郊外マンションを選ぶ人

「マンションは利便性」という常識に逆らうような郊外マンション。こうした物件を選ぶ人はどんな基準で選ぶのだろうか?
1.都心からは遠いが、現住所からは近い。つまり、現状と利便性は変わらないからである。郊外でマンション開発をする事業者は、周辺の、いわゆる地元需要を狙っていることになる。
2.勤務先が都心にあるわけでないから、そもそも不便ではない。自分にとっては便利なのだ。こうした顧客も地元需要の部類に入るのである。現住所は別のところにあったとしても、その郊外マンションに住むことは勤務先に近くなる条件を備えているのかもしれない。
3.現住所より通勤時間が長くなるが、その代わりに別の魅力を手に入れることができるから。別の魅力とは、自然環境の良さである。例えば、子供の健康問題を抱えている家庭。問題とまでは言えないが、子育てに自然環境は重要だからと考える家庭。また、都心では困難な住戸の広さが手に入る。平日は都心の最先端ビジネス環境や都会の文化に触れ、週末は山や川や空気などの自然界を堪能するという2つの生活を味わいたいからという人生観が郊外マンションを選んだ理由だという人もいる。

 利便性より、自然環境や住戸の広さなどを魅力として選択した場合、もし、それが子育てのためだったとしたら、子育てが終わるとどうなるのか。余計なお世話だが、その先が心配になる。通勤は痛勤になる。会社での地位が上がり、責任の重い立場になる。付き合いも増える。帰宅が深夜になり、若いときよりも辛さを感じることだろう。
 子供が大きくなって都心の高校に通いたいというとき、受験できる対象が狭くなってしまうかもしれない。
 購入してから10年くらい経てば、きっと買い替えたいと思うようになる。さて、そのとき、首尾よく売却できるだろうか。郊外マンションには、不利な場合が多い。このことも、よく考えて選ぶ必要がある

今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。  三井健太
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