第629回 中古マンション探しの壁

このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

筆者に届くご相談とマンション評価のご依頼の対象マンションは新築も中古もありますが、いつ頃だったか中古が急に増えたことがありました。しかし、その勢いはやがて止まり、最近は新築・中古が半々で落ち着いた感があります。

 

新築マンションの供給が少ないので、中古がもっと増えていいのにと思ったりもします。個人別に見ると、新築ばかり検討している人も多いので、どうして中古を検討しないのですかと何人かに尋ねてみました。理由は様々でしたが、何か根本的な原因があるような気がします。

 

今日は、中古マンション探しの見えない壁について考えて見ました。

 

●日本で中古取引が活発にならない理由

日本人は昔から新しいものを好む傾向が強く、マンションも新築志向が強いように思います。欧米に比べて新築の取引が中古の取引件数を圧倒していることは、良く知られていますが、その原因を探り、中古市場の活性化を図ろうと取り組んで来た経緯もあるのですが、まだまだのようです。

 

ともあれ、日本人が新しもの好きである理由や背景は神道と関係があるという話を聞いたことがあるのですが、それはともかくも、国土交通省の調査では、中古住宅に抵抗がある理由が明らかになっています。

 

<中古住宅に抵抗がある理由>

    ~「土地問題に関する国民の意識調査」から~

「中古住宅に抵抗がある理由」 複数回答

第1位:新築住宅の方が、気持ちが良いから 55.2%

第2位;中古住宅は間取りや仕様を自由に選べないから 32.9%

第3位:中古住宅の方が、耐震性や断熱性能等の品質が低いから  20.5%

第4位:中古住宅のリフォーム費用やメンテナンス費用が分からないから 18.4%

第5位:抵抗はない   15.3%

第6位:中古住宅の方が、品質に関する情報が少ないから 14.6%

第7位:中古住宅の方が、価格の妥当性の判断が難しいから  11.7%

第8位:中古住宅の方が、住宅ローンや税制面で不利だから  4.1%

第9位:「その他」+「分からない」  3.0%

●中古マンションを購入するときの拠り所は?買い手心理は?

「抵抗はない」とする回答は15.3%だけです。こうした抵抗がありながら、中古住宅を購入した人も一定数はあるわけで、首都圏はマンションに限れば新築に負けないくらいの取引量(新築の品薄も理由ですが)を最近は見せています。

 

では、中古マンションを買った人たちは、どこに安心の拠り所を求めたのでしょうか?あるいは、どのような考え方をして決断に至ったのでしょうか?

これは個人差のあることで、また調査データのようなものも発見できず、分かりにくいテーマですが、筆者の研究では以下のようなものが挙げられます。

①大手マンションメーカーの分譲したマンションだから大丈夫だろう

②大手ゼネコンが施工したマンションだから大丈夫だろう

③先の大地震でも特に修復が必要な箇所はなかったと説明を受けた

④内見中、室内はとても静かだった。遮音性も悪くはないのだろう

⑤清掃が行き届いており、管理状態も良さそうだ

⑥管理人さんの目が光っているし、オートロックなのでセキュリティも良さそうだ

⑦管理費等の滞納者がゼロと説明を受けた

⑧売る人が少ないというから、きっと良いマンションなのだろう

⑨建物に傾斜はないようだし、東日本大震災の揺れにも耐えた物件なのだから耐震性は大丈夫だろう

⑩疑ったらキリがない。まあ大丈夫だろう

⑪住んでみて不具合があったら売ればいいさ

―――大体こんなふうに考えて自身を納得させたのだと思います。

 

●中古マンションは敷居が高い気がする

中古マンションを検討した人の中に、途中で挫折してしまう人が多い気がする。これが、最近強く感じる印象です。

 

新築は同じ物件がほぼ1年を通じて販売されているので、じっくり検討することが可能ですが、中古は先着順なので、もたついていると、後から来た客に横取りされてしまって検討対象から外さざるを得なくなります。

 

一度でも、この経験をしてしまうと、「中古は営業マンから急がされるし、検討時間を十分に取れない」ことが、抵抗感として残ってしまうのです。

 

中古は見たまま(現況有姿)の取引なので、営業マンの説明も資料も少なく、経験の浅い買い手は、どこをどのようにチェックしたら良いのかも分からない。素人でも気付く心配事は尋ねれば、答えてもくれるが、他に何かありますかと問われても何もないと答えるしかない。何か見落としていないかと自問するが分からないので、結局は判断を先送りせざるを得ないのです。

