太陽光発電マンションが普通になる
- 2012.07.31
- マンション設計
ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
原発事故以来、電力問題は様々な形で波紋を広げています。国民に節電意識を植え付けたことも影響のひとつですし、太陽光発電事業に参画する企業が日々増えていることも注目するべき話題です。マンション業界でも、新築マンションの屋上に発電装置を設ける例が増加しています。
そんな中、「全農と三菱商事が、各地の農業関連施設の屋根を使った太陽光発電事業に乗り出す」というニュースがありました(2012年7月25日の日経新聞)。何でも、ソフトバンクが2014年度までに国内10か所で計画しているメガソーラーの総発電能力18万キロワットを上回る20万キロワットという最大級の事業とすると発表しています。
農協グループが持つ大型畜舎や物流施設、食品工場などの屋根を活用するのだそうです。このニュースを聞いた他の業界は、これにヒントを得て、次々に発電ビジネスに参入する可能性が出て来ました。
普通、大型の事業に土地は付きものですが、これなら土地の手当ては不要です。一軒家を除いても、日本中に使われていない屋根は無数にあります。大工場のような大きな屋根の方が効率は良いのでしょうが、太陽光発電装置のパネルのサイズは自由自在です。ある程度まとまった大きさの、たとえば既存のマンションの屋根を借りれば、都心でもビジネスは成り立ちそうです。
マンションの管理組合は、新電力会社に屋上のスペースを貸し出して僅かなりとも賃料を得ることができるでしょう。より発電効率の良い太陽電池が誕生すれば、共用部分の電気代がただになった他に屋根の賃料も受け取れるかもしれません。その収入が管理費や修繕積立金の縮減につながることになるのは言うまでもありません。
屋根の面積が広いマンション、すなわちタワーマンションよりは、同じ戸数でも中高層のマンションが効率的です。首都圏には、そんな大型マンションが多数存在します。自家装置を設置するとなれば、費用の問題もあり、既存(中古)マンションでの実現は困難でしょうが、屋根を貸すだけならコトは簡単です。
管理組合の場合、工場・倉庫などを提供する企業単体と異なり、意思決定スピードが遅いうらみがありますが、先鞭をつける管理組合が現われれば普及に弾みがつくものです。
そのうち、太陽光発電パネルの載った既存マンションが続々とお目見えするかもしれません。
一方、新築マンションはマンションメーカーの意思ひとつで装備できますから、最近の動きを見ていると定番になりつつあります。普及はこちらが早いのでしょう。
ともあれ、新築、中古入り乱れてマンションの姿が変わり、街の景色が変わる、そんな日がそこまで来ているような気がします。
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