第630回  「眺望」や「設備」は将来価値に何%影響しますか?

このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

マンションにパーフェクトはありません。何かしら気に入らない点、デメリットと思われる点があるものです。それらは、買い手にとって、特に問題となるものではなくても、リセールに影響するのではないかと心配する人は少なくありません。

 

筆者に寄せられるご相談には、そうした懸念点が多数見られます。例えば、以下のようなものです。

*隣地に予定されている20階建てビルの影響

*隣の家と接近している(目の前に一戸建て)

*眺望が悪い(前方15mにマンション)

*羽田の飛行空路の下

*近隣のソープランド、暴力団事務所の存在

*無名の売主

*外観がチープな印象

*共用施設が殆どない

*交通量の多い道に面しているので騒音がある

*徒歩10分は遠くないか?

*北向きでも大丈夫か

*間取りが良くない

*設備が良くない

*ルーフテラス付きの角部屋だが、価格が高過ぎる気がする

etc.

 

例を挙げればキリがないほどありますが、今日は「これらの弱点やデメリットがリセール価格に及ぼす影響の度合い」についてお話ししようと思います。

 

●最も影響力の強いのが駅からの距離

マンションの価値は80%以上が立地で決まると言って過言ではありません。都心は高く、郊外は安い。駅から近い物件は高く、駅から離れるほど安い。この説明が一番分かりやすいはずです。

しかし、買い手にとっての問題は都心か郊外かではなく、郊外物件同士の比較ということになるのです。同じ郊外でも、A市とB市ではどちらがいいか、あるいはC鉄道のC駅とD鉄道のD駅ではどうか、あるいは同じ駅のE物件とF物件では、どうなのかというのが検討課題になるものです。

 

この中で最も分かりやすいのが駅から距離の違いでリセールバリューが変わるという点です。

 

●駅からの距離で大きく変わるリセールバリュー

不動産調査の専門会社である不動産カンテイ社(よく新聞に登場する)が提供するデータの中に、「駅距離別のリセールバリュー」というのがあります。

 

このリセールバリューデータは、10年前に100で購入した新築マンションが築10年を経ると、平均でいくらになっているかというものですが、それによると、直近のデータ(2017年12月までの集計)では徒歩3分以内は110、徒歩6分以内:99、徒歩10分以内:95、(中略)バス:70となっています。

 

駅から遠いほど、リセールバリューが低いことは明らかですが、注目点はもともと高い駅近物件の値下がり率は低く、もともと安い(分譲価格が安かったはずの)バス便マンションのリセールバリューはとても低いという事実です。

 

例えば駅3分の70㎡のAマンションが5000万円であるとき、同時に売り出されたバス便のBマンションの70㎡が4000万円だとしましょう。10年後、Aマンションは10%アップの5500万円で売れたのに対し、Bマンションは30%ダウンの2800万円になってしまったというわけです。

 

●駅から遠くても高い価値を保つ物件もある

上記のデータはあくまで平均値です。事例は少ないのですが、駅からバス利用の物件で、上記の数値が当てはまらないものがあります。バス利用でも、その不便さを補って余りあるほどの魅力が他にあることを意味しています。

 

例えば、駅からの長いアプローチの大半が商店街ロードであるとか、幅広で街路樹が美しい歩道が続くとか、現地に着くと今度は感動的な眺望、例えば横浜の港の見える丘公園のような高台にあってオーシャンビューが圧巻であるとか、緑豊かな大公園の最前列に建ち「まるで森の中のマンションといって過言ではないほどの自然林や公園に接する」といった環境の良さが代表的です。

 

このような価値あるバス便物件は例を挙げると、比率は極めて少ないのが実態です。言うまでもなく、バス便マンション同士の比較ではマシという意味で、駅に近いマンションのような値上がり率には遠く及びません。

 

また、憧憬の地と言われる成城学園(小田急線・世田谷区)などには、駅から距離はあっても高値で取引されている物件が存在します。

とはいえ、成城学園駅ならバス便でも高いかというと、それは違うのです。成城らしい邸宅地の趣が残っている街並みに建っているとか、低層の大規模開発による緑園イメージのマンションであれば駅から遠くても結構な価格にはなっているものの、リセール価格で売り手を喜ばせるのは、せいぜい徒歩10分か遠くて13分くらいまでの話です。

 

●条件で劣る物件は分譲時の価格も安いものだが

バス便のマンションははじめから安いではありませんか?それなのに、リセールバリューは低くなるのですね?逆に、駅前の物件を高く買っても高く売れるのですか?

