ブランドマンションの安心感・中古マンションの安心感

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンションという商品を買うにあたり、品質を心配する人は少なくないと思います。一般の耐久消費財(家具や家電)と違って、見た目だけでは品質への安心感を持ちにくいためです。

ガスコンロや風呂、トイレ、洗面台、エアコン、床暖房といった住設機器は新築なら家電製品と同じようなもので、メーカーの保証が付くので万一の場合も困るようなことはあるまいと思うことでしょう。

しかし、コンクリートはどうなのか。地震に強いか?液状化が起こったら?耐久性はどうか?雨漏りしたら? バルコニーや壁にひび割れができたら?

隣の家から音漏れがする、上階の居住者がうるさいといった現アパートの不愉快さが分譲マンションでは起こらないのか、管理費や修繕積立金の値上げで苦しむことはないのか。

中古マンションの場合では、保証が何もないケースが少なくありません。また、古いマンションほど耐久性や耐震性に不安を感じても不思議ではありません。

このような疑問や心配は、個人差があるとはいえ購入者の多くが購入時に悩みますが、どうにかして不安と疑問を克服しています。みなさん、一体どのようにして品質に関して不安と疑問を消し去っているのでしょうか。

●新築マンションの安心感はブランド力から得る

新築マンションの場合、その多くが未完成の状態で売買契約が結ばれて行きます。モデルルームとパンフレットと模型・CG映像などから購入する部屋をイメージして買うわけです。

そのイメージと完成後の実物との間にギャップがあったとしても、購入を止めてしまいたいほどの差異を感じるケースは多くありません。

分譲主は、様々な方法・ツールを用いてイメージギャップを埋めつつ安心感を買い手にもってもらうべく販売努力を行うのです。

その努力の中には、売り手の信用度やブランドイメージという、長年積み重ねて来たものもあります。過去の実績と経験の長さが信用とブランド価値を高め、販売ツールと営業員の懇切丁寧な説明をもって安心感を買い手に植え付けていくのです。

納得と安心感がなければ買い手は購入という決断に踏み切れません。住宅ローンの返済を35年も続けて行くことの不安や通勤など場所に関するものは別問題ですが、少なくとも建物品質に関しては売主の信用力・ブランドなどによって担保されます。

●中古マンションの安心感は何から?

これに対して中古マンションを購入するときの安心感はどこからもたらされるのでしょうか?

新築マンションと異なり、建物を想像して買うことはありません。出来上がったものを、手に取って買うことができるのですから。

しかし、中古マンションの販売資料を見ると、新築のように整備されていないケースが多いのに驚かされます。仲介業者に依頼すれば、大抵のものは取り寄せてくれますが、存在しないものもあります。また、頼まなければ何も出て来ないのです。初めての買い手は何を質問すればよいかも分からないのに、何と不親切なことでしょう。

また、聞いても的確な答えが返って来ないことも多いようです。新築の営業マンは特定の物件のエキスパートなので商品知識は万全ですが、仲介業者の場合は複数の物件を一人で担当するためという営業体制の差もあるのですが、頼りない感じがして仕方ないと語る買い手も多いようです。

営業マンに言わせると「中古取引は見たままですから」だそうで、「眺望も室内の広さも設備の状態も、また共用部もみんな見えるでしょ。内覧で全部分かるはずですよ」と。
こんな乱暴な本音を聞いてしまうと筆者なら怒ってしまいそうです。

賢明な読者は違うと思いますが、それでも中古マンションの場合、見るだけで安心してしまうようです。清掃が行き届いていれば「管理状態が良さそうだ」となり、室内が綺麗であったり、眺望が良かったりすると「すぐにでも住みたい」となり、「耐久性・耐震性」などには関心を払いません。

見た目が良ければ、結露の問題が見逃され、直貼りの床構造も気づかない人もあります。
築30年を優に超えているのに、地震は大丈夫か、あと何年住めるかに不安を覚えない人も少なくないのです。

何故でしょうか?ブランドでしょうか?それも一部にありますが、そうではないのです。

そこに30年以上もどっかりと立ち続けていたという事実、そこに長年、人が住み生活を営んで来たという事実、それが安心感を生むのです。築40年を超えた旧耐震基準の建物であっても、そこを気にせず「安さ」に惹かれて買ってしまう人も大勢います。

不安を感じない理由は、建物のキャリアにあるのだと思います。

●新築マンションの品質で気を付けることはあるか?

