第613回 100で買った物件が150になり80で買った物件が70になる。この差は何?

このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です

 

 

今日のタイトルを見て意味がすぐお分かりになった人は、相当のマンション通かもしれません。

 

●価値あるマンションは高いもの

高額なマンションかどうかの判断は、一定の面積に換算して比較しなければなりません。最近は、昔からそうであった業界人だけでなく買い手の皆さんも坪単価で比較する習慣が広がっているように感じます。

 

さて、高単価のマンションはどのような場所にあるかと言えば、都心にある、駅に近い、人気の高い街にある、高額所得者が多く住んでいる街、人口集中地区にあるなどです。景観の良い場所にある、環境の良い場所にある、奇麗な街並みの中にある、または奇麗な街に生まれ変わりつつある街(再開発地区)にあるといったものも該当します。

 

これらを一言で言えば、「立地条件が良い」ということになります。

 

マンションの価値を左右するのは立地条件と考えられていますが、数値で表すことができるのは、都心からの時間距離や絶対距離、駅からの徒歩分数などですが、景観が良いとか街並みが美しいといった価値を点数で表わすのは難しいものです。

 

誰もが「いいな」と感想を漏らす場所、言い換えれば、場所がいいという感想に異論をはさむ人がいない。このような明らかに良い場所は価値が高い、だから価格も高くて当然ということなのですが、そこに建つマンションの価格がその価値に見合っているかというと判定は難しいのが現実です。

 

場所だけではありません。スペックに関しても、機能・デザイン・見映え・質感などに優れていれば、あるいは高級品や特注品などを採用していると聞けば高いのは仕方ないと納得しようという心理が働きます。しかし、その価値に見合っているかというと甚だ疑問と思うマンションも多いのです。

 

それでも、売り手が1億円というと、「グレードも高いし、場所がいいから、そうなのだろう」とか「やっぱりそうか」などと価格提示を黙って受け入れるか、「高い」という反応を漏らしたとしても、最後は受け入れます。新築マンションの場合は、そのような「分譲主の定価」を値切ることもなく買うのが一般的です。そこに実は問題が隠れています。つまり高値掴みをさせられることがあるのです。

 

●安いマンションはどんな場所にある?

マンションの価値は建物の内容(品質・デザイン・付加価値)によっても変わるのは言うまでもないのですが、大部分は立地条件が占めています。

 

「都心から離れている、駅から遠い」などが代表的な比較項目になるのですが、それ以外にもたくさんあります。駅そのものがマイナーな駅、急行の止まらない駅、都心に出るには必ず乗り換えが必要な駅、人気が高いとは言えない路線の駅、商店や飲食店が少ない駅、工場地帯の入り口の駅などです。

 

都心というのは、東京の都心とは限りません。神奈川県の都心や千葉県の都心ということでもあるのです。ただし、近い・遠いには差があります。東京で都心に近いという場合は、例えば電車で30分の場所が都心に近いと言えても、埼玉県の都心に30分となると近いと言えないのです。

 

ともあれ、立地条件が良くない場所に建てられるマンションは安く販売されるものです。しかし、問題は「安さ」がその価値と合致しているかどうかにあります。立地条件で劣るマンションは安くないと売れないので、土地も安くなければならなし、建物もコストを抑えて低価格のマンションを商品化しようとデベロッパーは考えるのです。

 

しかし、それでも適正な価格で販売されているかというと疑問に思う例は多数あります。

 

●高額マンションの価格維持率は高い

高額マンションは立地条件が良いものであり、良い立地条件の土地は得難いものです。土地の価格(用地費)は当然高いのですが、それ以前に売地そのものがないのが現実です。

 

銀座4丁目は、地価調査で毎年、1坪当たり何千万円という評価額が公表されていますが、実際の取引では一体どんな値段がつくのやら。しかし、現実には銀座4丁目の土地が売り出されることは滅多にありません。

 

マンション建設でも同じで、高級・高額マンションがたまに計画される場所は元々希少価値が高いので、需要が供給を大きく上回る構図になっています。何年待っても新築マンションが出て来ない場所もあります。

 

