第605回 マンションのネーミングの不思議

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論を展開しております。資産価値を重んじる方のための購入のハウツーをお届けするもので、お気に障ることもあろうかと思いますが、満点の家はないと思っていただき、失礼はお許し下さい。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

商品名やブランド名は販売戦略上、必要不可欠なものです。かつてナショナルというブランド名を持っていた松下電器が、その後パナソニックと変え、今ではブランド名が企業名にもなりました。

男性化粧品でマンダムという企業がありますが、かつてはブランド名でした。ソニーは企業名とブランド名が前から同じでしたか?

 

マンションデベロッパーも、当然のようにブランド名を持っています。目黒マンションや吉祥寺ハイツとせず、ザ・パークハウスやパークコート、プラウド、ライオンズ、ブランズ、ブリリアといったものです。企業によっては複数のブランドを有している例もあります。

 

このブランドを浸透させるために、テレビCMで特定の物件を宣伝するのではなく、企業広告 兼 ブランド広告として放映しているデベロッパーもあります。ご覧になった方も多いことと思います。

 

今日は、マンションのネーミングについて語ろうと思います。

 

1)どこのブランドか分からないJV物件の不思議

ライバル同士が手を組んでひとつのプロジェクトに取り組むマンション業界は不可解、そんなふうに筆者は思っていました。

売主及び瑕疵担責任が、●●社50%、▲▲社30%、◆◆社20%と聞きましたが、問題が起きた時に、JV物件であるが故に責任論で揉めたりしないのでしょうか?こんな不安を漏らす買い手さんもあるJV(共同事業)ですが、揉めないように予めトラブル処理の方法を取り決めていますし、大きな問題が発生したとき、費用の分散にもなるので解決しやすい側面もあります。

 

●共同事業のマンション例

冒頭から脱線しましたが、JV物件は多いですね。

スカイズ タワー&ガーデン(1110戸)は、何と三井・東京建物・三菱・東急・住友・野村の6社によるものでした。直近の販売中物件では、ザ・タワー横浜北仲(1176戸)が三井、丸紅の2社JVです。

そのほかにも以下のような例があります。

武蔵野タワーズ(570戸):野村不動産・三菱地所レジデンス、エヌ・ティ・ティ都市開発、ランド、オリックス不動産

東京タワーズ(1981戸):住友商事・オリックス不動産・東急不動産ほか

ヒルコートテラス横浜汐見台(416戸):野村・三井ほか

キャピタルゲートプレイス(702戸):三井・野村

桜上水ガーデンス(878戸):野村・三井

サウスゲートタワー川口(360戸):東急・三井

(社名は簡略にさせてもらいました)

 

こうしたJV物件には、参加企業のブランド名が使われていないことに気付きます。パンフレット等に書かれた企業名は出資比率の高い順番に並ぶのですが、筆頭の企業は言わば筆頭株主のような立場にあり、最も発言力がある企業と言えます。

それでも、その企業のブランドを使わないのは互いに遠慮があるためでしょう。

中には、「青山パークタワー」や「ブリリア有明スカイタワー」のように、共同事業でありながら筆頭企業のブランドになったものもあります。

 

●共同事業になる背景

ところで、共同事業はどのような経過や背景によって生まれるのでしょうか?それを少しご紹介しましょう。

 

土地情報を持ち込んだゼネコンA社が「20%だけで結構です。当社もプロジェクトにも参加させてください」と筆頭企業にお願いして成立というケースがありました。

 

次のケースはこうです。筆頭企業が役員会に諮ったところ、資金負担が大き過ぎるからパートナー企業を探して来なさいと言われたので仕方なく、担当部長は日ごろ付き合いのあった企業に依頼して資金協力を得たというもの。このケースは「金は出すが口は出さない」ということになるようです。

 

三つめは特殊かもしれません。地主の巨大企業から、「入札に参加しませんか」と大手デベロッパー数社に同時に声がかかりました。

「当社としては、競い合って高値を提示していただくより、ご参加いただく各社に平等にお譲りしたいのです。JVの形で札を入れて頂ければ結構です」と。

このケースは一種の談合ですが、地価が吊り上がるよりは、談合で低く抑えられる方が買い手には有難い方法です。ただし、誤解ないように付け加えておかなければなりません。それは、不当に安く売却したなどと株主から訴訟でも起こされるのも困るので、他にも参加企業を募って入札方式にしています。

最後ですが、こんな例もありました。

「社有地を売却することになりましたが、単純売却ではなくマンションを建設して分譲してはどうかということになりまして、ついては御社のご協力をお願いしたいのです。なにせ経験が皆無なもので。そこで、御社との共同事業という形でいかがなものかと思いまして・・・・」と。

土地探しに苦労している専業のデベロッパーには渡りに舟のありがたい申し入れに飛びついたという例です。

 

2)場所名を冠しないマンション名の不思議

 

新築マンションの広告を見て、一瞬「これはどこだ?」と思った経験はありませんか?

