ローン控除の恩恵を享受できない中古マンション

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

ご存知の住宅ローン控除。毎年12月末のローン残高の1%、かつ40万円以内を所得税・住民税から控除して還付してくれるという、しかも10年間も続くのですから、まことに結構な制度です。

しかし、これには条件があります。そのひとつが築年数です。中古マンションを検討するに当たっては、ここに注意しなければなりません。

●築25年の中古マンションと築15年の中古マンション

築年数要件は、「25年以内」となっているからです。つまり、築年数が25年を超えると控除対象から外れるのです。

購入時に築20年であっても、控除期間の10年以内に25年を超えてしまうので、フルに利用できないというわけです。

築15年以下の物件をローン利用で買った場合はフルに10年減税を使えるので、住宅ローン控除の視点だけで言うなら、築年数15年未満の物件を検討する方が得策です。

●住宅ローン控除はマイナス金利のローンを利用するようなもの

超低金利が続いています。多くの金融機関が0.7%とか0.6%といった金利で融資してくれる現在、頭金の多い人の中には、敢えてそれを減らしてローンを増やし、浮いた手持ち資金を運用に回すという人もあるのだそうです。

所得税の還付を加えると実質的なマイナス金利になるからです。

例えば、3000万円のローンを0.7%の金利で利用しようとしている人の年末残高が2900万円だと仮定し、1%に相当する29万円の還付を受けられるとすると、年間の金利21万円未満(毎月の元本は3000万円から少しずつ減る)と差し引きすれば、初年度金利はマイナス8万円から9万円くらいになるというわけです。

こんなことは歴史上かつてなかったことです。

●ローン減税は時限立法だが

所得税の納付額は個人によって異なるので、ローンを4000万円以上利用したとしても、全ての人が限度額40万円の還付金を受け取れるわけではありませんが、所得すなわち納めている税金の額によっては、そっくり還付されることもあるのですから、大いに利用した方が良いでしょう。

ついでに言えば、この制度は時限立法だけに制度がいつなくなるか分かりませんし、なくならないにしても圧縮されたり増えたりと景気次第で変更になるので、過去最大の枠がある現在、これを利用しない手はありません。

●本末転倒にならないように!

さて、冒頭に戻って話を続けましょう。住宅ローン控除をフルに利用したいから築15年未満の物件を探すのが得だとしても、そう都合よく欲しい物件が現れてくれるかは分かりません。

中古マンション探しを続けている人が同じように動いたら、築15年未満の物件に人気が集中してしまい、ますます見つけにくいことになるかもしれません。

一般に築浅物件を求める人が多い傾向があって、築10年未満の物件は慢性的に品薄状態なのです。10年未満でインターネット検索しても中々ないなと感じれば15年に範囲を広げるはずです。

価格は需要と供給の関係で決まるので、新築志向が強い日本人の感覚では築年数の浅いものより古いものほど需要が薄くなって安くなる傾向があります。

仮に、住宅ローン控除がフルに受けられない年数であったとしても、発想を転換して最初から築20年以上の物件を探したら案外お買い得な物件と縁がつながるかもしれません。

築15年と築16年ではローン控除の額が40万円違っても、お買い得分が100万円も200万円もあるかもしれないのです。

今日この話をしたのは、住宅ローン控除に限らず、細かなことにこだわり過ぎて大事なことを見落してしまいそうになる人のクセに注意して欲しかったからです

マンションには理想的なものなど一つもないと言って過言ではありません。様々な条件がある中で優先するものは何か、場合によって妥協してもいい条件はどれか、初めから捨てざるを得ないのは何かといったことを念頭から外さずに検討することが大事です。

「木を見て森を見ず」に陥らないようにしたいものです。

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