そのような地域では、中古マンションも高い価格で取引されます。その地域に欲しい人は毎年、生まれては消え消えては生まれます。欲しい事情が発生し、探しますが新築がないと分かると中古も探します。ところが、立地条件の良い場所では中古の売りものも少ないので、買い手の条件(間取りや広さや眺望その他)を満足させる売り物となると極めて品数が少ないものです。

 

このことが中古マンションの人気を高め、高い価格をもたらすのです。人気マンションとなると、「出たら教えて。少しくらい高くても買いたいと思っているので」などと仲介業者に告げておく買い手もいます。

 

立地の良いマンションの多くは高級・高額マンションです。高級で高額なマンションは、買い手に高所得者が多いせいもあって、自宅マンションの資産価値の維持に理解が深く、修繕積立金の組合財政も豊かのものが多いようです。そのことが、例えば築30年経っていても古ぼけた印象はなく、日常管理も丁寧に行われているマンションになっています。

 

立地条件が良いことが希少価値を生み、これに管理・メンテナンスの良さが加わって、何年経っても価格が下がらないという状態を作り出します。相場変動によって上下するものの、価値あるマンションは、同一地域の新築マンションの価格との対比では常に高いレベルを維持します。

 

例えば、新築相場が100で、同一地域で他の中古マンションが70とか60とかの位置づけであるとき、ある特定の中古だけがが100であったりするのです。

 

●その地域ぐるみ「立地が良い」という場合

立地条件が良いという意味をマクロに捉えたとき、例えば麻布・赤坂・青山(3A)地区などは、どこもみな立地が良いということになり、そのエリアのマンションは、どれも価格が高いということになります。

 

ただし、その中でも格差はできるものです。駅から近いか・少し距離があるか、静かな環境にあるか・幹線道路沿いか、高台か低地か、借景が美しいか・ビル・マンションの谷間の景観だけかといった要素が無視されるものではないのです。

 

このようなピンポイントの立地条件の差以外にもマンションの価値を左右する要素があります。それは建物の価値です。管理・メンテナンスも無論重大な要素ではあるのですが、それ以前の問題として、建物のスケール感(存在感)や風格、高級感・上質感といったものです。

 

●その価値以上に高く買ったら損をする

外部サイトですが、スムログの第130回「価値あるマンションでも、バブル価格で買うと損をする」 https://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/9975/

という記事を書きました。

 

趣旨は「人気マンションであっても、その価格が価値以上の高値がついている場合があり、将来性に期待して買ったのに、何年か経て売値を査定してもらったら全くの期待外れだったということがある。それは結果から見て、バブル物件を買ってしまったことになる」というようなことでした。

 

ここで述べたいことも同じですが、立地条件の良いマンションは飛び抜けて高い価格で分譲されることがあります。その高値が、妥当なものかどうかというと、しばしば実力以上の高値がついている場合があるのです。

 

地域相場が100であるところで150の価格で分譲されます。しかし、実力は130しかないという物件があるとします。このような物件が例えば10年後にどうなるかというと、地域の中古相場が100であるとき、120なり130なりと高く評価されるのですが、購入価格は150だったのですから、130で売れても損が出てしまいます。

 

たまたま、売却時の相場が高くなっていて150の地域相場になっていたら、人気物件は160なり170なりに評価されるので購入価格の150から見れば「儲かった」となることもありますが、そんなに都合よく行くとは限りません。

 

●その価値の割に安い。そんなマンションはない

実力以上に高いマンションがあるとすれば、反対の割安なマンションはないのでしょうか?

ないと思った方が良いでしょう。仮に安いと感じたとしても、それは錯覚でしかない場合が多いのです。

 

デベロッパーの肩を持つわけではありませんが、良い立地条件にある土地は高いものです。また、施工がしやすい敷地規模でない場合が多いので、工事費も高くつきます。結果的に、分譲価格は高くなりがちです。

 

仮に、立地条件が良くて広い土地を取得でき、大規模で付加価値の高いマンションが割安な工事費で計画できるケースがあるとしても、大抵そのケースは土地の取得費が高いのでマンション価格は割高です。割高ではないとしても特に安いという「ことにはならないものです。

 

●安いマンション。なぜ安いかを考えてみましょう

割安と思えるマンションがないとは断言しませんが、割安な物件を探そうとしても、労多く実りは少ないと思った方がよいのです。不動産の世界は、「良いものは高く・安いものは安いなりの価格になる」ものです。

