(5/20 その1)第629回 3つの間違い「安さを求める・20年以降は値下がりする・共用施設は無駄」を糾す

このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。今日は2本投稿しています。

 

新築のマンションも、連動する中古マンションも高い。こういうときは、様々な観測や両極端な意見が飛び交って買い手を混乱に陥れるものです。

 

新築志向の強い日本国民は、つい新築に目を向けがちで、その広告戦略と営業戦略、営業テクニックにはまってしまうことも多いようです。

 

売れ残りマンションでは、いろいろな口実(大義名分)、つまり言い訳をしつつ値引き販売が横行しています。つまり、「キャンペーン価格で今月限り〇〇〇万円安くなります」などと言いながら何とか客の関心を引こうとしたりします。「キャンセル住戸。眺望の良い住戸につき、急いで検討の要あり」という案内があったりもします。

 

本音は「高くて売れないので〇〇〇万円ひきます」なのです。販売事務所(マンションギャラリー)に行ってみると、紹介された住戸は条件の悪い住戸で、値引きしても買う意欲が湧いてこなかったりします。良い条件の住戸は高過ぎたりします。

どれを検討しても、何かしら問題がある物件ばかりで、悩ましいものが多いのですが、そんな中で惑わされないための3つの要件についてお話しします。

 

(1)安いマンションは損をする

今は高い時期なので、手が出ない人が「安さ」に惹かれ、後先考えずに条件の悪い安値の住戸に飛びつく傾向が見られます。

 

経済原則から言えば、安いというのは「お買い得」ではなく、条件が劣るから安いのです。客寄せパンダふうに特別に安くするという住戸もあるのは確かですが、対象にする住戸は最も条件の悪い住戸ですから注意が必要です。

 

条件の悪い住戸でも安く買えれば、リセール価格が高くなくても、損失は少ないのではないかと考える人もありますが、非常に疑問です。

 

安いという基準は、他の住戸との比較に過ぎません。その住戸の価格が価値に見合うものかは分からないはずです。よしんば、明らかに割安だとしても、条件の悪い住戸は、リセールにおいて一段と低くなることがあります。

 

分かりやすく言うと、100で買ったマンションが150になり、80で買ったマンションが60になるのが普通に起こります。それに気づくのは10年先だから始末が悪い。

 

(2)「20年以降は値下がりする」は間違っている?

東京オリンピック後にマンション価格は暴落するなどといった評論家やブロガーさんがいるそうですが、どんな根拠でそう語っているのか聞いてみたいものです。その可能性は低いと筆者は考えるからです。価格は下がらない、下がっても5%だと言い続けて来た筆者には理解はできても、素直に賛同はできないのです。

 

新築が下がらなければ中古も下がらない。そう思って前向きに検討しましょう。待っても良いことはないのです。

 

家は買いたい時、買わなければならない時に、都合よく安値である確率は低いのかもしれません。

ライフステージと購入時期とは無関係ではありません。結婚、子育て、転勤、定年、子供の独立などとマイホームの購入や売却は密接に関わっています。

 

高度成長期に社会に出た人、バブル期に就職した人、バブル後のデフレ時代に少年期にあった人、高金利時代にマイホームを買った人、バブル時代に郊外で買うしかなった人、低金利のローンでマイホームを買えた人、バブル後に都区内でマンションを買えた人など、例を挙げればキリはないですが、それぞれの人生は経済や社会構造の変化など、時代背景によって良くも悪くも影響を受けるのです。

人生のイベントの中でマイホーム購入は重みあるものですが、タイミングが悪いとしても、それを不運と嘆いたり恨んだりしても仕方ないことです。つまり、5年前に買っていたらなどと考えても、死んだ子の年を数えるようなものなのです。

 

過去には、高値で買ってしまったために売るに売れず苦しんだ人もあったでしょう。売れた場合も、その損失額が半端なものではなかったという人もあるはずです。

 

しかし、経済的には損失だったとしても、そこに住んでいた時間の幸福は、大きな「精神的利益」を得て余りあったはずです。

幸福はお金で買えるものばかりではありません。また、幸福をお金に換算することはできないと思います。そこに住んで得られる幸福感や、住まいの満足感を「使用価値」としましょう。「使用価値」は、個人の価値観や家族の事情などによって幅があるもの、その大きさは他人には測り知れないものがあります。

つまり、場所を含め、快適な暮らしができそうなマンションであるなら、どんなに高額であっても、また値下がりして経済的な損失を被っても、その決断は間違いでないことが多いのです。

 

考えるほど混乱するばかりという人も見られます。また、急がないとますます高くなるという焦りが先走り、現場の営業マンの口車に乗せられてしまう人もあるようです。

こんなときは、「買い時はいつか」を考えない方が良いかもしれません。買い時は貴方にとって常に“今”だからです。

見学したとき、この場所、このマンションに住みたいと感じた、その気分を大事にすることですね。

「買いたい」そう思ったときが買い時というわけです。そう考えれば後悔せずに済むことでしょう。

 

(3)共用施設:無駄ではない

「ホームパーティが開ける家が夢でしたが現実は厳しいと知って、共用施設を利用できる大規模タワーマンションを買いました。親兄弟を呼んで年1回はパーティを開いています」・・・という声があります。

 

無駄な共用施設と語る人たちは、共用施設の豊富なマンションに住んだ経験から「要らない」と言っているわけでもないように思います。

 

読者のみなさんは、タワーに限らず大規模とされるマンションに付帯する様々な共用施設の存在をご存知と思います。

 

具体的には、エントランスラウンジ、キッズルームのほか、ゲストルームやフィットネスルーム、スタディルーム、パーティールームなどが挙げられます。中には、プールまで設けているマンションもあります。

これら室内施設以外に、野天のプライベートガーデン、プラザ、遊歩道、ジョギングロード、サイクルロードといったものが設けられているマンションも少なくありません。

 

共用施設は物珍しさもあって、利用に当たっては当初、順番待ちを余儀なくされたりします。ところが、時間の経過とともに利用者が減り、無用の長物と化した施設もあると聞いたこともあります。

マンションの共用施設はどこまで必要なのか。維持管理の費用もかかることだし、資産価値の観点から見て、果たしてどこまで貢献するのだろうか?そんな疑問を今も持っている人が多いのでしょう。魅力的と思っていない人も多いのは事実です。しかし、それは「食わず嫌い」なのかもしれません。

 

共用施設がたっぷりのマンションを賞賛し、共用施設がないマンションを誹謗するわけではありませんが、マンション選びは共用施設が多いか少ないかを優先条件にするものではないと考えます。条件に合う立地、その他の条件も気に入ったが共用施設が多いからで止めてしまうのは勿体ないと思うのです。

 

住んでみたら分かると思いますが、あると便利と思う施設やスペースが設定されており、無用の長物になったという話は減っているからです。デベロッパーも管理会社も経験を重ねて来たので、余分なものが何かは知っているのです。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

 

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