地震リスクが高いと言われている今、マンションを資産として持つべきかの疑問に答えて?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

多額の借金をしてマンションを購入しても、巨大地震が来て住めなくなったら元も子もないと考える人が少なくないようです。その背景には、「想定地震被害」が複数の機関から発表されて過度に恐怖を与えられているからでしょう。

●地震で怖い思いをした人がマンションを買っている?
「3.11地震のとき、古い賃貸マンションに住んでいて怖い思いをしたので、丈夫で安全な新しいマンションに住みたいと思った (震災をきっかけに耐震性の高い住まいに移ろうという気持ちが強くなった)」――これが購入動機になっている人は少なくありません。

ところが、中には冒頭のようなネガティブな考え方を持つ人もいるのは事実です。どれほどの揺れがあり、恐怖はどれほどのものであったか、本人しか分からないことですが、「古いから危ないのだ」とか「古いから耐震性が低いのではないか」などと、思ったのでしょう。

加えて、賃貸住宅なら建物が被害を受けても修理費を自分で負担する必要がないし、修復に関する決議でもめることもありません。転居すれば、たちまち解決するのですから。

●分譲マンションに住んで駄目なら賃貸住居ではもっと危ない
持ち家の場合、巨大地震の被害を受ければ自分で修復を図らなければなりません。その費用は、すべて自己負担です。マンションなら居住者全員の負担ですから、修繕積立金を取り崩し、足りなければ臨時徴収することが必要になります。

問題は、被害を受けることで持ち家の資産価値が低下することでしょう。資産価値を回復するには、大きな費用が要ることもあり得ます。折角の資産が大きく傷つくのは堪らないことです。それだったら、最初から持ち家など持たない方が良いというマイナス思考です。

確かに、巨大地震で資産価値が幾分なりとも傷つくのは覚悟しなければなりません。しかし、資産価値が大きく低下するほどの地震なら、命の危険を心配すべきレベルなのです。何故なら、新耐震基準で建てられた分譲マンションは、巨大地震でも理論上は倒壊・破壊しないことになっているからです。

賃貸住宅でも1981年以前の古いものでなければ、耐震性は変わりません。まして、分譲マンションの中の賃貸住居に住んだ場合、危険度は同じです。
揺れで家具が転倒したり家財が飛散したりして二次災害を受ける心配はありますが、これは賃貸住宅でも同じです。

持ち家マンションで賃貸マンションと大きく異なるのは、免震構造や制震構造の物件があること、各種防災用品を専用倉庫に備蓄していること、非常用発電装置や飲料水生成装置などの防災設備が用意されていること、いざというとき住人間で相互に助け合うことができそうなことなどでしょう。タワーマンション、あるいは大型マンションほど防災対策が充実しています。

こうした付加価値を持つマンションは、分譲でしか存在しないのは確かです。心配性な人は、免震構造か制震構造のマンション、防災性能の高いマンションを選択したらいいのです。

●賃貸 VS 購入―どっちがいいの?
そもそも、地震リスクのマイナスより持ち家に住むプラスの方が大きいとは言えないのでしょうか?改めて、賃貸住宅とマイホーム購入の違いを整理してみましょう。

よく週刊誌や新聞で「一生借家暮らしとマイホーム購入との比較論」が紹介されることがあります。比較の結論は書いていません。というより結論は出ないテーマなのです。ある意味で「人生観の問題」かもしれません。

ともあれ、その記事を先ずはかいつまんで紹介しましょう。

①50年間の住居費総額で比較すると・・・「賃貸でも購入でも出費は同程度」。
②リストラで職を失ったら・・・「精神的には賃貸の方がラク」
③転勤になったら・・「賃貸の方が対応しやすい」
④設備や内装を変えたくなったら・・・「購入は自由だが賃貸は不可」
⑤故障が起きたら・・・「購入は自己負担だが賃貸は大家さん負担」
⑥便利な最新設備を求めるなら・・・「購入はグレードが高い」
⑦大地震が起きたら・・・「購入は頑丈な建物、賃貸は気楽に転居」
⑧景気が悪い・・・「世の中の状況に左右されている間に年をとっては元も子もない」

結局、どちらも一長一短があり、どちらがいいとは書いていないのです。それでも購入を選択する人が多いのは何故でしょうか?「人生観の問題」と述べましたが、もう少し具体的な動機があると考えられます。

●購入決断のきっかけは?
では、次に持ち家購入のきっかけが何だったかを挙げてみましょう。

例)転職で家賃補助がなくなった。高い家賃を払うのが馬鹿馬鹿しいと思った
例)結婚を機に住まい探しをしていたが都心は高すぎる、買った方がトクと気付いた
例)娘の進学に当たり、合格した学校まで通学時間と混雑した電車通勤が心配だった
例)親から「男子たるもの家を持つのが当たり前」と言われた
例)家を買うのは自立の証しと思い、親を安心させたかった
例)親が資金援助してくれるというので
例)賃貸アパートの壁の薄さに肩身の狭い暮らしを強いられていたので
例)家賃の値上げで(賃貸の契約更新の際に更新料を要求されて)
例)おばあちゃん大好きの娘が祖母に泊っていけとねだるが、家が狭いので
例)子供が生まれたので、子育てに良い環境を求めて
例)子供が独立、広い一戸建てを持てあまして、マンションに住み替え
例)子供の小学校入学を機に
例)低金利だから
例)子育てママの仲間が購入すると聞いて
例)社宅の同僚が引っ越しするのに刺激を受け)
例)新聞の折り込みチラシを見てモデルルームを見学に行ったら欲しくなったetc.

