第678回 新築市場;消費税上げ前の駆け込み需要はあった?/中古市場;活発が続く!

このブログでは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論」を展開しております。

10日おきの更新になりました。引き続きご愛読賜りますようお願い申しあげます。(次回は4月30日です)

こちらのブログと5日おき、交互にアップしています 。(https://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/author/mituikenta/

毎月のマンション市場のデータに注目している筆者ですが、3月は少し変動が見られました。

それは、新築マンションの契約率が少し高くなったことです。

●契約率について

消費税の増税緩和策のひとつに、住宅の建設・購買が10月以降になる(引き渡しが消費税上げ後・2019年10月1日以降)の場合でも、3月中に契約すれば消費税は8%のままでいいということになっていました。

 新聞によれば、前回の増税時には同様の措置の結果、多数の「駆け込み需要」が発生しましたが、今回は駆け込み需要が殆ど見られないそうです。その根拠は、3月の初月契約率が70%に達しなかったからと解説していました。

筆者の調べでは72.2%なので、こちらが正しいとすれば駆け込み需要は少しあったのかもしれません。ちなみに、1月は67.5%。2月は65.5%でした。(原データ出典は不動産研究所)

初月契約率とは、その月の1日から月末まで新規に募集した(発売した)マンションが当月末日までに何%契約になったかを示すもので、売れ行き(立ち上がりの人気度)を表すひとつの指標ですが、好調か否かのボーダーラインを70%と見なすことが業界では定着しています。

80%を超えると絶好調、50%は大不振などと言います。その分かれ目が70%というわけで、2019年3月は、わずかながら70%を上回りました。

ちなみに、2018年の1年間、12回の初月契約率は一度も70%を超えたことがなく、平均も62%と低迷した1年でした。

このようなデータを見て行くと、消費税上げ前に買ってしまう動き「駆け込み需要」は僅かながらあったものと判断して良いのでしょう。しかし、目覚ましいものではなく、微妙な動きでした。

政府の対策として、10月1日以降は消費税を上げる代わりに住宅ローン控除を3年延長(10年から13年に)する、つまり実質的にはさほど変わらない(増税分が戻って来る)措置も同時に打ち出したことが効いたのでしょうか?

●中古市場の動きは活発

消費税は、中古物件には課税されない(法人売主物件を除く)ので、消費税上げの影響は無関係のはずですが、こちらの動きをチェックしてみましょう。

REINS(東日本不動産流通機構)の発表によれば、「首都圏の成約件数は 4,117 件と前年比で 7.8%増加し、3 ヶ月連続で前年同月を上回り、1990 年5 月の機構発足以降、過去最高の4000件を超えた。成約㎡単価は前年比で 3.6%上昇、成約価格も同 3.6%上昇し、ともに 2 月に続いて前年同月を上回った」とあります。

(首都圏の成約状況)

2018年・3月:3819件、4月:3237件、5月:2785件、6月:3317件、7月:3139件、8月:2303件、9月:3244件、10月:3096件、11月:3225件、12月:2987件、2019年1月:2667件、2月:3484件、3月:4117件

(首都圏の成約㎡単価)

2018年・3月:52万円、4月:52万円、5月:51万円、6月:52万円、7月:52万円、8月:52万円、9月:51万円、10月:51万円、11月:51万円、12月:52万円、2019年1月:51万円、2月:53万円、3月:54万円

(首都圏の新規登録件数)

注目すべき点は、新規の登録件数は毎月増え続けているものの、成約件数の伸びは登録件数ほどでないことです。

また、成約価格は単価も1戸当たりの金額もともに上昇していることにも注意しなければなりません。

2018年・3月:18,325件、4月:17,704件、5月:16,877件、6月:17,477件、7月:17,242件、8月:15,768件、9月:317,323件、10月:18,008件、11月:17,716件、12月:16,064件、2019年1月:18,479件、2月:17,677件、3月:18,451件

(首都圏の価格推移=㎡単価)

こちらは、グラフでお見せしますが、価格上昇は新築同様の傾向が明白です。

●今後はどうなる?

新築については、こちらの記事 https://www.sumu-log.com/archives/14805/

をご覧いただくとして、中古物件について要点のみ付け加えておきましょう。

①中古マンションの価格は全体的に上昇トレンドが止まらないと考えます。

新築価格が全般的には頭打ちになりつつありますが、高いマンションを嫌って中古探しをする人が増える傾向は変わらないこと、価格は新築より安いのが一般的であるから、その中で良いものを探そうとする動きは活発です。新築マンションの数が少ないことも背景にあります。中古価格の上昇傾向はもうしばらく続くでしょう。

②東京都心では、強気な売り出し傾向が続くことでしょう

都心の高額マンションの中には強気な(高値の)売り出しが目立っています。別の記事で書いたので詳細はそちらをご覧いただくとして、相場の上昇に便乗した欲張り行動と見ています。

こちら::https://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/11417/

都心部の価格上昇には成約ベースで見るとさすがにブレーキがかかり出したようにも見えますが(データ省略)、購入に当たっては高値過ぎないかをよく調べることが大事です。

③足が早いのが中古マンション。素早く結論を下すことができるかがカギ

 過去、何千人とご相談を受けて来た筆者ですが、思い出すと、非常によく勉強なさっていた人、聞きかじりの知識のためか誤解が多く判断を狂わせていた人、多忙のためにあまり勉強していないため五里霧中の人など、大きく分ければ3タイプになるでしょうか?

勉強なさっている人でも、念のためにと、あまりよく分かっていない人・誤解だらけの人は混迷を深めてしまったので第三者の意見を聞きたいと筆者を訪ねて来られました。

最近2年くらいは、中古物件も多く、スピーディに答えを出す必要に迫られてのアプローチが増え、筆者は殺人的なスケジュールをこなす日々を送っています。人気の中古は、もたもたしていると他の買い手さんにさらわれてしまうので、注意しなければなりません。営業担当からも、急がされる場面も増えているようです。

そうかと言って、付け焼刃の勉強では間に合いません。時間がある人でも、インターネットや書籍の読み込みでは、かえって遠回りをしてしまうかもしれません。正しくない情報・知識も氾濫している時代です。

営業マンに聞いても腑に落ちる説明は期待できません。肝心のことは黙っていたり、分かっていなかったりで、当てにできないとも聞きます。早い話が筆者のようの者を探して、客観的な答えを求めましょう。少なくとも、第三者の意見を参考にしましょう。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。(http://www.syuppanservice.com

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https://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/author/mituikenta/

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