 

また、中古マンションは新築マンションほどの情報がホームページに公開されていないため内見に行くしかないが、現地を踏んでは落胆するという繰り返しになり、たまに気に入った物件と遭遇しても「売り切れ御免」になってしまい、仕切り直しを余儀なくされることもある。それを繰り返しているうちに「気が重くなり」やがて「疲れ果てる」人も少なくないようです。

 

早い話が、中古マンションは見て気に入ったら素早く決断するといったスピードが要求されるのです。素早くと言っても、見学して即決できる人は少ないので、検討時間はどうしても必要になります。仲介業者や売主さんの信義誠実の問題もからみますが、購入申込書を3日以内に出すくらいの腹積もりがないと買えないものもあるのは確かです。

 

新築マンションでも希望していた部屋がなくなってしまうことは無論ありますが、担当者とのコミュニケーション次第では一定期間部屋をキープしてくれますし、仮にダメでも別の住戸が候補に残り、引き続き検討時間が取れるものです。

 

中古マンションの場合は、別の仲介業者が見つけて来た買い手に先取りされてしまい、それをコントロールすることは難しいのです。購入申込書を売主に提出したもの勝ちであったり、申し込み書を先に入れても、値引きがない、即金購入などの条件で劣ったりすると逃がしてしまうことがよくあるのです。

 

●中古マンションは業者に内覧の申し込みをする前に現地視察を!

新築の場合は、予約は必要なものの、何度でも現地・モデルルームを訪問することが可能ですが、物件ごとに現地案内をお願いして、そのたびに違った会社の初めての担当者と待ち合わせして内覧させてもらうのは気を使うという人もありました。

理由を分析してみると、買わない客かもしれないのに申し訳ないと感じる心理、つまり遠慮があるようです。内見の申し込みするだけでも気が重い、敷居が高いということなのでしょう。

 

敷居を低くして目指す中古マンションに最短距離で辿り着くにはどうすればいいのでしょうか?最初の3件くらいは、空振りになっても仕方ないと思います。まあ、助走のようなものです。その段階では、違ったタイプのマンションを見る方がいいでしょう。1件選び、その業者に「初めてなので」と断って、比較のための物件を用意してもらってもいいですね。

 

新築のモデルルームを1件、大規模マンションの中古を1件、中小型の中古を1件というふうに、または、タワーマンションと中高層マンションといった組み合わせでもよいかもしれません。

 

目が慣れ、中古マンションの内見とはこのようなものという基礎的な学習ができたら、本命物件を探します。ポータルサイトから候補を複数選びます。サイト上の情報で分かりにくいのは場所ですが、グーグルマップに物件名を入力して場所をチェックします。どんな場所か、高速道路沿いなどの問題はないか、バルコニー方向に視界を邪魔するものはないかなどをチェックします。

それでも分からないときは、業者と連絡を取らずに現地に足を運びましょう

前面建物との関係を把握し、ついでに環境調査をしてみるのです。問題なければ、業者と連絡を取って内覧へ進みましょう。現地から電話してみて、うまく行けば当日にも内覧できる可能性がないこともないのです。

 

このようにして、環境や前面建物の関係もなさそうな物だけを見学に行くようにすれば、無駄な行動を最小限に減らすことができますし、業者への遠慮もいらないことになるでしょう。何故なら、買い手なりに下調べして「良かったら買うつもりです」という発言はしないにしても、気持ちの中では「客だ」と胸を張れるからです。

 

尚、ホームページ上で眺望写真(バルコニーからの眺望。リビングルームからの眺望など)を載せている物件は、視界を遮るものはありませんよとアピールしているようなものですが、よく見れば近隣の建物の屋根ばかりだったり、高いビルが少し離れた位置にそびえていたりします。そのようなケースも、念のためにグーグルマップのストリートビューでチェックするといいでしょう。

 

それすらも面倒という人は、筆者にまとめて調査を依頼されたらいいでしょう。見学前の簡単調査(ショーレポート)は1回限り3物件までは無料でお引き受けできますので、ご相談ください。物件名と発見したポータルサイトのURLと合わせて「ショートレポートを依頼」とご記入の上で下記HPからお申し込みください。申し込みボタンをクリックすると、申し込みフォームが現れます。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。http://www.syuppanservice.com

 

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