第617回 塗り替わった業界地図。その裏で何が起こっているの?

この記事は臨時投稿です

第616回はシステムエラーのため、投稿日の5日から3日遅れの反映となったようです。記事を楽しみにアクセス頂いた愛読者のみなさまには心からお詫び申し上げます。   三井健太

 

※※※※2017年の新築マンション販売(売り出し)戸数ランキングが先ごろ発表になりました。

その顔ぶれを見ると、随分様変わりした印象を受けます。

 

トップ10には、住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、大和ハウス工業、積水ハウスの大手が相変わらず並ぶものの、他の4社はプレサンスコーポレーション、日本エスリード、あなぶき興産、タカラレーベンです。メジャーセブンの中の3社、大京や東急不動産、東京建物は圏外なのです。

 

プレサンスコーポレーション、日本エスリード、あなぶき興産、タカラレーベンの4社のうち、首都圏中心に供給した企業はタカラレーベンのみ、プレサンスコーポレーション、日本エスリードは近畿圏、あなぶき興産は香川県と岡山県で供給している地方企業です。

 

戸数順位は1位:住友、3位:野村不動産、4位:三井不動産レジデンシャル、5位:三菱地所レジデンス、6位:大和ハウス工業となりましたが、2位にはなんとプレサンスコーポレーションがランクされました。日本エスリードも7位、穴吹興産8位と首都圏外の企業が並ぶのです。

 

筆者の記憶では、地方企業が例年上位に名を連ねたのは、地方に強い穴吹工務店、近畿圏では大手の近鉄不動産(2017年は15位)、阪急不動産(2017年は12位)でした。

 

かつては断トツの供給戸数(年間1万戸)を誇った大京は、全国津々浦々ライオンズマンションの開発をしていたものですが、17年は首都圏で300戸、近畿圏232戸、地方587戸と大幅に数を減らしています。2009年の4091戸と比べても4分の1近くに減っているのです。

 

1000戸以上の供給をした企業は14社で、次のようになっています。

 

1位:住友不動産 7177戸

2位:プレサンスコーポレーション 5267

3位:野村不動産 5158戸

4位:三井不動産レジデンシャル 3787戸

5位:三菱地所レジデンス 3101戸

6位:大和ハウス工業 2098戸

7位:日本エスリード 2017

8位:あなぶき興産 1798

9位:積水ハウス 1503戸

10位:タカラレーベン 1467

11位:穴吹工務店 1315

12位:阪急不動産1164戸

13位:大京 1119戸

14位:東急不動産 1061戸

 

全国でマンション供給が最も多いのは首都圏ですが、その首都圏の供給戸数は、一時の半分に減ってしまいました。これが、地方企業の上位進出につながったと考えられます。

 

首都圏のデベロッパーで大手の一部(大京・東急・東京建物)が低迷していることに加えて、中堅どころの企業もタカラレーベンを除くと低迷しています。

 

需要が減ってしまえば、供給がなくてもいいのですが、首都圏の需要が大幅に減ったとするデータはなく、供給不足がここ数年続いています。

 

供給が減っている理由は、企業の方針変更もあるようです。つまり、新築マンションを大量供給する時代ではない。これからは、中古の流通と管理に力を入れると宣言した企業もあります。

 

しかし、最大の要因は「用地難」にあります。マンションの適地とされる土地を売り出す法人が続出した10~15年前、その放出が一巡したため、早く言えば土地はもうないのです。都心では、たまに良い土地が売りに出ても、ホテル業者に落札されてしまい、マンション業者が取得を逃すという状況が増えているとも伝わって来ます。

 

用地難は構造的な問題なので、今後増える見通しは立たないと言えます。ということは、新築マンションは非常に買いづらい状況が続くと見なければなりません。

 

大規模な再開発や老朽化したマンションの建て替えなどを期待したいところです。現在進行形の案件も少なくありません。しかし、これらは、一朝一夕に販売開始まで進むことはなく、しかも買い手の期待を裏切る高値になることは間違いなく、都心・準都心では購入可能な新築マンションは品不足という状況が続くことでしょう。

 

少ない中でマンション選びを強いられる、買い手受難のときが常態化するという見方をしなければならないようです

 

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