 

ともあれ、マンションは坪単価500万円(20坪換算1億円以上)という高額なものもあれば100万円を切る安値(20坪で2000万円以下)の中古もあるのは事実です。インターネットで検索して安値のマンションをご覧ください。なぜ安いかが概ね分かることでしょう。

 

その答えが何であるにせよ、安いのは安いなりの問題があるものです。高くては売れないマンションだからです。何らかの条件(多くは立地条件)が買い手の関心を引かないのです。

マンションの価格は需要と供給の関係で決まる側面もあります。安いのは、高予算の需要がないからと考えられます。

 

例えば、「安い。なんだバス便か。検討できないなあ」と関心が離れて行く人が関心を寄せる人より多い。つまり需要が少ない。だから売れない。それを売れるようにするには、場所の移動はできないわけですから価格を下げるしかないのです。

 

価格は安いはずでした。それでも売れないのは、価格の問題ではないとも言えますが、価格がまだ高いとも言えます。

 

●安いマンションはリセールで一段と安くなる

もうお分かりと思いますが、安いマンションは需要が足りないので安いのです。その最大の要因は立地が悪いと考えなければなりません。そのマンションが、やがて高値になるとしたら、地域ぐるみの発展を遂げるときです。

 

人口が増加し、人口増加とともに買い物施設、エンターテインメント施設、飲食店、専門学校、社会教育施設などが増え、街の賑わいが高まって生活が楽しい街に変貌すれば、マンションを求める人(需要)が増えます。需要が増えれば価格も自然に高くなります。しかし、そのような大きな期待を抱かせる街は今では極めて稀です。

 

今は、人口が減ってマンション需要が減る心配をしなければならない街が多いのです。もちろん、長い目で見た場合ですが、安いマンションが将来高くなるより、一段と安くなる可能性の方が高いのです。

 

地域相場が上昇して100で買ったマンションが10年経ても100なり、120なりになっているとき、80で買ったマンションが70で売るのがやっとだったなどというケースは山ほどあります。それらは、人気がない証拠であると同時に、10年前に割安と信じて買ったマンションが実は安くはなかったということを証明しているのです。

 

人気エリアが10年後も、20年後も人気が持続しているかは分かりませんが、不人気エリアが10年後・20年後に人気を博す可能性は低いはずです。駅前マンションは手が出ないので価格の安いバス便マンションを買いました。10年後のリセール価格はどうなるのでしょうか。駅前マンションが10%上昇しても、バス便マンションは10%下がっているという確率が高いのです。

 

マンションに限りませんが、不動産価格は全地域で一律の変動率を示すものではありません。安く買ったつもりでも値下がりし、高いものが値上がりすることがあっても不思議ではないのです。

 

●価格が適正かどうかは第三者に聞くべきである

結局、高いか安いかの判断、特に将来のリセール価格を判断するのは難しいものであり、一人で悶々と悩む人が多いようです。価格が適正かどうかは、どのような方法で判断したらいいのでしょうか。リセール価格が期待できるかどうかの判断はどのようにすればいいのでしょうか?

 

読者諸氏の中には、凄い勉強家もいらっしゃるようです。筆者も舌を巻くほどの知識と持論を展開できる人もいると知りました。そんな人でも、持論が正しいかどうかは自信がないと仰り、筆者に確認を求めて来ます。

 

「私はこの物件について、このように考えるのだが、合っていますか?」といったご質問とともに、物件の評価をご依頼下さるのです。

別の方は、「20%くらい高いと思うが、気に入ったので買おうと思っています。これを買ったら将来の損はどのくらいを覚悟したらいいですか」というご質問もありました。

 

多くの方は、「物件の評価と価格の妥当性」を知りたいとおっしゃいます。

 

こうした疑問やご相談にズバリお答えすること、迷いや悩みを氷解するための見解とその根拠をお届けすることが筆者の使命と思っていますが、筆者に限りません。もし近くに適当な人がいれば、意見を求めたらいいのです。

 

的確な答えは得られなくても、熱い気持ちをクールダウンするのに役立つことでしょうし、何かヒントをもらえるかもしれません。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

 

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