「何ヶ月間モデルルームとして使用」と表示して限定1戸とか2戸とかを販売します。その住戸を販売し終わると、別の住戸をモデルルームとして値引き販売するのです。このようにして、モデルルームを次々に設定し、それを堂々と格安販売していきます。

 

モデルルームや、販売事務所として使用したから、というのが値引きの大義名分になり、既契約者からのクレームを防止できるのです。

 

どのくらい安くなるのか・・・ですが、そもそもマンションの粗利は20%しかなく、そこから広告費その他の販売経費を引いた実質利益は10%前後です。10%の利益で経営するのですから、売れ残りは事業者にとって死活問題になるといっても過言ではありません。

 

しかし、少しの在庫を1~2割値引きしたとしても全体では利益を確保できるのですから、思い切って2割引きで早期完売しようという計画もありうるのです。

 

値引き販売の変形としては、他に「家具付き販売」や「登記料の売主負担」、「駐車料5年分無料(売主負担)」といったものもあります。

 

いずれにしても、値引き販売中のマンションを検討する際に注意したいのは、値引きしないと売れないマンションだという事実をどう判断するかという点です。

 

商品が悪いとか、欠陥があるとかいうことではありません。市況が急に悪化したために売れ残ったというものもありますし、数が多過ぎて残ってしまったというケースもあります。

 

しかし、多くの場合は価格設定を誤ったケースです。不当な利益を目論んだわけではないのですが。

ともあれ、値引き後の価格が適正だったのかもしれません。つまり、値引きは、必ずしもお得とは言えない場合もあることを覚えておきましょう。

 

どの業界にも見られるように、値引きや値下げの前に買ってしまうことは普通にありますし、値下げ・値引きセールに飛びつく消費行動もあるのは事実ですが、冷静に判断することが必要です。

 

Q5.マンションの6畳は6畳の広さがない?

A)マンションの面積表示は建築基準法によって、壁の中心線で測ったものを表示することになっています。片側の壁が20㎝の厚みを持っていれば、隣の住戸とは10cmずつ分け合う形になるので、内法では10cm分狭くなります。壁の薄い木造住宅との比較では、5cmほど、マンションは短くなるのです。

 

従って、一戸建てや木造アパートに住んでいる人がマンションを見たら狭いと感じることがあるようです。

 

また、関東の6畳と関西の6畳では、もともと寸法が違いますから、関東サイズで設計したマンションを関西出身の人が見れば狭いと感じることもあるかもしれません。

 

畳が6枚敷いてあれば6畳ではないかという屁理屈もありますが、マンション業界の習慣は、1畳を1.62㎡で換算します。そのため、たまたま変形サイズの和室ができたときは、畳4枚半と板の間が付いているだけでも、面積は6畳大とか、畳4枚半で6.5畳などという何ともおかしな表現になることも少なくありません。

 

Q6.期分け販売は、買い手に何か得がありますか?

A)何の得もありません。マンションの価格は第1期の販売開始前に第2期以降に販売する住戸分も含めて、すべて決められているので損得はありません。稀に、初期で販売が好調に進んだ場合は、途中から値上げする業者もありますが、値下げはないと見るべきなのです。

 

第1期は工期に余裕があるためセレクトプランなどに対応しやすく、自分の好みに合わせた住まいが手に入るとか、また、たとえ抽選に落ちても第2期で再チャレンジすることだって可能です。気に入った住戸があるなら、第1期でアクションを起こすのが賢明と言えるかもしれません。

 

第1期と第2期というように期分けして販売されるのは、不動産会社の販売戦略でしかありません。一括分譲をしてしまったときの「売れ残り感」を防ぐための戦略なのです。

 

1回当たりの販売戸数を少なくして「期分け分譲」を行うのは、販売前のプレキャンペーン期間の買い手の反応を見て、「完売」できそうな戸数だけを販売し、「完売」を演出するためなのです。

「第〇期完売御礼」や、「第1期、第2期連続即日完売」というキャッチコピーが良く使われていますが、これは買い手に人気ある物件であるという錯覚をおこさせるための広告手法です。

 

また、「第1期分譲開始」、「第2期新発売」というように、その都度「新規分譲」というイメージで、新鮮さを持続させる戦略でもあります。

 

複数棟の建物で構成される場合は、竣工予定に合わせて棟ごとに区分販売していく場合もあります。

 

Q7.売り主が倒産するような事態になったら?

