第770回「おひとり様の増加はマンション市場に変化をもたらす」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

どなたもご存知のとおり、日本は「少子高齢化」と「結婚しない人の増加」が問題と叫ばれて長い時間が経ちます。 いわゆる「おひとり様」の増加は、日本だけでなく世界的な傾向なのだと言われます。  

 

単身世帯の増加は、「非婚化」と「少子化」を同時に加速させ、介護や福祉の問題だけでなく、「孤独」の問題をクローズアップさせると言われます。英国では、「孤独担当省」を設置したそうで、少子化は先進国共通の課題のようです。  

 

喫緊の課題でありながら、日本では特別な対策が講じられて来たとは言えません。ともあれ、この問題は、住宅市場にも影響を与えることは疑いようもないのです。今日は、おひとり様の増加とマンション市場の関係を紐解いてみようと思います。  

●単身者の住まいのあり方を考えてみた

筆者は、世田谷区のマンションを売って、15年ほど前から神奈川県・郊外の一戸建てに住んでいました。過去形なのは、その後、仕事の関係から単身で都区内に仮住まいを始め、そのままコンパクトマンションに住み続けることとなってしまったからです。  

 

両親と死別したので、一人暮らしは気ままで悪くないと感じながら、優雅とは言えないものの、幸いにして近くに知人がいることも手伝って、気楽な単身生活を送っていると言えましょうか。  

 

一戸建ての持ち家は住宅ローンもないので、コンパクトマンションの賃料は大きな負担でもなく、当分はシングルライフを楽しむことになりそうです。  

 

もっとも、筆者は無趣味で、年中無休の「マンション評価」と「ブログ投稿」が唯一の楽しみでもあるので、これ以上のことは望まないのです。他人が見れば、下り坂の人生かもしれませんが、早くに脱サラしたので定年もなく、筆者の人生はまだまだと思っています。  

 

計画しているわけではないものの、家賃はドブに捨てるようなものだから、ワンルームマンションでも買おうかなどとボンヤリと考えています。ただ、折角買うのだから、いずれは誰かに相続するとき、換金価値の高い物件がいいだろうと思いつつ、ときどき情報サイトを覗いてみて、ワンルームマンションに惚れ惚れする物件は少ないことを改めて認識させられたりしています。   

 

賃貸マンションを選んだのは、住まうだけなら利便性の高い物件、管理が良い物件であれば何でもいいと考えたのですが、計算してしまうと、家賃は大家さんを喜ばせるだけで個人的には何も残らないなあと考え直させられています。  

●家賃の高い東京

ご承知のように、東京圏のマンションは家賃がすこぶる高く、ワンルームマンションですら、年間に100万円も捨てることになるのです。  

 

かつて所有していたタワーマンションなどは、35万円もの賃料が取れたので、「こんな家賃を払う人は何者だろうか」などと興味津々でしたが、大企業の管理職サラリーマンだったことに軽い驚きを持ったものです。

 

一般的には大会社のサラリーマンで、かつ管理職の転勤族が一時的な仮住まいであったりするものですが、家賃負担も本人にはさほどのことではないのです。筆者自身も、サラリーマンだったときを思い出すと、同様の恩恵に与っていたのですから。  

 

家賃が高過ぎる東京圏。その一方で、家余りも目立ってきた東京圏。それにもかかわらず、高い賃料を指摘される東京圏。 おかしいと思う人も多いのではないかと想像しますが、現実なのです。

 

広い東京のこと、場所によって家賃も大きな差異が見られます。60㎡程度のコンパクトなファミリー向けで、10万円もしない物件もあれば、かたや30万円もの高家賃の賃貸物件も存在します。  

 

以上のような現実は、驚きではないのかもしれません。なぜなら、その現実に東京人は慣らされてしまっているからです。安い家賃の借家・賃貸マンションを求めると、都心から離れるとか駅から遠いというだけでなく、建物は古く、低グレードで室内も狭いといった現実を知ることになります。  

 

経済的な成長が停滞している日本ですが、かつての高度経済成長によって生活レベルが高くなり、それに慣れてしまった、言い換えれば、高いレベルの家に住むことが当たり前なってしまったため、安い家を求めて「通勤便も、狭さも古さも平均以下で良い」とする人は少ないということなのでしょう。  