 

こんな質問をいただくことがありますが、その通りです。マンションの価格は一律に下がったり上がったりするわけではありません。そのことは、先のデータで証明されています。

 

何故そうなるのでしょうか?追加質問が来ました。この答えは、単純明快で「バス便でもいいから安い物件が欲しい。そのような人の数が少ない」からです。

 

不安を持ちながらもバス便のマンションを買いたい人はどうすればいいのでしょうか?

ひとつは、バス便であっても同じバス便のマンション同士の比較で付加価値の高いものを選ぶこと、交渉してできるだけ安く買うこと。この2点に注意することです。値引き対象は、新築なら竣工後も売れ残ってしまったもの、中古ならすべてを対象にしましょう。

 

立地条件で差がないものの、一方は無名業者で他方が大手業者という場合はどうでしょうか?無名業者は大手に勝ち目はないと考えて、価格を安くしていませんか?あるいは、大手に負けないスペックにしていませんか?

 

多くの場合、大手のブランドマンションは価格が高くても無名業者よりリセールしやすいものですが、それは名前だけではなく、大手の物件は無名業者の物件より規模が大きく付加価値が高いとか、デザイン性で優れていたりするからです。一般の買い手さんが気付かない外観や玄関、共用部のデザインと仕上げ材で差があったりもします。

そうした比較をして行くと、絶対価値で無名業者の建物は大手業者に劣っていることが多いので、大手物件に軍配が上がるのです。筆者が知る範囲では、無名とは言いませんが中小デベロッパーで大手ブランドマンションに負けない建物を企画する企業は、2~3社しかありません。

 

●駅別データ・規模別データ・売主別データなどもある

東京カンテイ社以外にも調査会社はいくつかあって、様々なデータを公表していますが、「物件規模別のリセールバリュー」というデータもあります。

 

こちらも簡単に紹介すると、規模が小さいほどリセールバリューは低く、大規模物件はリセールバリューが高いというデータです。

 

高さ別データでは、階数が高いマンションほどリセールバリューが高いというものです。タワーマンションなら、低層階の住戸でも恩恵を受けるというデータです。

 

売主別のリセールバリューを調査したデータもあり、興味深いものでした。ここでは省略しますが、さもありなんと思える企業もあれば、意外にリセールバリューが低い大手もあるのです。

 

最もよく見かけるのが、駅別のリセールバリューです。人気の駅は高く分譲されても10年後の価格は分譲時の価格を維持していたりします。時期によっては(今がそうですが)、分譲価格を上回る駅が沢山出ています。

 

●クロス集計したデータはない?

貴重なデータ類も、これをクロスさせたものは見当たりません。つまり、規模が大きいが駅から遠い物件のリセールバリューはいかほどかというデータはないのです。

 

同様に、駅近で規模も大きいが無名企業の物件だったらどうなのかの解が得られるようなデータはありません。

 

おそらく調査会社内にはあるのかもしれませんが、公表データでは見たことがありません。

 

マンションの価値を評価するというのは、実際にやってみると一筋縄ではいかないものです。筆者は、ほぼ日課としてこの作業を行っていますが、始めたばかりの頃は頭をひねることが多いものでした。

 

まして、10年後の価格を予測するなどという大胆不敵なサービスなど、到底考えられませんでした。以下に示すように、様々な要素・条件が複雑に絡むからです。

 

「駅に近いし、その割には静か。ブランドマンションであるし、建物内容もブランドらしい内容を備えているが、南側は隣りのビルの高い壁が迫っているので、北向きの部屋を買おうと思う。間取りは決して良いとは言えない。敷地が狭いためか、内廊下は窮屈な印象である。エントランスは2階までの吹き抜けになっていて豪華な印象。でも広くないし、救いは検討階の価格が安いことかと勝手に思う。でも、この立地で3階はどうなの?そもそも〇〇駅ってどう評価すべきなのか?」などです。

 

ほとんどのマンションが「あちら立てればこちらが立たず」です。これらの要素・条件を整理し、適切に現在価値または将来価値を判定するのは容易なことではありません。

 

しかし、その答えを求めて筆者にコンタクトして来られる人がたくさんあるのは事実です。そう思って始めた仕事であり、研究成果は随分蓄積されましたが、市場は動きます。関連する経済変動、金融情勢、人口や世帯の動向、供給動向、販売状況など、多数のファクターに目を通しながら記憶し、その頭をフル回転させ、市場と物件の立地・プラン等の調査をして解を求めて行き、マンション評価レポートや将来価格予測レポートになります。