A)売主が倒産したといっても、その会社がすぐに消滅するわけではありません。民事再生法や会社更生法が申請され、スポンサー企業の支援を受けながら事業を継続していく場合がほとんどです。

 

ただし、建築途上のマンションで引渡し前に売主が破綻した場合、売主が建築工事を継続するか否かで異なります。破綻が「会社更生法」、「民事再生法」、「特別清算」の場合は、建築工事を継続してそのマンションプロジェクトを完遂するケースが多いようです。

 

「破産」の場合であっても、工事の進捗状況にもよりますが、工事をストップしてそのプロジェクト自体を他社に売却するケースもあります。

 

手付金等保証証書が威力を発揮する

宅建業法では、未完成物件の場合、手付金等の金額が売買代金の5%を超えるか1千万円を超えるケースでは保全措置を講じなければならないことになっており、その場合、売主と保証委託契約を結んだ保証会社から「手付金等保証証書」が買主に交付されます。

 

「手付金等保証証書」があると、万が一売主が破綻して契約したマンションが引渡されない場合は、支払った手付金等が全額返還されます。

 

但し、「民事再生法」などによって建築工事を継続し、予定通りにマンションが引渡されるケースでは、いくら「手付金等保証証書」があっても支払った手付金等は返還されません。

 

「破綻した売主のマンションには住みたくないから売買契約は解除!」などと言うと、購入者の自己都合による解約となり、手付金放棄或いは違約金を請求される場合もあります。

 

なお、最近の分譲マンションでは売主が数社存在していて、共同で事業を進めるジョイントベンチャーと言われる事業形態が増えています。その数社の内の1社が破綻した場合はどうなるのでしょうか?

倒産した事業主が本来負っていた債務(物件)の持分を他の事業主が引き継いで事業を継続するのであれば、売買契約書の内容通りとなります(売買契約上の権利義務関係は変動しません)。

 

ほとんどのケースで、破綻した以外の売主が破綻した売主の持分を取得して事業を継続します。そのため、そのマンションは購入者に引渡されることになるため、破綻を理由に解約はできません。

「(破綻した)売主のブランドを気に入って契約をした。売主でなくなるのなら解約だ!」などという理由では、やはり購入者の自己都合による解約となり、手付金放棄或いは違約金を請求される場合もあります。

※瑕疵担保責任は?アフターサービスはどうなる?

新築住宅は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、引渡しを受けた時から10年間、基本構造部分において瑕疵(欠陥)があった場合には無償補修をしなければなりません。売主が「民事再生法」など会社が存続する場合はその義務を負いますが、「破産」で会社がなくなってしまう場合には、売主の瑕疵担保責任は期待できないと言えるでしょう。

但し、最近(2009年10月1日以降)のマンションでは「住宅瑕疵担保履行法」により売主の瑕疵担保保険への加入または保証金の供託が義務付けられています。売主が破綻した場合には、瑕疵の補修に対して購入者が保険によって支払い請求を行うことができるようになります。

 

また、新築マンションの場合、「アフターサービス」がありますが、「アフターサービス」はあくまで自発的なもの、任意なので、「瑕疵担保責任」と同様に会社が存続するか否かで対応は異なります。

 

Q8.1年ほどかけてモデルルームを10件ほど見ましたが、決断を下さないで来ました。理想の物件に出会うまでもっと待った方が良いでしょうか?

