駅直結マンション。価格の限界値

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

たまに売り出される駅直結マンション。その価値について考えてみました。

駅直結といっても、その形は複数です。

多いのは、ペデストリアンデッキで結ばれたものです。信号待ちなしでマンションの玄関まで辿り着ける絶好の条件です。しかも、ペデストリアンデッキには、屋根がかけられており、雨が降っても傘なしで駅まで行き来できるのが普通です。

ただし、横殴りの雨が降ると全く濡れずに移動できるわけではありません。

さらに、改札からマンションまで5分もかかる長いペデストリアンデッキ利用のケースもあります。

これだと、駅直結でなくとも、地下鉄の出口を地上へ出ると目の前に建つといったマンションの方が値打ちはあるかもしれません。

これに対し、駅から地下通路を含む完全閉鎖型の通路をつたってマンションの玄関に出られるものが見られます。このケースは、改札から2分とかからない近さを誇っているものが多いのです。

駅直結マンションは、上記のように程度の差はあっても価値あるものが多く、中には二度と得られないと思われる優れた条件の物件もあります。

●駅直結マンションの需要層

駅直結マンションの買い手で特筆できるのは、駅からバスや、徒歩でも15分以上の時間を要する立地の一戸建てに住むシニア層だそうです。

彼らは、子供が独立して以降、大きな一戸建てを持て余しているのでしょう。しかも、慣れているとはいえ、日々の買い物に行くにもバスを利用しなければならない不便さから脱出したいという動機が見られるようです。

邸宅街として有名なある駅で観察していると、レジ袋を提げた婦人が次々とタクシーに乗り込んでいます。タクシー代の負担をさほど感じない階層なのだろうと想像できます。

マイホームのためのローンは完済し、日ごろから便利な駅前マンションに住み替えたいと機会を窺っていたのかもしれません。駅直結と聞き、たまらなく魅力を感じて、ためらいなく購入を決め込む人たちです。

一戸建てからの住み替えシニア需要層は、郊外都市でもあるようで、これまでもJR立川やJR柏、JR武蔵浦和、京王線・調布、東急線・武蔵小杉、西武線・大泉学園といった駅直結・駅前マンションで顕在化したようです。

駅直結マンションは、その価値ゆえに同駅圏の一般マンションに比べれば飛び抜けて分譲価格も高いのですが、彼らには問題ない価格だったというわけです。

●価格が高過ぎるゆえの販売不振マンションも

23区内でも、都心・準都心で駅直結マンションは稀に誕生します。最近の例を思い出すと、東池袋、大崎、京急蒲田、月島、勝どきといった立地です。

価値が高いにも関わらず、売主は自信たっぷりの販売姿勢を見せます。そして、多くの駅直結マンションは成功裏に終わります。

ところが、稀に完売まで時間のかかる例も見られます。その原因を調べてみると、多くは「価格の高さが度を越している」ことに気付きます。

単価が高いので、面積次第では億を超える総額となる住戸が多数誕生します。価格が高ければ高いほど購入可能な買い手の数が少なくなります。この数が売り手の予測(思惑)と違ったわけです。

「この地でこの価格(例えば150㎡で1億5千万円)の住戸に手が届く買い手は、あっても3人くらいだろう。そこに10戸の億ションを設けたら何年も売れずに残る億ションがあって当然」?――筆者の判断では、そう思うケースもあるのです。

稀少価値の高い駅直結マンションといえども、東京中から多数の買い手を動員できる立地と限られたエリアの中から僅かな数しか動員できない立地のマンションと分かれます。その差が販売結果に表われた事例です。

駅直結マンションは、例外なくタワー型になっており、眺望価値の特に優れた上層階を「プレミアム住戸」と名付けて室内のスペックも特別なものとし、特別な価格で販売します。

プレミアム住戸を購入する階層は、下層階との価格比較など一切しないか、したとしても「高い」ことにむしろ満足感を持つような傾向があります。プレミアム住戸は、単価も平均を大きく上回るうえに、面積も特別なので総額も特別な価格となっています。

しかし、そのような買い手の数は限られます。いずれのケースも、売り出し戸数に対する需要量が十分でなかったために売れ残ったと言えます。

●価値に見合う価格なのかが問題

多くの駅直結マンションは、周囲の競合マンションに対し圧倒的な価値の差をつけているので、プレミアム住戸以外の価格も別格の高さになって当然と言えます。しかし、中には「高過ぎる」と感じるものもあります。

それでも完売に長い時間を要することなく売れてしまうことがあります。

駅直結に限らないのですが、新築マンションの販売時は、ともすると実質の価値を超える価格であっても売れてしまうことがあるのです。 顧客動員を一定期間に集中させることによって「熱気」と「顧客同士の競争ムード」を演出するためです。

人間の心理には、「大勢の人が支持するものを良いものと思い込む」傾向があります。そこに「買いたい熱気」が加わると、我を忘れてしまう買い手もあるものです。人気の駅直結マンションは、モデルルームが熱気に包まれており、その雰囲気は独特です。

そのような販売現場にいて、抽選になりそうと聞くと、ますます購買意欲に火が着きます。

こうして、売り手の巧妙な販売戦略に乗せられた多くの買い手が購入意思を表し、抽選に臨むというわけです。

しかし、人気の駅直結マンションも中古マンションとなったとき、期待はずれの価格になってしまうことがあります。売り出し価格を高くしても、直ぐには買い手が決まらず、やがて価格は下方圧力がかかります。

新築マンションのような大々的なキャンペーンも行われることなく、言わば、その他大勢のマンションと同じ店頭で同じ高さの棚に並んだ駅直結マンションは、買い手の冷徹な比較の結果から得られる「適正」な価格に落ちつくものです。 

勿論、稀少価値が高いので周辺の普通のマンションに大きな差をつけることでしょう。ただ、購入価格からの変動率という視点では、予想外ということがあるのです。

そうなるのは、ほかでもない、購入価格そのものが価値以上に値付けされていたからです。

分譲価格が実質価値の何割高までが適正なのか、それを判定する法則はないのですが、あまりにも高い、そんな印象を受ける物件もあるのは事実です。

ともあれ、価格の高さをどこまで許容するか、高値を受け入れられる限度はどのあたりか、その検証は必須です。

まあ、それでも「期待し過ぎ」を自制しておけば売却時に失望はしないでしょう。駅直結マンションは、得難い価値を持つものです。築年数を重ねて行っても、その希少価値が陰ることはないからです。

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