第763回 「割高物件を掴まないために」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

高値つかみしない買い方が大事と分かっていても、マンションの価格は少しずつ変動して行くものなので、判断が難しい。そう言って悩む買い手は少なくありません。  

 

この10年だけを眺めていても、相場の上昇によって、どれもこれも高値になってしまいましたから、確かに判断は難しいのかもしれません。そんな今の、マンションを賢く選ぶ方法を整理してみました。  

●高いと割高とは意味が違う

高くなったマンション。長く市場を見て来た筆者ですが、最近10年だけを見ると、異様な値上がりに驚かされるとともに、買い手の立場に立っては同情し、既に所有している人には賞賛の言葉をささげたくなります。  

 

*首都圏の過去15年の価格はグラフのように右肩上がりです。新築も中古も同じような値動きになっていることが分かります。  

ただ、注目して欲しいのは、新築と中古の価格差が5年くらい前から拡大している点です。  

 

新築価格が上がり、手が出ないと感じた人は、中古を検討しようと動き、中古の人気が高まるので、新築の値上がりに呼応するように、中古価格も高くなって来たのです。  

 

しかし、その中古も手が届かない人が増えると、中古人気も陰り、購入を見送る人が増えます。それは、価格の上昇圧力を弱めることを意味します。そうして、中古の上昇カーブは緩やかになって行くのです。  

 

この10年の動きを新築に限って言えば、新築は用地費と建築費の上昇が続き、上がり続けることとなりました。中古マンションは市況製品ですが、新築は違います。どう違うかと言えば、新築は原価に宣伝費などの販売経費を加え、更に利益を乗せて価格を決めますから、原価や販売経費が下がらない限り、価格を抑えることができないのです。  

 

原価は上がり続けて来ました。新築は独歩高の様相を呈しています。デベロッパーの利益率は、昔から変わっていないようで、価格を抑えるために利益を削るなどという策は採りようがないのです。

 

  それでも、高くなったことで売れ行きが悪化すれば、利益を削ってでも販売を促進するに違いない。 そう思った人もあるでしょうが、昨今は低金利のおかげもあって、売れ行きが悪化しても資金繰りがさほど悪化することもなく、経営を維持できるのです。  

 

昨今は、時間をかけながらも値引きを避けつつ完売に至るという経過がマンション事業の姿となっているのです。 その昔は、建物竣工時までに完売させなければ資金繰りが苦しくなるデベロッパーが多かったのですが、今は金利が低いだけでなく、銀行も事業資金の返済を迫ることはないようで、売れ残っても何とかなってしまうようです。  

 

こうして、高値のマンションを、時間をかけながら売っている、それが新築マンション事業の姿になっています。  

 

新築が高くなり、呼応するかのように高くなった中古マンション。安いはずの中古も高値になって、手が出ない人は、この先どこへ向かったらいいのでしょうか?  

●マンション購入の法則「買ってはいけないエリアがある」

「買い手の購買力が高くなるのを待つしかない」と語った、あるマンションデベロッパーの幹部がいます。「購買力が上がるためには、所得が増え、自己資金が増えなければなりません。そのためには、数年の時間がかかるでしょうから、それまでは耐えるしかないのです」と。これは一種の諦め観測だったのかもしれません。  

 

その話を聞いて、筆者は思いました。住宅ローンの金利が上がったら、購買力が低下するので、売れ行きはますます悪化して、二進も三進も行かなくなる。結局、価格を抑えることに知恵を絞るほかないのだと。  

 

しかし、新築分譲マンションのコストカットはもはや限界に来てしまいました。用地費を下げるか、建築費を下げるしかないのですが、建築費は下がりそうにないようだから、安い用地を求めて郊外に行くほかない。そう悟ったデベロッパーの一部は、郊外マンションに活路を見い出そうとしています。  

 

幸い、コロナ禍が郊外居住を後押ししてくれそうだから、高値の都心・準都心の用地取得は諦めて郊外に軸足を移そうーーーこんな方針に傾くマンションデベロッパーが増えつつあるのかもしれません。 

 