A)待った方がいいかどうかは一概には言えません。あなたの理想がどのようなものかによるからです。理想が高過ぎれば、後になって待つことが無意味だったと、後悔することもあります。一方、理想が手の届く範囲のものであれば、慌てることはないとも言えます。

 

問題は、自分が現状認識を誤っているかもしれないという疑念です。これを解くには、その時々の市場をよく知っている現場の営業マンに聞くのが一つの方法です。

いい加減なことを言う営業マンでは困りますが、ある程度経験を積んでいる営業マンが、モデルルームに1人くらいは詰めています。こちらの条件を伝えて、率直な意見を求めれば、きっと適切な助言をくれるでしょう。

 

Q9.なかなか決められないのです。どうしたらいいでしょうか?

A)「こんな不満だらけの物でも、今決めないと高くなって、次はもっと不満な物を買うはめになるから、目をつぶって買ってしまおう」という行動心理は、マンションブームの末期によく起きます。

 

ブームが去り、価格の安定期に入ると、「慌てることはない。先に行けば、もう少しましな(満足度の高い)ものが買える」と考える人が増えます。

このため、モデルルームに見学に行っても、研究材料として眺めるだけで、前向きに購入を検討する態度の買い手は少なくなります。

 

反面、情勢を横目で見ながら良いものがあれば購入しようという気持ちを持っている人もあります。ただ、急ぐ必要がないので、より満足度の高いものを求めてさまようこととなります。

 

こうした人は、予算を超える物件ばかりを見る傾向にあります。「もっと都心に近い物を」、「もう少し広いものを」、「どうせ買うなら角部屋がいい」、「西向きはいや」などと、欲張りなことを言い続けます。

 

何か所も見て回れば、やがては自分の力を知るに至り、希望条件を落としそうなものですが、ブーム後は値崩れしているため、もっと安くなって理想のマンションに出会えると信じてしまうのです。しかし、そこには落とし穴があることに気付く必要があります。

 

いくつも見るうちに目が肥えて行くのは悪いことではありませんが、理想が高くなるというデメリットもあるのです。

 

時間をかけて探したら理想の家に必ず到達するというものではありません。理想を追い過ぎて何年も不便や窮屈を我慢するより、早めに決心した方が幸せというものかもしれません。この先の出会いの方が、より理想の住まいになるという保証はないのです。

 

広いリビングルーム、ダブルベッドを置いたゆったり豪華な寝室、使いやすそうで機能的なシステムキッチン、休日にブランチを楽しめそうな広いテラス。こうしたモデルルームの光景が切り張りされて、理想のマンション像が頭の中で出来上がっていくものです。

 

モデルルームは、大体において、そのマンションの中でも最上級のタイプが展示されています。予算からかけ離れたものであることが多いものです。それが理想像を作るのに手を貸す格好になります。視覚は最も記憶されやすいとも言われますから、たくさん見れば見るほど鮮明に、高い理想が脳に残像として記録されていくのでしょう。

 

以上の意味で、見過ぎるのも良し悪しなのだと思います。

 

決められない原因は他にもあります。マイホームを買いたいと行動もしているが中々買えない。そんな人たちの話をしましょう。

買えない人は大別すれば4種類あります。

 

  • 巡礼者タイプ

モデルルーム巡りをしているうちに、それ自体が目的化してしまった。メモ帳片手に、根掘り葉掘り営業マンに聞く。細かいことが多く、営業マンも即座に答えられず、汗顔する。

 

  • 小心タイプ(優柔不断タイプ

慎重にコトを進めることは悪いことではないが、度が過ぎるタイプ。不安ばかりが先に立ち、決心ができない。

 

  • 疑心暗鬼タイプ

価格が安いと、何かわけありなのだろうとか、平日の昼の見学であるにも関わらず、来客が少ないのは人気のない物件なのだろうとか、いちいち疑ってかかる。

 

実力拮抗タイプ

互いに主張したがる夫婦。夫婦間の意見が一致しないために、いつも最後は物別れに終わる。

 