これらがマイホーム購入のきっかけになっています。

●やっぱり一生借家暮らしというわけにはいかないのでは?
個人的な考えですが、やはり賃貸で一生暮らすというわけにはいかないのではないでしょうか? その理由はいくつもありますが、主なものを挙げてみましょう。

第1の理由は、「マイホームを買うのは、老後の安心を買うことに等しい」からです。
新入社員の間は老後のことを意識していないかもしれませんが、やがて職場で上司やOBの人たちの人生を自分に重ねるようになり、家は早めに手を打つべきと感じる瞬間に出会うのです。
「定年後しばらくは働くことができるだろうが、やがて無収入のときがやってくる。年金ももらえるだろうが、最低生活を維持できるかどうかというレベルだろう。とすれば、一番の出費である住居費を軽くしよう。そのためには、家賃の要らない生活設計を今のうちに準備しなくては」と考えるようになります。
定年を迎える頃、住宅ローンがほぼ完済に近い状態になっていれば、とても安心です。

第2の理由は、「賃貸住宅には快適に暮らす限界があるから」です。
狭いながらも、何とか快適な住まいにしたいと考えるのが普通です。インテリアグッズや隙間家具などによる工夫を始めます。
しかし、賃貸住宅では限界があります。壁に穴を開けたり、クローゼットを増設したりは勿論、便利で綺麗なシステムキッチンやバスルームに交換したいと思ってもほとんど不可能です。
勿論、家主の承諾が得られれば、できないことはないのですが、実行する人はまずいません。

第3の理由は、「マイホームは社会的信用につながる」という点です。
昔から、家を持つことは男子一生の仕事と言われてきましたが、家を持つと、世間の目は確かに変わります。会社でも、同僚や上司から頼もしい社員として見られ、家族や親戚からは、一家の長としての尊敬も集まります。

反対に、いつまでも賃貸暮らしを続けていれば、周囲からの信頼感は高まらないばかりか、下手すれば、家族から疎んじられかねません。
会社では「誰それがマンション買ったらしい」という噂話を聞いて刺激を受けたり、社宅住まいの人は、マイホームを手に入れて転居していく同僚を見送りながら負けじ魂に火が着いたりするのは、「信用」への願望とも言えます。

第4の理由は、住宅は資産にもなるという点にあります。
右肩上がりの経済が続いていた時代には、不動産の値上がりを信じる日本人が大多数でしたから、「資産にもなる」という言葉も、素直に賛意を得られたはずですが、バブル経済崩壊から20年を経て、不動産に対する見方はすっかり変わってしまいました。
住宅も不動産ですが、そこに資産価値を見出そうとする考え方は消滅したかに見えます。実はそうでもないのですが、話が難しくなるので、簡略化して説明しましょう。

30年か40年くらい先を想像して下さい。そのとき住宅ローンは完済しているという前提を置きます。例えば5千万円で買ったマンションを中古マンションとして売りに出したところ、2千万円の値がついたとしたとします。とすれば、その時点で、2千万円の資産を保有していることになります。1千万円でしか売れなかったとしても1千万円の資産保有者であることを意味します。
資産価値とは、もし売却したらいくらになるかという意味です。賃貸住宅では1円の資産も生み出してくれません。

緻密な計算はしないまでも、「いつか自分の物になるから」という動機で購入する人が今も健在であるのは、この「資産性」を念頭に置いている証拠なのです。

老後、もう住宅ローンの組めない年齢になったとする。当然、収入も少ない。そのとき、何らかの事情や理由で住み替えの必要が起こったとしましょう。そのとき、持ち家を売却すれば、別の住まいを容易に手に入れることが可能です。
それが、介護付きシルバーハウスの入居金かもしれないし、東京でなく、田舎暮らしの古い一軒家かもしれません。
都心のマンションを売って田舎暮らしの一軒家や、海辺の中古マンションを買うといった場合なら、資金の追加はたぶん不要です。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

★三井健太のマンション相談室は、分譲マンションの全てが分かるサイトです。

★新築も中古も物件検索はこちらが便利 ➔➔➔➔➔http://mituikenta.web.fc2.com/index2.html

★無料プレゼント!!新刊書籍「マンションのダメ間取りと名作間取り 特選50」
三井健太監修の「マンションのダメ間取りと名作間取り 特選50」が完成。本書(電子書籍)は、購入予定者がマンションの間取りの実態(欠点)を知って頂くとともに、様々な制約の中で工夫を凝らして実現させたディベロッパー各社の秀逸なプラン・名作間取りに触れて頂きながら、目を肥やして頂くことを狙いに編集したものです。
そこで得られた知識は、良い間取りを見極める目を養うとともに、カスタムビルドの間取りを自らつくるときに大いに役立つことでしょう。少なくとも、住んでから「ダメ間取り」に気付いて後悔しないための一助ともなるはずです。
お申込みは「三井健太の相談室http://mituikenta.web.fc2.com」からどうぞ