第778回 「等価交換マンションで気を付けたい点は?」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

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管理の視点から避けたいマンションのひとつは「等価交換のマンション」だと聞きましたが、それはどのようなものですか? 今日は、この質問にお答えしようと思います。

 

●等価交換マンションかどうかを知る方法

新築マンションの場合は簡単に見分けがつきます。

 

物件概要→総戸数→販売戸数と見て行くと、かっこ書きで販売戸数または分譲戸数が総戸数より2桁も少ないものがあります。総戸数/100戸(販売対象住戸72戸、非分譲住戸28戸)といった表示の物件です。

 

●等価交換マンションとは?

先に、等価交換マンションとは、どのようなものかについて説明しておきましょう。

 

一般に土地を買ったマンション業者(デベロッパー)が、そこにマンションを建設して分譲するのが最も多い事業形態です。

 

これに対し、「等価交換マンション」とは、土地所有者が土地を現物出資、ディベロッパーが、その土地の上に建てる建物の建築費を出資、完成した土地と建物を出資比率に応じて所有する形態の事業です。

 

等価交換事業は、マンション業者から見れば用地取得費を銀行借り入れなどによる準備をしなくても分譲事業ができるというメリットがあります。

 

また、名義の異なる複数の土地をひとまとめにして大規模敷地となし、大型マンションを建設することができるというメリットもあります。

 

土地所有者から見れば、ひとつひとつの土地の価値より大きくまとまった土地の方が価値は高くなる、すなわち高値で売ることができるというメリットにつながるのです。

 

デベロッパーも、小規模な土地より広い敷地の方が付加価値の高いマンションを企画販売できるメリットがあるので、魅力が大きいのです。

 

付け加えておくと、地主の数が多いほどご異形成に時間がかかり、建設が始まるまで5年も10年もかかるという例が多いのが短所です。

 

旧地主は土地代に相当する建物で受け取るので、一部まを自宅用、残りを賃貸用にできます、また、後に売却して金銭に返ることもできます。

 

●マンション管理の問題が起きるかも?

等価交換マンションは、元地主の所有する住戸と、一般に分譲される住戸が混在することになります。

 

このため、元地主の持つ住戸割合が問題になる場合があるのです。東京都心などの場合、その土地評価額は非常に高く、このため元地主の持つ住戸数の割合は多くなります。反対にデベロッパーの持ち分が少なくなるのです。

 

多くの住戸を元地主が持っていると、管理規約の改正、共用部分の変更など重要な決議は元地主の意向によって左右されることになります。言い換えると、元地主の意向が強く反映される可能性が高くなるというわけです。

 

共用部分の変更など、重要な決議は4分の3以上の賛成が必要ですから、4分の1以上の拒否権によって決議ができないことになるため、元地主が連帯して反対に回れば重要案件は何も決めることができないというわけです。

 

現実はどうでしょうか?元地主も複数なら一枚岩ではないはずで、何も決められないということはないかもしれません。 とはいえ、多くのケースで元地主は高齢者が多く、一枚岩になりやすい側面があるとも考えられます。

 

この点で、等価交換マンションは要注意ということになります。少なくとも4分の1(25%)以上の比率で元地主が保有する(分譲対象;75%未満の)マンションは注意が必要ということになるのです。

 

なお、誤解のないようにお断りしておきますが、等価交換マンションには「一部を建物で、一部を現金で受け取りたい」というミックス型もあるので、地価の高い都心部でも、元地主保有の住戸割合が10%程度というケースもあります。

 

●元地主が持つ住戸も次第に減る?

等価交換マンションで元地主が保有するマンションも、建物竣工後に販売されるケースがあります。分譲業者が既に販売を終了していれば、分譲価格を上回る価格で売ることもできるためか、単に現金を必要とする事情があるためかは分かりませんが、よく見られる事例です。

 

こうして元地主の持ち分が減って、4分の1を割り込んでしまえば、前述の懸念は消えることになります。

 

分譲時点では、4分の1以上を有していても、引き渡し時以降に減って行くものですが、そうであっても、東京都心の物件で半分もの持ち分があれば、4分の1未満になるまでは時間がかかることでしょうし、それまでに管理上の大きな問題が起こらないことを祈るほかありません。

 

●チェックポイントは?

等価交換マンションかどうかを見分ける方法はどこかと問われることがあるので付け加えておきましょう。

 

それは先述のとおり、総戸数と分譲(販売)戸数が異なるマンションです。ここでいう総戸数とは、管理人事務室や集会室などの共用室を除く住戸を指しています。分譲戸数は言うまでもありません。

 

問題は分譲戸数の合計が総戸数を大きく下回っているケースです。総戸数100戸、販売戸数50戸といった例です。気を付けたいのは、「販売総戸数」と「今回販売戸数」の違いです。

 

ご存じのように、新築マンションの販売方法は「予定する戸数を一遍に販売せず、何回かに分けて売り出すため」、全部の販売戸数が何戸なのかが不透明になってしまうのです。

 

注意深く見れば必ずどこかに書いてあるのですが、うっかりすると見過ごしてしまうものでもあるので、気を付けたい部分です。

 

●気を付けたい中古マンション

等価交換マンションかどうかは中古マンションになると見分けがつかなくなるのが通弊です。

 

おそらくは旧地主の持ち分が減っている可能性は高いのですが、油断できないとするなら、調べるほかありません。

 

登記簿を調査すれば分かりますが、手間も費用も掛かるので仲介業者は嫌うかもしれません。

 

次善の策は管理組合の議事録を見せてもらうことです。共用部の修繕・変更などの議案がなかったかどうか、特に10年~15年あたりで行われる大規模修繕工事の議案がどうなったかを見ておきたい重要ポイントです。

 

大きな問題がなかったかどうか、その賛否でもめなかったかどうか・・・これは等価交換マンションでなくても十分気を付けたい点です。

 

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