 

「パークシティ武蔵小杉」とか「マジエスティコート目黒」、「ザ・パークハウス赤羽」、「シティテラス東陽町」、「ブリリアタワー代々木の杜クラッシイ」といったふうに、場所はあの辺だと分かるネーミングが普通です。

 

それが全く見当もつかない物件がときどき現われます。「DEUX TOURS(ドゥ・トゥール)」、「グランドミレーニア」、「ニュートンプレイス」、「クレストプライムレジデンス」、「スカイフォレストレジデンス」などが有名です。

 

有名ですと書いたのは、大型物件で販売期間が長くなった場合、多くのマンション検討者に注目を浴びた結果、「あ~あそこか」と分かる人も増えたからです。

 

しかし、当初は併記される案内図か物件概要の交通という項目を探さないと場所が全く分からないのです。しかし、このような例は稀です。大半が地名・駅名が冠されます。どうして、分かりにくいネーミングをしてしまうのでしょうか?

 

●マンション名の提案者は広告代理店

どこのデベロッパーもブランドネームを持っているので、シリーズとして使い続けるものです。ただ、販売を始めるとき、どのブランドで行くかが決まっていないことがあります。

 

三井不動産レジデンシャルの場合を例に取って説明します。同社が持つ複数のブランドの中で、大規模なものはパークシティとしますが、タワー型であれば単にパークシティとせず、「パークシティ大崎ザ・タワー」のようにします。また、同じ大規模でタワー型でもグレードの高さから「パークコート赤坂檜町ザ タワー」のようになるケースもあります。

 

マンション名を決めるのは売主ですが、どのような名前がふさわしいかを提案するのは広告代理店という場合も少なくありません。

 

ブランドが決まっている物件でも、サブネームを冠して販売成果を高めたいデベロッパーは、それを広告代理店に依頼するのです。

 

例えば、日本橋人形町エリアにこの3~4年、立て続けに販売した野村不動産は、「プラウド人形町」、「プラウド日本橋人形町」、「プラウド日本橋人形町ディアージュ」と似たような名前にしています。

 

三菱地所レジデンスの販売中マンションを見ると、「ザ・パークハウス 二子玉川碧の杜」、「ザ・パークハウス 東陽町翠賓閣」という例が見られます。

 

どのような意図でサブネームを冠したかは読者諸氏にご想像いただくとして、何らかの狙いがあるのは確かで、広告代理店は広告を掲出して成果がないとスポンサーから次の仕事は来なくなるので、「媒体戦略」と「表現戦略」に力を入れて「広告提案書」に盛り込みます。

 

決定権はあくまで売主にあるのですが、広告に関する重要な部分を代理店は握っていると言って良いかもしれません。

 

●販売戦略とネーミング

気の利いた広告代理店は(大手デベロッパーに出入りの代理店は例外なく)、広告戦略と販売戦略をセットで提案して来ます。

 

以下は筆者の妄想と思ってお読みください。かつて、代理店からプレゼンテーションを受ける立場だったので、そのシーンを思い出しながら作文しました。

 

「この物件は駅からは遠くないものの、都心から遠い、いわゆる郊外型マンションです。この付近の販売実績はA社の●●ハウスとB社のテラス〇〇です。両物件とも竣工を間近に控えて5割くらいの販売進捗率。好成績を収めているとは言い難い状況です。原因は、・・(略)・・なので、大変失礼ながら、こちらの物件も苦戦が予想されます。そこで、どのように顧客を動員するかを当社なりに考えて参りましたので、少しお時間がかかりますが、提案させていただきます・・・(略)・・・以上のように様々な仕掛けをしないと動員数が伸びないと考えます。・・・・来訪者にはモデルルーム以外にも見学していただくもの(仕掛け)が必須と考えますので、▲▲と▽▽などをご用意いただきます。また、これらの展示と体験コーナー、大胆なオーダーシステムは顧客を酔わせる効果が絶大と考えます・・・・・最後にネーミングですが、今回は思い切ってブランド名に地名は付けず、横文字だけで行かれたらどうでしょうか?大量集客の必要があるのは言うまでもありませんが、地元や沿線需要だけでは先発2社の二の舞になるかと思います。首都圏広範に若い子育て世帯にアピールする広告を展開する中で、▲▲▲▲▲ってどこ?と目を止めてもらうために採用していただきたいのです」

 

●場所が分からないマンション名は要注意

先に実例で紹介したものは本文とは無関係ですが、意味不明のネーミングや場所がよく分からないネーミングの物件には共通点があります。

戸数が多く、集客数の目標が大きい物件です。建設地の周辺地域に需要が少ないため、他の地域からも動員を図る必要がある物件なのです。地域イメージが芳しくない場所の物件という場合もあります。

 

このような地域は、要するに人気薄なのです。住めば都ですからどんな物件でも近隣や沿線住民が興味を持ってくれます。しかし、その地元の人口(マンション需要)が少ないからこそ広範囲に動員を図ろうとするのです

 

人口が少ないということは、そこに住みたい人が少ないことと同義です。無論、新しく開発された沿線のために人口がまだ少ないということもあるでしょうが、新しい街はこびりついた伝統的イメージもないので、駅と駅前商業施設等があれば価格の安さもあって若い子育て世帯を中心に動員は可能なものです。

それでも来ないとしたら、別の要因があるのでしょう。

ご存知のように、人気の街は「住みたい街ランキング」の上位100位くらいには入っています。そのような街は、何か特徴があって魅力的なものです。駅から少し距離があるような物件でも、最寄り駅がイメージの良い街なら「地名を冠しない」という非常手段は取る必要がないはずです。

 

ご検討マンションが、そのような物件だったら「この街は魅力がないのか?」と一応疑ってみる必要がありそうです

 

差し上げています「マンションのブランドランキング」

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・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

 

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