 

これを購入者自身の手で答えを導くというのは、多忙な仕事の合間を縫ってのことゆえに極めて難しい作業になることでしょう。

 

●理想と現実のはざまで

マンションの販売員が使う決まり文句に「理想通りのマンション、百点満点のマンションはないですよ」というのがあります。買い手の皆さんも、理屈では知っていることでしょう。しかし、ひとつ見送り、ふたつ見送りしながら理想に近づきたいと考えるはずです。

 

壁は多くの場合、価格にあります。

 

「山手線の駅に1分か2分と近いのに敷地はまるで森。その中に建つタワーマンション2棟」これだけで読者はお分かりだと思いますが、こんな物件は二度と出ないかもしれないと思えるほどの希少性が相まって大人気となった目黒駅前のブリリアタワー(2015年の分譲)です。

 

この物件の価格は平均で坪単価は600万円、1戸平均1億1000万円でした。業界人も驚く値段と話題にもなりましたが、あっという間に完売してしまいました。

東京というマンション市場は本当にビッグだなあと改めて思ったものですが、さすがに現地を訪問した人の95%は予算が足りないために諦めたと聞きます。結局、いくら最高の物件に巡り会えても価格が高過ぎれば検討もできません。

 

理想の物件を探しながら、たまに遭遇しても価格の壁に跳ね返され、そうしているうちに、2年経ち、3年経ってしまったという人も少なくないことと思います。

 

「資産価値を重視したいのですが、唯一気になる交通騒音です。この弱点は何%くらい影響するものでしょうか?あるいは、非常に気に入ったのですが、駅から徒歩11分かかる立地条件は将来価値(リセールバリュー)にどのくらい影響するでしょうか?」

 

こうした疑問に対する答えを一次方程式で導くのは困難です。連立方程式でもどうか?非常に難しいテーマですし、これをインターネット上で公開するのは、不可能に近いのですが、以下のようなことは言えます。

 

●設備が少々劣っても、リセールバリューには影響がない

設備の影響度についてです。

設備が素晴らしい。そう思ってもリセールバリューに大きく跳ね返ることはありません。逆に、少々劣る物件でも、それが大きな価格ダウンになることはないのです。

 

何故でしょう?リセールの時期によって多少の差は生まれますが、10年以上経過した建物は、買い手がリフォームを前提に検討することが多いからです。

 

とはいえ、ディスポーザーのようなものはあるに越したことがありませんし、食器洗浄乾燥機が付いている方が、付いていないものより印象はいいはずです。ディスポーザーは後付けが不可能ですし、食器洗浄乾燥機は後付けできますが、キッチンの形状や寸法などによっては不可能という場合があります。

 

ないことで買い手を一人逃がすかもしれません。来る人、来る人全てが設備不足で見送るということになるのなら、中々売れなくて売値を下げざるを得ないことになるでしょうが、現実はそうならないのです。

 

中々決まらないということがあっても、原因は別の所にあって、設備の問題ではありません。過日あった事例では、食器洗浄乾燥機がないのが残念という声を聞いた売主さんが、その場で取り付け費用として50万円サービスさせて頂きますと発言したところ、買い手さんが購入を決断したのです。

 

つまり、設備の価格影響力はせいぜい1%程度ということです。

 

見学者が感動する要素がいくつあるか、それが中古マンション売却のカギです。決め手は設備ではなく、他にあるものです。広くて豪華なエントランスであったり、ワイドなリビングルームであったり、眺望がすばらしかったり、一目見ただけで「わ~素敵」を口にしてしまうようなことです。

 

その意味で、住戸内で感動を呼びやすいのは玄関ホールの広さや、全体的に高級マンションに映ったと感じさせるのは、床、壁、建具の素材、そして天井の高さなどです。個々の詳細は覚えていなくても「気に入った」と語るのは、そういう部分の総合なのです。

 

それらが不十分であれば買い手のハートをつかむことはできないので、仕様のレベルが価格に影響するのは確かです。高級であることに感動するか、普通であることに感動しないか、それだけで購入を決めることはないのですが、見学前の期待度でも違って来ます。

 

築年数が10年程度の場合、リフォームを前提に置いていても、大掛かりなことは考えないのが普通なので、設備・仕様が良くないと売れないというケースはあります。しかし、影響するかどうかは、高額なマンションか若い世帯が初めて買う低額マンションかでも変わります。

