新築マンション大幅減少。選択肢は中古に広がる
- 2015.10.11
- マンションの資産価値
ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
マンションの資産価値に影響を与えるファクターを調べていると、そこには市況の変化が大きく作用することが分かります。
建物は経年で劣化して行くのに、中古マンションの価格は新築であれ中古であれ、購入時から値上がりする例は少なくありません。
地域格差や、管理状態、物件規模、立地条件などが価格(資産価値)に影響するのですが、このうち一番の影響力を持つのが立地です。
それ以上に大きいのが「市況」なのです。今日は、マンション市場にスポットを当てて資産価値との関係をお話ししたいと思います。
●市況で変わる価格
地域相場が大きく上昇して、地域内の中古物件がみんな値上がりして喜ぶことができる時期というのがあります。特定の人気地域に留まらず東京圏全体に値上がりが拡大し、多くのマンションが高値で売れる、今はそんな時期に当たっています。
しかし、、購入時が価格上昇期のピークだったために、期待外れの価格で終わったという人もあるのです。
この先、東京五輪の後にはマンション価格は下落すると予想する向きが多いのですが、そのころに売却をしようとすれば、購入額を大きく下回る売値になり失望することになるかもしれません。
安いとき(相場下落期)に買って、相場の上昇期に売る、株の世界で言えば「底で買い天井で売る」のが理想的なタイミングでの売買と言えます。しかし、現実は価格の高騰期に買い、次の低迷期(下落期)に売るという悪いタイミングでの売買になってしまう人も少なくないのです。
自宅マンションの売買の時期はライフステージと密接な関係があるからであって、株式売買とは根本的に違うのですから仕方ないとも言えます。
購入を検討しているという方からの依頼で、中古物件の評価を出すために調査してみると、所有者には失礼な言い方ですが、10年を経て購入価格から10%以上も高値になってしまったのは、物件が特別に優良なわけではなく市況のおかげなのだと分析するほかないケースが今は多数です。
●需要と供給の関係
住んでみたい街・駅ランキングで毎年上位にランクされる高い人気を誇る街では、新築マンションの開発が難しく、たまに出ても国道沿いであったり駅から15分も歩くような立地であったりで、条件の良い物件が殆ど出ないため、これが中古相場の下支えになっています。
更には、中古の売り物が出ても1DK、2DKといったコンパクトタイプしかなく、駅近のファミリータイプは1か月に1件出て来るかどうかというほど貴重なものと化し、そのために築後20年を経ても、新築(条件が良いとは言えない)物件の価格と変わらない高値で買い手が付いてしまうのです。
モノの価値は需要と供給の関係で決まって来ます。その時々の需給バランスで変動はあるものの、マンションも同様です。
人気のあるエリア・駅・街には多くの需要があり、対して新規供給がなく、住みたい街から出て行く人は少ないので中古の売りも少ない、すなわち中古の供給も少ないので、価格は下がりにくいという構図ができあがるのです。
以上から言えるのは、良い立地を選択することと、可能な限り都合の良い市況下で売買することがマンションで儲ける(損しない)秘訣ということになるのです。
●今後、中古は値下がりしにくなる?
さて、ここにマクロ的なファクターを入れて再度考えてみると、重要なことが分かってきます。
それは「新築の供給がないために中古の相場が下支えされる」というくだりに関連してです。
マクロ的という意味は、人気の街・駅に留まらず、東京圏全般で中古相場が下がりにくい状況が出て来そうだという話です。全般と言っても、例外的な地域もあるのですが、大まかには全体的にと言って過言ではありません。
勿論、相場の上昇や下落の局面での上下動はあるのですが、長期的に見れば値下がりしにくいことになって来そうです。その理由は、こうです。
新築マンションの供給戸数の推移を見てみると、今から10年ほど前の供給戸数と最近4~5年のそれとを比べて大きな変化が見られるからです。
東京23区を例に取ってデータを見てみましょう。各年の戸数は新築マンションの発売戸数です。
2004年:39,147戸、2005年:31,025戸(2年間の平均で35,086戸。2003年以前も年30,000戸以上)でしたが、2011年:19,410戸、2012年:19,398戸、2013年:28,340戸、2014年:20,774戸と4年間の平均は21,980戸でした。
これはどのような意味を持つのでしょうか?
10年ほど前に新築マンションを購入した人の全てが、現在買い替えのために売りに出しているわけではありませんが、潜在的な売却量では年間35,000戸となり、最近購入した人の10年先は21,000戸しかないと言えるわけです。約37%も減ってしまうことになります。
つまり、仮にこのまま新築マンションの供給量が停滞すれば、やがて中古物件の流通量も大幅に少なくなると予測できるわけです。
新築マンションの供給が少なければ溢れた需要はおのずと中古マンションへ向かいます。しかし、その中古の流通量も減れば、中古の人気が高まり、地域差はあるでしょうが、これまでの常識では理解できない高値の売買が成立したりもしますし、全体的に価格が上方に振れやすくなるはずです。
新築マンションの供給は低迷が続くでしょうか? 詳細は次の機会で解説しますが、首都圏全体で見ても、ピーク時の半減で推移しそうです。
(平成年代に入ってから80,000戸も90,000戸も販売されたこともありましたが、最近は50,000戸にも届かないのです。ちなみに、昨年は44,914戸)
供給はともかく、需要はどうでしょうか? これまでと同じようなボリュームで推移するのでしょうか?
この点も機会を改めて詳述しなければなりませんが、30年以上先を展望したときは人口の減少によって当然に需要は減ると見なければならないでしょうが、20年先くらいまでなら大きな需要減少はないと考えています。
よしんば減ると見ても、都心に近いエリアほど減る可能性は低いと見てよいでしょう。
●物件選びは慎重に
今日述べたことは、新築マンションの品数が少なくなるので中古マンションが注目される時代が来たこと、その中古すら流通量が増えないこと、従って中古の売却価格は底上げされそうだということでした。
とはいえ、中古同士の比較の中で優劣・価格差が生まれることは変わりないのです。もっと長い目で見れば、人口の減少、需要の減退が起こり、結果的に物件格差が広がってしまう危険もあるのです。
買ったマンションが値下がりしにくいと聞けば楽観的な気分にもなりそうですが、やはり固有の条件をよく吟味して、より価値あるマンションを選択したいものです。
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