買い手の立場に立って考えてみると、郊外マンションの選択も仕方ないのか、そう思わなくもない筆者ですが、少し時間をおいて考えてみると、「いやいや、それは違う」と否定する自分がいるのです。

 

  「一時の気の迷い」なのです。長くマンション市場を見て来た筆者には、バブル期に郊外マンションが主流になったときもあったけれど、結局はUターンとなり、郊外マンションは「売れない・買わない」状態になったではないかと思い直しするというわけです。  

 

時代は変わったのだ。週3日通勤のような時代になれば、都心・準都心居住は必須ではないよ。郊外居住でも、生活に不便はないはずだ。そう囁く声も聞こえるのですが、仮に、郊外居住が大きな流れになるとしても、都心・準都心居住を切望する人は圧倒的なボリュームとして残るに違いないという反論が囁きます。  

 

このように、行きつ・戻りつしながら辿りつくのは、大きな需要ボリュームは交通便の良い都心・準都心、郊外でも駅前立地などの格別な立地のマンションに向かうはずだと思い直しているのです。  

●新築マンションはどれも高い時期だが

何処で買うかはさておき、新築マンションはどれも高いのは確かです。郊外は用地費が安いので、建築費が同じでも分譲価格は安く抑えられる。それも確かです。  

 

付け加えれば、郊外マンションの建築費は都心のマンションより幾分かは安いのです。都心の高額・高級マンションと異なり、グレードを落とすことができるために、安いのです。 従って、郊外マンションは、安く分譲することが可能です。  

 

郊外で探そうと決意すれば、建物グレードが低いのを容認して、マンションのトータル価値に着眼し、郊外なりに価値あるものを選ぶことが可能です。  

 

ただし、後述しますが郊外の中でも「より良い立地」、例えば駅前物件などに厳選して買うということが重要なのです。  

●見学した時の印象を書いてみよう

さて、その選び方ですが、狭く・古い賃貸マンションに住んでいる人は、郊外マンションのモデルルームを見て、「なんと素敵な家でしょう」と感動し、実はB級とも知らずにほれ込みます。隣の駅の別のモデルルームを見ても、同様の感想を抱き、駅からの距離や環境の違いのみを実感します。  

 

「広い・狭い」、「近い・遠い」、「便利・不便」といった差異に気付き、さらには2階と10階といった階数差、角部屋か中部屋か、南向きか東西向きかによって価格差があることを知り、どれが買える、どれを買うといった志向に気分は移ります。  

 

多くの買い手が実行するのは、それを一覧表に整理するなどして、長短や問題点をまとめます。このやり方は、個人の自由であり、決まった方法はありませんが、熱くなった頭をクールにすることに役立つはずです。  

●モデルルームに騙されるな

一目惚れという言葉がありますが、新築マンションには買い手を夢見心地にしたり、虜にしたりする魔法の力があります。新築マンションのモデルルームと言い換えた方が良いかもしれませんが、近頃は建物工事が完了し、実物を内覧できる物件も少なくないので、その魔法は「より効果的」なのかもしれません。  

 

なんでも同じですが、商品の並べ方や見せ方、展示法には法則のようなものがあって、買い手(見学者)を感動させることに工夫を凝らしているものです。マンションのような、一生に何度も買うことができない高額商品の展示法には極意があるのでうす。  

 

1棟のマンションの中にも、条件の良い部屋・悪い部屋があります。間取りに欠点・問題点があるもの、日当たりや見晴らしが良いもの・悪いものがあります。そのおことをよく知る売り手は、欠点・短所を極力クローアップさせずに、言い換えると「あばたも笑窪」のように見せるテクニックを講じているものです。

 

  しかしながら、建物が完成して、売れ残ってしまった部屋は、その内部を見学させないわけには行かず、欠点をさらけ出してしまうことになります。そうなった部屋は、見学者を失望させるので、値引き額を提示したりして気を引くほかありません。

 

欠点の目立つ部屋というものは、多くのマンションに必ず数%はあるもので、そのような部屋はいつまでも売れず、最後は仕方ないからと10%も値引きしなければならなかったりするのです。  

 