 

8000万円で売りたいマンションが設備・仕様が悪くて価格を下げざるを得ないという場合は、200~300万円下げることが必要になるかもしれませんが、5000万円以下のマンションなら殆ど関係ないと言えます。

 

中古で8000万円のマンションは、普通は新築時のスペックは大抵は高いレベルになっているもので、先に述べた通り、一部に不備があっても全体(立地や共用部の豪華さなど)の価値が高い物件なら、僅かのサービスですむものです。

 

つまり、設備の足りないことで影響するのは繰り返しますが、1%程度に過ぎないのです。設備と仕様全体のレベルが高いことで「高級、立派。気に入った」と思わせるような物件は、その分を強気な価格で売り出しても買い手はつきやすいもので、10%くらいの高い値付けが可能ですし、価格交渉に応じても最終的には5%以上の高値売却が可能となります。

 

もっとも、似たようなマンションとの比較で5%高くなるという意味ですから、取得価格が10%も高値であったら、5%高く売れたとしても、売主さんにとってはさほど喜ばしいことではないかもしれません。

 

筆者がここでお伝えしたいことは、設備・仕様の影響度は最大5%程度ということであって、その点に関心を持ちすぎてはいけない。価格に影響力が強いのは他にあることを忘れてはいけないという点です。言い換えましょう。モデルルームの豪華な飾り付けと設備・仕様ばかりに目を奪われて肝心のことがおろそかになることがないようにと言いたいのです。

 

●眺望の影響度は大きい

どこを見て買えば間違いないのでしょうか?つまり、リセールバリューを左右するのは何でしょうか?

 

お分かりの通り、立地条件が一番です。立地条件が良い悪いの解説だけで相当のページ数を要するので、今日は割愛しますが、立地条件の一部には「眺望の良し悪し」というチェックポイントもあるので、その点だけ触れることにします。

 

価格影響度という意味で「眺望」は大きいのです。中古マンション売却のお手伝いをさせて頂くことが時折あって、経過を見ていると、バルコニー面の窓を開けると、目の前5~6メートル先にお隣の一戸建ての家の壁と小窓が見えるとか、20メートルか30メートル離れているものの、前のマンションの外廊下とズラリと並ぶ玄関ドアが見えるマンションは売りづらいものだということが分かります。

 

高額マンションほど、その傾向が強く、見学者を落胆させる繰り返しになっています。

 

結局、「これは安い。魅力的な値段だ」と思わせるくらいのはっきりした安値にまで下げざるを得なかったりします。業界用語で「前建(まえたて)」と言いますが、前建がある住戸は購入時も安かったはずです。ところが、同じ列の同じ面積の1階上の住戸が9000万円で売れたのに、2階は8000万円になってしまったという現実に売主さんはひどく落胆した。このような事例もありました。

分譲時は確か300万円くらい安かったと思うが、売却時に1000万円も差が付くなんて」と嘆いたのです。

新築のときは、価格表を見せて、300万円も安いと販売員はアピールするので、本当は3階がいいけど300万円安いならと前建の影響度を考えずに(知らなかったので)2階を選択した人でした。

 

中古を売却するとき、売却の担当者は「ついこの前、3階が9000万円で売れたのですよ。ほれこの通り」などというセールステクニックを使うことは少なく、単純に「いかがですか」とやってしまうのです。一般に、上の階が同時期に売却されるとは限らないので、そうした比較論を使う習慣がないのかもしれません。

 

買い手から見ると、新築時のように二つの商品が並んでいる場合と、ひとつだけ置いてあって値札が付いている場合では後者の価値は分かりにくいのです。

 

ところで、14階建ての14階とか、30階建ての20階といった高層住戸の価値はどのくらい違って来るものでしょうか?目安は、新築時の価格表にあります。例えば、1階上がることに30万円とか50万円とかの価格差が設けられるので、10階上は300万円なり500万円高くなるもので、そのような差異を買い手は目ざとく見つけます。30万円ピッチの価格差が、ある階から急に300万円も上がっていたりすることを発見するのです。

それぞれに合理的な説明が付くようになっています。「○○階からは、前のビルの屋根を飛び越えて遠くまで見通せるから」、「〇〇階からは〇〇側が見渡せるので」といったことです。

 

「20階と21階では大差ないですよね」と意地悪な質問をしたら、「21階は一番上だからです。てっぺんは気持ちいいですからね」と答えが返って来ました。

 

