第735回 「将来を見据えて3LDKを選択」は正しいか?



このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。

様々な方から「物件評価」と「ご購入相談」メールが届きますが、いつも気になるのは、希望条件を「3LDK・70㎡」としている方が多いことです。

今日は、その条件設定が買い手のマンション選びの壁になっているという話題を取り上げることとしました。

 

判で押したような「3LDK・70㎡」の声。その理由・背景

初めてマンションを買おうとしている方に希望条件をお尋ねすると、判で押したように返って来る答えが「3LDK・70㎡」です。理由を探ってみると、次のようなことです。

 

購入前の家は、例外がないほど「50㎡・2LDK」かそれ以下なので、「買うなら70㎡は欲しいよね」とおっしゃいます。家賃はいくら払っても捨てるだけなので、少ない賃料のアパートで当分は我慢しようと思って来たという声もよく聞きます。

 

しかし、都区内の分譲マンションは過半が坪単価300万円を超える現在、70㎡(21坪余)は、6300万円となってしまいます。

 

都区内ならどこでもよいなどと考える人はいないので、例えば杉並区か中野区、目黒区などと地域を狭めて探すと6300万円ではすみません。このエリアでは、坪単価400万円以上が普通なので、予算を8000万円以上に上げることが必須となります。

 

予算がたっぷりという人はいいですが、少し厳しいという人は希望地域を変更したり、階数を下げたり、最寄り駅からの距離の妥協、無名業者の物件も候補に入れるなどと条件変更を強いられます。

 

価格の高騰で手が出ない「3LDK・70㎡」の実態

価格の高騰の実態をもう少し具体的にお伝えしておきましょう。

ある調査では、過去5年の平均で、23区の坪単価は@358万円となっています。

直近の2020年は@418万円で、これは2016年の@334万円から見れば、25%という値上がりです。

 

無論、地域差はあり、例えば世田谷区は同期間に@337万円から@404万円に20%アップですし、品川区は@355万円から@430万円に約20%アップですが、中央区は@407万円から@458万円に、12%アップに過ぎません。 杉並区も@342万円から@392万円へ15%アップです。

 

3LDKを70㎡(21.1坪)換算すると、最後の杉並区は7216万円から8270万円にもなっているのです。約1000万円も値上がりしているということになります。

 

この値上がりが、購入予定者の予算と物件価格とのギャップを拡大していると推察するのは容易です。 

検討中の人の声をまとめてみると、「希望する広さの条件を変えるか、立地条件を変える」しかないようで、希望していた場所から離れた地域を選定するほかないのです。

 

家族数3人なら2LDKでもいいのでは?

筆者のお勧めは2LDK・60㎡の選択です。条件を下げれば、選択肢は広がるからでです。

家族数4人の場合は難しいでしょうが、3人なら問題はないはずです。

よく考えてみましょう。子供に独立部屋をあてがうのは何歳ころでしょうか?概ね10才、小学校4年生くらいからではないでしょうか?

 

としたら、まだ夫婦2人だけの段階でマンションを選ぶなら、2LDKでも足りるということになります。2LDK・60㎡を選んでおけば、10年は問題ないはずです。2人の子を設ければ2LDKでは足りなくなるでしょうが、1人目の子が個室を使う頃になったら、2人目の子供のための個室、すなわち3LDKへの転居を考えれば間に合うはずです。

 

転居の事由は必ず発生する

人の往来が少なかった時代はともかく、現代は転勤だけでなく何らかの事情から転職を余儀なくされ、伴って転居する人も少なくありません。地方から東京に転職して来る人もあって、東京の住宅需要は相変わらず旺盛です。

 

子供の進学の関係で転居を測る人もあるようです。教育熱心な親は、子供の意向を汲んで遠方の私学に通わせる知人がいますが、ほかならぬ筆者も子供の進学で住む場所を変えた経験があります。

 

知人の歯科医は、娘を千代田区の有名私立中学に通わせているそうで、母親が最寄りの駅まで付き添っていました。筆者は、娘が満員のJRと私鉄に乗り換えて積学する姿を想像しながら転居を決意した経験を持ちます。筆者の通勤や地方出張の不便さは増しましたが、子供の通学は快適だったようです、筆者も転居の決断に満足していました。

 

その後、筆者は最初のマンション購入から3度の買い替えをしました。「引っ越し貧乏」を心配する周囲の声を聞きながら、必要があって実行しました。プライバシーに関することなので、ここで詳しい事情を述べることは差し控えますが、引っ越しの都度、希望に満ちていました。

 

予算と広さが合致しないとき

様々な事情で転居の必要が生じるのが普通のことであるとはいえ、どこに居を定めるかは簡単ではありません。

 

賃貸マンションなら、比較的たやすく、人によっては「当分の間は仮住まい」と割り切って定める人も少なくないと思いますが、購入するとなれば慎重になるのが普通です

そのとき、多くの人は悩みます。希望するエリアには良い物件がないうえ、どれも高値で、予算とのギャップが小さくないからです。

 

地域を変え、検討物件を探しながら、「行きつ戻りつ」するものの、候補物件を定めるのに一苦労します。交通便が最大の壁で、希望地域の駅に近い物件を求めてもどれも高くて手が出ないとこぼす人も多いのです。