経験則で、そのことを知る売主デベロッパーは、売れ残りそうな部屋を早めに売ってしまおうと考えます。つまり、欠点を隠して売る姑息な策です。言い換えましょう、欠点がありそうだと知られても実感が伴わないうちに、つまり現実を見せずにすむ段階、工事中の早い段階で売ってしまおうと画策するのです。

 

  その策とは、価格を安くする以外にありません。思い切って安くしておくのです。少数住戸を目玉商品的に安くしても、条件の良い住戸の価格を高めにすれば、プロジェクト全体の目標利益は確保できるからです。  

 

日当たりの悪い住戸や間取りの悪い住戸は売れずに苦労するので、実物が内覧できる時期が来る前に売ってしまいたいと売主は考え、買い手の関心を惹きつける策を講じますが、こうした術中にはまらないようにしなければなりません。なぜなら、安いと感じて選んだつもりだった部屋も、将来の売却時には見学者によって欠点・弱点を暴かれ、結果的に損をしてしまいかねないからです。  

●実質価値と合致しない高値の部屋に注意

結局、実質価値と価格が不一致だったことに気付くのは、10年先かもしれないのです。お得ではなかったのだと気づくのは、ずっと後のことというわけです。  

同じことが、真逆の価値ある住戸についても言えます。つまり、最も高値を付けていた最上階住戸や角住戸、ルーフテラス付き住戸などは、実質価値以上の高値で売り出すからです。  

 

それでも、都心の高額・高級マンションなら、転売するときの買い手も資金力のある人が対象なので、損をする可能性は低いのです。ここでの話は、郊外マンションのこととご理解ください。  

●高値の地域が良い

「郊外」と言っても、その範囲は広く、どの地域で買うかは大きな課題です。将来の転売というテーマを軽視しないなら、高く売れる立地条件かどうかに注目しなければなりません。場所を絞りこむことが重要なのです。  

 

人気のない地域は、価格も安いものです。無論、今は人気がなくても将来、その人気が高まることがないわけではありません。とはいえ、高度経済成長期と違って、今後飛躍するエリアというのはない。そう思うべきで、むしろ廃れない地域でないかどうかの視点が大事です。  

 

現時点で人気のある地域は、それなりにマンション価格も高いものです。郊外でも、人気エリアは既に高値なのです。高値の人気エリア、不人気エリアは何処かなどをブログ上に書くと、様々な意見が舞い込むので、ここでは明らかにできませんが、できるだけ相場の高いエリア・駅を選択する方が良いことだけ進言しておきます。  

●売主の「条件の良い部屋は強気で値付けしろ」に隠された狙い

筆者は、かつてマンションデベロッパーに在籍していた時がありますが、日常業務の苦労のひとつに値付けという仕事がありました。  

 

デベロッパーは企業として利益を追求しているわけですから、失敗は許されないのです。最後の1戸まで、所定期限内に売り切ることが命題でした。 そのときの経験から」値付けの原則」をノウハウとして刻んだのです。

 

すなわち、「条件の良い部屋は思い切って強気に」、「条件の悪い部屋は弱気と言われるくらいの安値に」でした。  

 

先に述べた通り、売れ残りそうな部屋は内覧できるようになる前に売ってしまいたいからです。 その分、条件の良い部屋が高くなっているので、ときには「高過ぎる」ものでした。それでも、条件の良い部屋は、ほどなく売れてしまいのです。  

●小規模マンションは避けたい

何処で買うにしても、「小規模マンションは避けた方が良い」と筆者は言います。無論、例外もあるのですが、多くの小規模マンションには付加価値がなく、トータル価値で残念な物件が多いからにほかなりません。

 

  何戸以下が駄目なのでしょうか?と聞かれても、絶対法則のようなものはないのですが、概ね100戸を基準にしておくと良いでしょう。それ以下でも十分に価値ある物件はありますが、残念なことに、この10年を見る限り、新築では滅多に見ないのです。  

 

中古の中には、50戸程度の規模で付加価値の高い物件もあるのですが、郊外マンションでは200戸規模を目安にした方が良いことが少なくないのです。  

 

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