こうしたタイプの買い手には、販売現場にいる営業マンたちも手を焼くようです。

「もう勝手にしてくれ」と、心の中で叫びたくなるお客様も少なくないと彼らはこぼします。その一方で、これは大抵優秀なタイプですが、買い手の心理や性格を読んで、巧みにリードしてくれる営業マンも存在します。

 

巡礼者タイプ(業界では回誘客と呼ぶ)に対しては、「何事も過ぎたるは及ばざるがごとしと言われますように」から始めて、見過ぎることの功と罪を説きます。

 

小心タイプ(優柔不断タイプ)には、ひとつひとつの不安に対して、丁寧な説明を行い、問題点の整理を行い、勇気を与える、すなわち背中を押してくれます。

 

実力拮抗タイプには、時折「ご夫婦でよく話し合って下さい。場所をお貸ししますから」と、突き放すようなことも。そして、社内打ち合わせ用の個室や応接室用の小部屋などに誘導する、といった具合です。

 

このような良い営業マンに当たったら買い手は幸運です。買うか買わざるか、決めるのは自分だと言っても、買い手というのは、決断の間際では「誰か背中を押して」と、無意識ながら、他人頼みの心理が働くものだからです。

 

良い営業マンに巡り会えるかどうかは運次第ですが、ここは大事なところです。

 

Q10.家を衝動的に買った友人がいます。後悔しないものでしょうか?

A)衝動的に高額なマンションを買ってしまう人は結構いますね。勿論、その反対のじっくり検討して慎重に選ぶ人も多いですが。どちらが正しいということも実は言えないのです。次にそれぞれの功罪を整理しておきました。

(衝動的に買うメリット)

*「思い立ったが吉日」の格言とおりの行為は、あまり悩まずにすむので苦労が小さい

*タイミングの良い買い物をする結果になりやすい

*早く買えば、それだけ幸せ気分に早く浸れる

 

(じっくり考えて買うメリット)

*残り物に福あり、という幸運に当たる可能性がある

*よく考えた結果だからと、失敗しても納得感を持てるかも

 

(衝動的に買うデメリット)

*営業マンの口車に乗せられて・・・と後悔することもある

*物件の欠点に気付かずに後悔することもある

*「知らなかった。聞いていなかった」と腹を立てることも

 

(じっくり考えて買うデメリット)

*あれこれ迷って、結局は良いものを手に入れることができない

*「下手の考え休むに似たり」の格言通りの行為で無意味なことも

*タイミングの悪い時に買うハメになることも

*半年前のあの物件が良かったと言っても後の祭り

*快適な住宅にいつまでも転居できず、不満が持続

 

Q11.転勤は自己都合の解約ですか?

A)その通りです。「自ら願い出た転勤であれば自己都合と納得できますが、勤め先=第3者からの指示による転勤なので、未だに納得できないでいます。 買主の勤め先の指示による転勤は不可抗力ではないのか」と、このようなご質問が寄せられることがありますが、このような考えは残念ながら法的に通らないのです。

 

買主の立場からすれば会社からの転勤命令なのに、何故自己都合の解約となるのかと思う人が多いのは確かです。しかし、転勤を理由にした売買契約の解除は、あくまで買主側の都合であって、契約当事者の相手からすると、自ら願い出た転勤であっても勤務先からの指示であっても、どちらでも全く関係のない話だからです。

 

もし、売主が転勤を理由とした白紙解除を常に認めたらどうなるでしょうか。悪く解釈すれば、契約をやめたくなった買主が勤務先と示し合わせて虚偽の転勤話を作り、解除権を濫用する可能性もでてきます。

 

売買契約は、売主と買主の双方がその内容を守る義務を負うことで成り立つものです。どちらか一方の都合だけを優先させるものではありませんから、「自己都合による契約解除」 について厳しい判断がされるのも仕方がないのです。

 

いずれにせよ、転勤を理由に売買契約をやめようとすれば、手付金の放棄による解除が原則です。しかし、売主によっては白紙解約を認めてくれるケースや放棄する手付金の金額を少なくしてくれるケースもあるので、売主の担当者へ早めに相談してみることです

Q12.申込金は戻ってきますか?手付金は戻って来ないのですか?