 

仕方なく、条件を変えてみるものの、宝探しは容易ではありません。そんなとき、駅から遠い点を我慢すれば手が届く物件に遭遇したりします。または、通勤先の場所から、少し離れる駅に行ってみたりもして、手が届く物件を発見して喜んだりする人もあります。

しかしながら、決断するに至らず断念する人も数知れません。

 

そうして、半、1年と経過してしまうようです。なかでも、新築マンション限定で探す人はお気の毒な結果になることも多いようです。というのも、新築マンションは価格が明示されない期間があって、ある程度の期間は待たされるからです。

 

ようやく予定価格なるものが提示されると、期待とのギャップが大きく失望させられます。何とか予算内の住戸があっても、条件の良くないものであったりします。

 

中古も探そうと方向転換。そのときの注意点

新築にこだわっていたら無理だなと気付いた人は、中古も視野に入れようと考え始めます。ところが、しばらく動いてみて気付くのは、中古と言ったって新築なみに高いことです。

 

「中古なのに何故?」と首をひねります。理由や背景はさておき、「良い中古は新築並みに高い」ものです。筆者の知る範囲でも、新築並みに高い優良中古は少なくありません。

 

「中古だけど、価値あるマンションだ」と感じる要素があり、そう思う買い手が多数あるマンションゆえに、価格も強含みに推移しているのです。新築マンションと異なり、中古マンションの価格はオークションのようなもので、市場が値を決めているのです。

 

売主(多くは個人)が1億円で売りたいと言ってみたところで、買い手が付くのは5000万円であれば、市場価値は5000万円です。数%程度の高値なら買ってくれる人が遠からず現れる場合もありますが、長く流通市場にさらしておけば半年経過しても買い手が付かず、結局は売出し価格を下げて販売サイトに公開するほかありません。

 

話を戻しましょう。市場で評価される適正・妥当な価格で売り出されているのが、中古マンションなので、新築並みの値が付く物件は、比較する新築マンションに比べて遜色ないと判断する買い手が多いことを「意味します。

 

マンションの価値を大きく左右するのは立地条件ですから、好立地のマンションは多少古くても新築並みの高値で売買されているのが実態です。新築並みの高値の中古は確かに存在します。

 

つまり、中古に目を向けても、新築並みに高いのでは、意味がないのではなどと思われたかもしれません。結論はまだ先にあります。

 

妥協すべきは築年数

結局、新築が高いから中古も検討しようとしているのに、中古も高いですよと言われたら立つ瀬がないと言われたことがありました。

 

そこで、筆者は言いました。「築年数にこだわれば、そうなるでしょう。新築マンションから中古へ転換する人の多くは、できるだけ築浅の物件に目をやろうとします。その結果、中古なのに安くないじゃないかと感じるのです。

 

日本人には「あたらしい物を好む」傾向があるようで、中古車屋さんも古着屋さんも商売として成り立っているとはいえ、価格は激安です。マンションも「できたら新築がいいよね」とおっしゃる方が多いのです。モデルルームの飾りつけに錯覚を起こしながら、「こんなマンションに住みたい」とい目見心地になったという声を筆者も何度聞いたことか。

 

だからか、「中古でもいいけど」と言いながらも、頭の中には新築マンションの残像があります。そのためもあって、中古は築浅にしたいと考えるようです。ところが、築浅中古の人気は当然高く、しかも工事中の新築と違って「すぐに住むことが可能」なことも手伝って高値に誘導されてしまうのです。

 

筆者は、こう助言します。「築浅中古は高いうえ、競争率も高いので買いにくい傾向にあります。そこで、築浅(具体的には10年未満)を避けて、10年から20年くらいの物件をターゲットになさるといいでしょう」と。その方が、選択の幅も広がりますし、良い物件との遭遇の確率も高まりますよ」と。

 

10年から20年くらいと言いましたが、20年を超えた物は危ないのでしょうか?ときどき届く質問ですが、そんなことはないのですが、筆者の立場では安全を期して線を引いているのです。

 

「マンションは管理を買えという市場の格言があります。管理がしっかりしているマンションなら、50年でも60年でも快適にマンションライフを送れるはずです。しかしながら、管理状態について外部の者が正確に把握することは簡単ではありません。

 

清掃状態が良かったとか、植栽がきれいに手入れされていたなどという表面的なことだけでは分からないからです。

 

築年数10年未満は避ける方が無難

10年未満は避ける方が良いという理由を最後にお伝えします。

2005年ころから2012年頃にかけて新築マンションの価格は異常高騰し、売れ行きは大きくスローダウンしました。早い話が売れなくなったのです。

その後の数年は、マンションデベロッパーの多くがコストダウンに取り組んで価格は幾分下がったのですが、下がった理由に注目すべき点があります。簡単に言えば「品質の低下」です。

 

今日ここで具合的に語るのは憚りますが、残念なマンションが供給されるようになったのです。今もそれは続いています。

 

一方、2012年以前の新築マンションは、比較すると品質の高いものが多く、中古マンションの流通サイトを見ると、誇らしげに建物スペックについて紹介した物件も目立ちます。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談のお申込みはこちらから(http://www.syuppanservice.com

 

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