高額物件か中クラスの物件かで違いますが、最上階の価格と中間階の価格では1000万円もの差を設けていることが少なくありません。ところが、この価格差はリセール時には縮まるのが実態です。上階をできるだけ高く、下層階は安くというメリハリをつけるのは下層階の売れ行きが遅くならないようにしたいからにほかなりません。少しの差なら、できるだけ上階がいいと考える買い手が多いので、偏りができる場合があります。デベロッパーは、その学習効果から、不人気の下層階に顧客を誘導するため、安く設定するのです。

 

これは新築物件ならではの価格戦略です。中古になると、先の2階住戸のところでご紹介したように比較論が使いづらいために、高過ぎる高層階は中古市場で修正されてしまいがちです。つまり、新築時ほどの上下格差はないのです。

条件の良い住戸だけに高く売れるのは間違いないものの、購入価格からの変動率で見れば、上階は得でないことがあるというわけです。

 

ともあれ、遠くまで望める、空が広い、大公園の緑が眼下に広がる、リバービューが綺麗で開放的といった条件の良さは高く評価され、価格で10%~20%もの影響を与えることがあります。逆に言えば、前建は上階に比べて10%も20%も安くしなければ売れないことを意味します。

 

上の階との差が300万円では3%か5%の差でしかないので、下層階を検討するときは少なくとも7%以上、できたら10%の差がない限り手を出さない方がいいということになるのです。

 

●間取りの影響度はどうか?

最後に、間取りの影響度についてご説明しましょう。

 

同じマンションの中の比較では、間取の良い住戸と良くない住戸の売り出しが同時にあるわけではないので、比較データも存在しませんが、間取が悪いと売りにくいのは確かです。

設計の都合上、誕生してしまった好ましくない間取りというのがありますが、それは特殊なケースであって、どれも一定の水準にあります。全体が田の字間取りであれば、どのタイプも大差ないのが普通です。特にひどいと感じる間取りは少ないものです。

 

マンションによっては間取りが全体的に素晴らしいものがありますし、普通の田の字間取りが中心のマンションであっても、角部屋であることからプライバシー性が高く、通風と採光に優れた良い間取りもあるのは確かです。

角部屋ゆえにルーフテラス付きの間取りもありますし、中部屋(中住戸)ではワイドスパンで南に3室並んだタイプなども見られます。

 

良い間取りは、そうでない間取りより高く売れるのは確かですが、ウナギの寝床などと揶揄されることがない限り、中部屋の場合、間取の影響度は大きくありません。影響度が大きいのは、角部屋やルーフテラス付き住戸の場合です。

 

中部屋が5000万円であるとき、同じ面積の角部屋(普通は広く作る)は、5300万円程度、つまり5%程度の差をつけます。ルーフテラス付きになると広さや周囲の建物との関係などで差があるものの、5600万円とか5800万円などとなります。この価格差はリセールでも大きく変わることはありません。ところが、例外的に極端な差を設けて分譲しているものがあります。大抵そのような場合は、中々売れないので高過ぎることを分譲主が自ら証明してしまうので、手を出さずに済むかもしれませんが、タイミングによっては値引き交渉によって安く(リーズナブルに)購入できることもあります。

 

間取りは重要なファクターなので、軽視はできません。価格への影響も小さくはありません。しかし、マンション選びで優先されるのは「立地条件」であり、次に「マンション全体の印象」です。立地の次に大事なことは、見学者が建物を見たとき「わ~素敵」の声をひとつでも発してくれる感動要素があるかどうか、ここが重要です。

 

外観デザインやエントランス周りの雰囲気が上質で洗練されていて、天井が高く豪華で、広いロビーやラウンジがあり、天井飾りも美しく、美術館のようであったり、モニュメントが置かれていたりすることで感動を呼ぶのです。

 

エレベーターのグレードも高く、共用廊下は広くて絨毯張り、大企業の社長室か大臣室かと見まがう仕上げ材を用いたスタディルームや高級ホテルのスイートルームのようなゲストルームがあったり、またフィットネスジムが用意されていたり、外構は中高木によって足元が緑をまとい、中庭も美しいといったことです。

 

タワーマンションなら、住戸内はともかく、展望ラウンジなどを見学してもらうと「お友達を呼んで花火大会を見よう」などと思わせるかもしれません。

 

マンション選びのキーワードは「感動を呼ぶマンションかどうか」と「格好いいかどうか」です。

 

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