品質の差はあっても、暮らしを不快な気分にさせるほどの粗悪なマンションはないと言って過言ではありません。規格型の大量生産品であっても、住み心地が著しく良くないというマンションは少ないものです。

モデルルームと断面図で確認し、かつ住宅性能評価書でグレードを確認して中級品と知って、またノンブランドと知って納得づくで購入したとすれば、完成したマンションに不満も不安もないでしょう。

しかし、それでも気を付けたい部分があります。図面を見慣れていない人は見落とす箇所があるからです。

このブログで何度か指摘した項目ですが、例えば、3基あった方がよいエレベーターを2基に減らしているとか、ラウンジやロビーを狭くしてその分の面積を住戸に充てて価格をわずかでも下げるといったコストダウンマンションもあるのです。

つまり、利便性・居住性に支障がない程度に品質を落とす、豪華さや贅沢を排除する、素材や設備を高級品から中級品にするといった方法が主体ではあるのですが・・・具体的には、本ブログで人気の高い記事でもある「アルコーブのないマンションに注意」と「15階建てマンションに注意」、そして「直床構造の何が問題?」などで指摘した問題マンションです。

他にも、ホームページやパンフレットでは見えない、または見落してしまいそうなところでコストダウンを図った例も少なくありません。

例えば、「タイル貼りと謳いながら、張る面積は最小限である」などが最たるものです。他にも、「排水管の遮音性に配慮」と書きながら、専門家が見ればC級グレードの対策に過ぎないといった例もあります。

万全を期すなら、チェック項目は少なくありません。

●中古マンションで気を付けること

中古マンションでも新築同様に、目に見えない部分を調べることが大事ですが、目に見えるものの中では、管理の良し悪しが一番重要なチェックポイントです。

しかしながら、管理の良し悪しは、ぱっと見て分かるようなことでもないので、少し説明を加えます。

◆「整理・整頓・清掃状態」はどうか?
多言を要しない問題ですが、床が綺麗に磨かれているというだけでなく、集合郵便受けの周囲にごみが落ちていないか、ゴミステーションはきちんと分別され整頓ができているか、自転車が指定通りに置かれているか、植栽周りの落ち葉などが片付いているか、掲示板の張り紙がめくれていたりしていないかといった点検は内覧時でも可能です。

◆「管理費の滞納」はないか?
管理費を滞納する人には、のっぴきならない事情があると考えられますが、ルールはルールなので納めてもらうことが不可欠です。
管理費の滞納者が多ければ多いほど管理費が不足し、日常管理はおぼつかなくなります。管理会社は、清掃回数を少なくするなどの対策を提案して来ることでしょう。

その提案に管理組合が従わなければ、他の方法で管理費用の節減を図ることとなります。その内容次第では、長い間に資産価値の下落につながらないとも限らないのです。

◆「賃貸比率」が高くないか?
国土交通省の2012年調査によれば、賃貸比率0%のマンションは約10%、20%以下は約18%、20%以上が約60%もあるのだそうです。

一方、管理組合が抱えるトラブルの第1位は、①「居住者間の行為・マナーをめぐるもの」が55.9%と最も多く、次いで②「建物の不具合に係るもの」が31.0%、③「費用負担に係るものが28.0%」となっています。

「賃貸比率の高さ」と「居住者間の行為・マナーをめぐるトラブル」との関連は同調査にはないのですが、想像に難くありません。

◆「大規模修繕の履歴」をチェックしましょう
仲介業者に頼んで管理会社から「修繕履歴」を取り寄せましょう。小修繕から大規模修繕まで、できるだけ細部に渡っての記録を欲しいと言ってみましょう。それが何を意味するかはお分かりいただけることと思います。

◆「修繕積立金の残高」もチェックを
積立金残高が潤沢にあれば、着実に必要な改修工事を実行できるわけですが、潤沢かどうかの判断は簡単ではありません。過去に何もしなかったために多額に残ったのかもしれないからです。

大事なことは、適切な時期に適切な修繕を実施して来たかどうかにあります。工事履歴のチェックの方が大事です。しかし、その上で潤沢な残高があるとすれば、良い管理を成し得ることは確かです。

・・・・・より詳細は2016/7/20の記事「中古マンション見学。管理状態はこうしてチェックする」をご高覧いただきたいと思います。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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