●老後の時間は結構長い

家賃は家主を喜ばせるだけであって、借り手にとっては「どぶに捨てるに等しい」・・・かつて、こう表現した人がありました。 言い方はともかく、この意見に反論するスキはありません。  

 

ここで軽視できないのは、日本人の多くが長寿社会の中にあって、老後の生活をどう支えるかという問題を早い段階から考えておかなければならないという点です。定年は延長されて行くでしょうが、そでも長い老後人生が待っています。  

 

長い老後生活をどうするかという問題は、30代・40代の日本人にとっても他人事ではないのです。社会保障制度の進んだ日本ですが、高齢者が増え、若手が少ないという歪な人口構造は、公的年金財政を逼迫させ、極端なことを言えば、今の若年層にとっての年金受給は期待できない」という予測を持たざるを得ないからです。  

 

老後2000万円問題が一時マスコミを賑わせましたが、定年退職時点で2000万円の貯蓄残高があれば足りるといった単純な話ではないものの、ざっくりと言えば2000万円以上の貯蓄がないことには老後人生は成り立たないの確かです。  

 

しかしながら、無借金の住まいさえ確保しておけば、生活費は食費以外に大してかかりません。住宅ローンの返済を70歳くらいで済ませてしまえば、少しの年金と預貯金の取り崩しによって長く暮らして行けるのかもしれません。  

 

カギは住居費が握ります。少なくともローン返済を終わらせておけば、年金と、ある程度の預貯金があれば老後の生活苦を心配することはなさそうと分かります。  

 

仮に、価値ある地域に高値で売れるような家を所有していたら、それを売却して「より古いマンション」や、場所を変えて「小さな家」に買い換えれば、売却して得た金額の何割かを残すこともできるはずで、それが老後の暮らしを助けてくれるはじです。  

●老後の暮らしは貯蓄が必須だが・・・

結局、老後の暮らしを支えるのは、貯蓄と借金の残っていない自宅ということになります。  

 

しかし、ある先輩は言いました。「老後のことを考えるのはよいが、今の暮らしも大事だよ」と。生きている間が大事なのだから、老後の暮らしを心配し過ぎるのも問題だ。先輩は、そう言いたかったのでしょう。 とどのつまり、将来に思いを馳せつつ、今の暮らしを充実させるようにしなさい・・・そう言いたかったのです。  

 

筆者は、どちらかと言えば自分が生きたいように生きて来たほうで、将来のことは二の次にして来た方ですが、それでも老後について不安を覚えるまでではありません。 無借金の住まい、最低の資産を確保しつつある、健康な身体などから充実した日々を送っているからです。  

 

言いたいことは、価値あるマンションを持つこと、ローンを早めに終わらせることのススメです。  

●買った方が得だが・・・

ご相談者には、常に資産価値の高いマンションを買おうとなさっているかという視点から助言しています。マンションの調査・評価をするときの筆者の変わらぬ基準です。ときに、厳しいとお叱りをいただくこともありますが、「これでいい」と、自身の信条と理論を固辞し続けています。  

 

賃貸マンション住まいの方が気楽だという考えをお持ちの方もあるようですが、結局どこかで方針転換していることを耳にします。 買ってしまうと身動きができないなどという反論もありますが、価値ある物件を持った場合、そんな懸念はないのです。  

 

問題は物件の選択基準にあります。 広い東京圏といえども、高い価値を持ち続ける物件と、大きく価値が下落してしまう物件があるのです。その点に留意しなければなりません。「何でもいいから買えば得、儲かる」などということはないのです。  

●価値あるマンションを買っておけば

マンション購入は、居住が目的であって、投機目的ではありませんが、選ぶものを誤らなければ「住みながら資産を増やす」ことができるのです。  

 

貯金のように通帳やネット上で残高確認をすることはできませんが、ときが経てばいつの間にか多額の含み資産を得る可能性があるーーそれが不動産・マンションの妙味です。  

 

ただし、借り入れ金が多額に残っているうちは含み資産でなく、マイナスの資産のままです。全額弁済したときに、やっとプラスの資産となるのです。それも、売った場合です。売れないような資産では実質価値はゼロかもしれません。  

