管理費の安いマンション選択の是非
- 2013.11.26
- マンションの資産価値
ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿していますが、今回は1日遅れてしまいました。
東京都内で管理費が飛び抜けて安いマンションの分譲事例に気付くときがあります。
首都圏の管理費の相場は住戸専有面積1㎡当たり200円強、70㎡の標準的な面積のマンションでは毎月14,000円ほどの管理費が必要となっていますが、ここで話題にする安い管理費とは、何と1㎡当たり95円と格安なのです。
この話は以前も書きましたので、今日は視点を変えて管理費を安く抑える方法についてご紹介しようと思います。併せて、そのようなマンションの問題点を考えてみることにします。
●管理費の使われ方
先ず、管理費の支出先を整理しておきましょう。管理費は、次のように使われます。
◆管理委託料(管理会社に支払う費用=委託業務費)
◆共用部分の水道光熱費 電気、水道、ガス使用料
◆共用部分の保険料
◆共用部分の維持管理費 公租公課、植栽費、備品費、通信費、インターネット維持管理費、◆電波障害対策費(マンション建設にあたって近隣住宅に対し保障したもの)
◆消耗品、器具備品費、経常的な補修費
◆管理組合の運用に要する費用・役員活動費
◆コミュニティ形成に要する費用(管理組合が居住者間のコミュニティ形成や、管理組合役員が地域の町内会に出席する際に支出する経費)
●管理委託料
上記一番目の「管理委託料」とは、言い換えると管理会社の収益となるもので、その内訳は主として次のように分解されます。
管理員業務費(管理人の給与)、日常清掃と定期清掃費、事務会計業務費(管理費の出納業務)、消防点検や建物点検費、貯水槽清掃費、エレベーター保守点検費などです。
これらの業務は、ほぼ毎日行われるもの(管理員業務費や日常清掃費)から月1回程度(事務会計業務とエレベーター点検業務)、年4回程度(定期清掃業務)、年1回(貯水槽点検業務)まで頻度はばらつきがあります。
●最も大きな支出は管理員人件費と清掃費
上記管理委託料の中で、最も多い経費はどれでしょうか?
いくつかの例を見ると、週5日以上で8時間勤務の管理態勢である場合は管理員人件費が最も高く、次いで日常の清掃費と事務会計業務費が多くなるようです。
その次には、エレベーターの保守点検費が来ます。
●管理費抑制のカギ
管理費を安くするには、費用負担の大きい「管理員人件費」、「日常の清掃費」、「事務会計業務費」、「エレベーターの保守点検費」を下げることが手っ取り早いことに気づきます。
先ず「管理員人件費」ですが、週5日8時間勤務とすべきところを、週5日4時間にすれば半分に減ります。巡回管理にしたら、ほぼゼロ円にできるのです。
「日常の清掃費」を安くするには、設計段階から清掃面積、すなわち共用部分の面積を増やさないようにすることが考えられます。
大型物件では、一般化した各種共用施設を最小限にすればよいのです。
手入れに費用が伴う植栽スペースも殆んどない、あっても手入れがほとんど要らない常緑樹を申し訳程度とすれば最小に抑えられます。
「事務会計費」は下げられません。これは、規模の大小に関わらず一定の作業量が必要だからです。
「エレベーターの保守点検費」はどうでしょうか? こちらは、例えば3基とすべき設計を2基にすることで、費用が3分の2にできます。清掃費用も僅かですが節約できます。
●管理費が安いマンションの問題点
もうお分かりのことと思いますが、管理費の安いマンションには二つの問題がありそうです。
ひとつは、管理人の勤務態勢が万全でないことです。ここでは詳しく述べませんが、管理人が午前中しかいないとか、巡回方式のマンションは長い間にどう変化していくのか、そこには悲観的な見方しかありません。
もう一つは、建物の質の問題です。装飾は何もなしでは価値あるマンションとは言えません。
ゲストルームやフィットネスジムはともかくも、キッズルームや集会室を兼ねたパーティルームなどは必要ですし、エントランスホールやロビーも誇りを感じられる広さやしつらえが欲しいはずです。
何よりエレベーターを減らすなどは避けたい部分です。
時間が経過するとともにマンションは劣化していきますが、価値が逆に上がる要素は植栽にあります。何百本、何千本という中・高木が成長すれば、生活者の目に優しく潤いを与える緑が増えるだけではなく、建物の古さをカバーし、美しい姿を留めるのです。
その計画がなおざりにされたマンションはいかがなものでしょうか?
管理費を安く抑えたマンションは、分譲価格も安いのが共通点です。購入予算を抑え、ランニングコストも抑えています。つまり買いやすいマンションというわけです。
マンション購入の条件に予算は欠かせません。良いものを安く買いたいというのが購入者心理ですが、安いが良いものではないという示唆を管理費の安いマンションは自ら与えています。このことに気付くべきです。
もちろん、それを知って割り切る選択もあることは否定しません。しかしながら、好ましくはありません。できたら避けたいものであることを知って欲しいのです。
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