A)申し込み金は申し込み証拠金とも呼ばれます。マンション購入者が売買契約に応じる前の段階で、購入意思を売主に示すためのものですが、買主の事情で意思決定ができないため、一定期間の物件保留を依頼するためという場合もあります。

例えば、資金が親の贈与であるようなとき、その親の承諾が必要なので、親を連れて来るまで他の客に売らないでほしい、というようなケースです。

 

万一、親が購入に反対したとか、天秤にかけていた他のマンションから、提示していた条件を呑むという連絡が来たので、そちらに決めるといった理由で購入を中止する場合は、申込は取り消し可能で、申込金も戻ります。

 

本当は買うつもりで申込金を入れ、契約の日時まで売主と約束していたとしても同じことです。つまり、申込金に法的な拘束力はないのです。

 

一方、手付金は別です。契約締結時に売買代金の5%~10%の手付金を支払うことが通例ですが、この手付金は決済時において売買代金に充当されます。

手付金の交付は、契約が成立した証拠として行われます。何らかの事情で契約書の作成・調印が行われなかったとしても、手付の授受をもって売買契約が成立したと認めることは可能です。

 

従って、手付金を銀行振込等で売主に支払ってしまえば、購入を止めた場合、申込金のように戻ってくる可能性は低くなります。とはいえ、売主によっては、事情を斟酌して返金に応じてくれる場合もありますから交渉はしてみるほうがいいのです。

 

宅地建物取引業者が売主の場合に受け取る手付金は、宅地建物取引業法の規定により、必ず 「解約手付」としての性格を有するものとして扱われています。

解約手付とは、買主は手付金を放棄し、売主は手付金を倍返しすることによって契約を解除することができるというものです。

 

尚、不動産会社(宅地建物取引業者)が手付金に関して、以下のような制限があります。

①売買代金の20%を超える手付金を受け取ってはならない。

②不動産会社(宅地建物取引業者)が、売買契約締結時に一定額以上の手付金

や売買代金の一部(以下「手付金等」)を受け取るときは、手付金等の保全措置

を講じなければいけません。

 

保全措置とは、銀行や保証会社等による保証や保険会社による保険のことです。これにより、万が一、不動産会社(宅地建物取引業者)が倒産などした場合でも、契約時に支払った手付金等が返還されます。

 

Q13.入居後「覚悟しておくこと」はありますか?

A)3点あげておきましょう。

音の問題

上下階、左右のみならず、どこかから音や声が聞こえることがある。これは覚悟しておく必要があります。人の感性によって異なりますが、分譲マンションの場合、音は気になりませんとは言い難いのです。

 

事業者や設計者、施工者等は長年の研究によって騒音対策(遮音性能を高める工法や部材の採用)に取り組んで来ましたが、完全に無くすというレベルには達していないのが現状です。

 

販売担当者は、二重床、二重天井にしています。隣家との戸境壁も分厚いですから大丈夫です・・・などと説明しますが、あまり当てになりません。音源も真上や真横とは限らず、コンクリートを伝わって2~3軒先から聞こえてくることもあります。

 

通常の生活であれば、アパートとは比べ物にならないほど静かなレベルと言ってよいでしょう。強いて言えば、夜中に耳を澄ませば聞こえるということはあります。

 

たまたま、近所に夜昼が逆の生活をしている家庭があったりすると迷惑なことがあるようです。大切なことは、マンションは共同住宅なわけですから、お互いにマナーを守り不必要な音は立てないように心掛けることにあります。

 

実は一戸建のほうが音に敏感なものです。身内だから気にならないだけなのです。道路と接しているために車のエンジン音や足音が響いたり、隣家の話し声が聞こえてきたり、などということも一戸建て住宅には大いにあります。