 

そんなことにならないためには、価値あるマンションを選択しなければなりません。建物は年々劣化しますが、場所の価値、すなわち立地条件の良し悪しは変動することがあっても変動幅は小さく、選択を誤らなければ古くなっても高い価値を持ち続けます。  

 

ローンの残債があっても、売却すれば多額の現金を手元に残すことも可能です。その資金と新たに組むローンによって、もう一段上の価値を有するマンションに買い替えることができれば、やがては、多額の含みによって財産形成を図ることができ、老後の生活を支えてくれるはずです。  

●立地の良い住まいを選ぶと将来は資産家?

マンションは選択を誤らなければ多額の資産を形成することに役立ちます。その選択のカギを握るのは立地条件です。立地条件の良し悪しは、単に駅に近いというだけでは不十分です。  

 

最寄り駅がどこかが重要なのです。ご承知のように、人気の沿線と、そうでもない沿線がありますし、人気沿線でも、駅によって差があります。  

 

さらに、同じ駅の物件同士でも、物件価値には差があります。単に、駅に近いか遠いかというだけではありませんが、分かりやすい目安であることは確かです。筆者は、ご相談者に必ず言うことのひとつに「駅から5分以内を目安にしましょう。10分では遠いですよ」と。  

 

駅から少し距離があっても、そのマイナスを補ってあまりあるようなインパクトある環境がなければ、駅から10分などという物件は避けた方がいいーーー筆者はそう助言します。  

 

公園が隣地にあって美しい街並みが特徴であるマンションであっても、駅から10分では、5分以内の物件には敵わないのです。  

 

誤解のないように補足しますが、23区の人気エリアのA駅からは10分もあるが、別の路線のB駅には5分といった場合はどうかーーこのような場合は、使い勝手の悪い駅は無視して判断するべきと進言します。  

●おひとり様が増えると取引の主流は1LDKか2LDKになる

マンションを積極的に購入しようと動く人は、子供が1人か2人いる世帯です。社宅にしても、賃貸マンションにしても、家賃負担を思うと、70平米以上のマンションを借りるのは抵抗があるのでしょう。しばらくの間は手狭な家で我慢し、子供の成長に連れて、「買おう」と動き出すのが普通です。  

 

家賃負担の少ない大企業に勤めていれば、手厚い補助の仕組みがあってか、それに安住して長く社宅暮らしを続けてしまいがちですが、それでも子供が生まれたときを契機に持ち家を考え始めるものです。  

 

このように、家族を持った世帯は早い段階でマンションを買うことになるものです。これに対して、独身者は小さなワンルーム等でも不都合はないことに加えて、家賃負担を重く感じることもないためでしょうか、それが仇となって長く賃貸マンション住まいを続けることになっているようです。  

 

しかし、その単身者でも持ち家を買うことの意義を考え始めるときが来ます。老後のためでしょうか。 個人差はありますが、多額の預貯金を持つ単身者も少なくありません。そのせいか、単身者でもワンルームではなく、1LDKか2LDKの購入を計画します。  

 

20㎡は学生向けの賃貸マンション、サラリーマン諸氏は小さくとも35㎡以上、概ね50㎡を買う、筆者への相談者だけで見れば、このような傾向が見て取れます。彼らには、完全に結婚を断念したわけでも結婚しないと決めてしまったわけでもないので、少なくとも2人住まいが可能な広さを選択する傾向があります。  

 

親や親せきなどが結婚を催促し、見合いの話を持ち込まれるということもあるようですし、勤め先の上司にもときどき勧められるのだとか。 生涯独身を貫こうとする人もあると聞きますが、それでも心の片隅に伴侶ができるかもしれないという思いがあるのでしょうか。二人住まいが可能な広さを求めるシングルも少なくないのは事実です。  

 

家族持ちが2LDKか3LDK、シングルか、子供は持たないと決めているカップルは2LDKを選ぶとして、その割合はどのくらいになって行くでしょうか? 統計データはありませんが、近い将来、半々くらいの比率になってしまうのではないかーー筆者はそう感じています。  

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