 

定期点検

アフターサービスとして、住居後に定期的な点検が行われます。売主により幾分違いますが、一般に「3ヶ月」「1年」「2年」の3回などとになっています。

 

特に、2年目の点検は、売買契約書に記載されている「隠れた瑕疵(欠陥)に対する瑕疵担保責任は、引渡し後2年間とする(宅建業法40条に基づく)という契約上保証された瑕疵責任期間内の最後の点検となりますので、購入者にとっては、非常に大事な点検となります。

 

契約上の最低保証期間は、2年ですが、その他に補修請求権のある瑕疵保証としては、品確法に基づく法的保証(重要部位の構造的ひび割れや雨漏り等10年)や不動産協会や売主独自に設定した任意のアフターサービス保証(重要部位10年、給排水設備・ユニットバスの漏水5年他、一般部位・設備2年間等の保証があります。

 

ただし、2年目以降は、売主側立会いの定期点検等は行なわれないので、あくまで、居住者(管理組合)が独力(又は、専門業者に依頼して)で瑕疵を発見し、各保証期間内に、売主に補修等の請求をする必要があります。

 

日常生活の時間を割き、場所を提供(家具や家電製品の移動も)するという煩わしさが発生する可能性があります。

また、補修個所が発生した場合、補修工事の施工日に合わせて、仕事を休まなければならない場合もあるかもしれません。

 

ともあれ、一般的に、アフターサービスは、適用を受ける期間内であれば、瑕疵なのかどうかを問題にするまでもなく、売り主に無償で保守させることができます。納得が出来るまでは、何回でも補修をさせるべきです。工事期間中の宿泊代などの実害に対して損害賠償を請求することも可能です。

③管理組合の役員

建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法)に基づき、マンションの所有者は、区分所有者と呼ばれます。購入した区分(部屋)の内側は専有部分として自由に使用する権利を得ると同時に、廊下やエレベーター、配管などの共用部分(専有部分以外の全て)を全区分所有者と共同で維持管理する義務が生じます。

 

居住せずに区分所有する部屋を賃貸とした場合でも、共用部分の維持管理をする義務に変わりはありません。管理会社というのは、あくまで管理組合から委託されて管理業務を代行するに過ぎません。

 

各物件を購入した区分所有者に引渡しが始まると、区分所有法に基づき管理組合の最高意思決定機関である総会が招集され、管理組合が設立されます。同時に管理組合の法律ともいえる管理規約が承認されます。

 

直接的には、管理規約に基づき、総会にて選出する理事長・会計の2役員と、マンションの規模に応じた人数の理事によって構成される理事会、理事会を監査する監事が組合運営を行います。一般的には、理事、監事は任期制であり輪番制になっています。

 

この理事や監事などの役員は、所有者の中の誰かが必ず担当しなければなりなせん。その役がいつか回ってくることを心しておく必要があるのです。

 

Q14.バルコニーに物置を置いてはいけないのはなぜですか?

A)バルコニーは、廊下やエレベーターなどと同じ共用部分に該当します。但し、接する住戸の居住者に専用使用権が与えられています。専用使用権とは、区分所有建物における特定の区分所有者または第三者が、共用部分や敷地を排他的に使用できる権利で、対象部分を「専用使用部分」とも言います。

 

専有部分と混同されがちですが、バルコニーは法律で共用部分と規定されています。

 

共用部分ですから無闇に何でもできるわけでなく、管理規約などでバルコニーの使い方を規制しています。ガーデニングは良いが、物置きはいけないとか、工作物を設置してはダメとか書かれています。入居者は、これらの規定を守って暮らすことが求められます。

 

バルコニーは避難経路にもなっていますから、簡単に移動できないような重量物を置くことも禁じられています。隣の家とのバルコニー上の隔壁は、足で蹴ると破れるようにできており、いざというときは、これを打ち破って避難するのです。

 

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