「便利で環境も良い」は両立しない

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンションの価値を大きく左右するのは「立地条件」ですが、一言で表せば「便利で環境の良い場所」がマンションの価値を上げます。誰でも、この二つを願望として、あるいは条件として携えながらマンション探しをしているはずです。

しかし、この抽象的な「便利で環境が良い」という願望は、東京圏では中々厳しい目標です。

便利さを求めると環境が悪く、環境を優先すると不便といったように、この二つの条件は二律背反と言えるもので、両立しにくいのが現実です。

では、どちらを優先すべきなのでしょうか?今日は、この問題を考えてみようと思います。

●あちら立てればこちら立たず

関西に行くと、いつも驚かされことがあります。大阪市中心部に電車で30分圏内の便利な場所に、緑濃い住環境をいただいたマンションが多数あるからです。1か所や2か所の特異な街の話ではないのです。
大阪府下の「豊中市」と「吹田市」にまたがる千里ニュータウンという街の名前、もしくは千里中央という駅名をお聞きになったことがあると思いますが、ここは将に便利で環境が良いの代表的な街です。
兵庫の神戸市や芦屋市、西宮市といった都市の中には、大阪都心に至近でありながら、すばらしい環境を備えた街が目白押しにあるのです。

それらの街のマンションが、平均的なサラリーマンが届く価格帯なので、東京の人は二度びっくりすることでしょう。

翻って、東京で同じような環境の街を探すと、どこも都心へ60分圏と、関西に比べて随分と遠いなと改めて感じます。
住んでみたい街のランキングで常に一番の吉祥寺なども、新宿副都心ならまだしも、もっと都心となると通勤時間は優に60分かかってしまいます。

60分ならまだいい方で、90分を要する通勤者も首都圏には少なくありません。

3.11地震以来、帰宅難民になりたくないからと、絶対距離でも職場に近い街でマンション探しに忙殺される人に遭遇します。ご相談者のことですが、悩むポイントの多くは、便利さと環境の良さが両立しないことにあります。

環境の良さを求めれば、駅から遠かったり、近くても駅そのものが都心から離れてしまったり、利便性だけを求めれば環境は二の次のようになってしまい、どちらも良さそうな物件は予算から遠く離れた価格であったりします。

東京には、駅から近くて環境の良い街もたくさんありますが、そこに開発されるマンションは、高級・高額マンションばかりで庶民が届く価格ではありません。
平均的なサラリーマンの予算で考えると、結局は利便か環境か、どちらかの条件に目をつぶらざるを得ないのが現実です。

●例外的な大規模再開発マンション

都心へのアクセスがよく、かつ最寄駅にも近いうえに環境も整備された美麗都市と言えば、大規模な駅前再開発が施工中の街が浮かびます。説明の必要はないと思いますが、バランス良く配置された公園や遊歩道、街路樹などが安全と潤いをもたらします。

また、これら公開スペースが、建設される複数のマンション間に適度な距離が保たれ、プライバシーと日当たりを提供します。

既存の街中に単独開発されるマンションのように、隣地に将来建つ建物による影響を心配しないですむ安心感があるわけです。

最近の駅前再開発例では、武蔵小杉駅が代表格でしょうか。しかし、武蔵小杉駅は必ずしも都心に近いとは言えません。

では、都心にもう少し近いエリアではどうでしょうか?
先ず、山手線の大崎駅が挙げられます。同、目黒駅も来年から一部で着工されると言います。

湾岸エリアに目を転じると、有明北や築地新市場、新豊洲といった地区で、都心に近く便利で環境も良い街が造られようとしています。

こうした大規模な再開発プロジェクトは、将に例外的な「利便と好環境」を両立させた住宅を提供するものです。

ところが、こうした物件には価格が高いという恨みがあります。望んでも得られない二律背反の条件を兼ね備えた物件だから高くて当然と言ってしまえば、うなづくしかないのですが、開発途上であっても、これらの物件価格は既に高騰し、手の届きにくいレベルで分譲されています。
武蔵小杉などは、都心並みの価格になっているほどです。

結局、予算がそこへ届かない人は、やはり「利便」か「環境」かの二者択一を強いられてしまうのでしょうか?

●郊外の駅前再開発マンションはどうか?

価格の安さでは、東京都市部や埼玉県、千葉県の郊外都市で開発工事中の駅前再開発マンションが注目されます。

なるほど駅前だから、便利であることは間違いありません。大型SCも同時に出店して利便を高める計画も少なくありません。

しかし、東京都心へのアクセスという観点では、かなり厳しい駅ばかりです。

つまり、「環境」は良くても「利便性」には疑問符が付くのです。もう少し絶対距離で都心に近い場所が希望だという人にとっては、決断しにくい物件なのです。

●利便性が優先する

子育て世代にとっては、環境の良さが必須条件になることでしょう。従って、通勤便を犠牲にしてでも郊外マンションを選択するという人も少なくないのです。
郊外であれば、再開発がなくても、また駅から近い場所でも環境は悪くない。そのような判断をしているのでしょうか。

駅から3分、4分といった近さは無理でも、郊外都市なら10分以内に緑濃い環境の街がありますから、当然の選択となるのでしょう。

しかし、帰宅難民になれば家族の安否が気になってしまうことだろうから、やはり徒歩で2時間以内の場所にしておきたいなどと葛藤します。

結局、振り出しに戻ってしまい、再び探索の旅を続けることになるのです。

住まいには環境という条件が欠かせません。ゆえに、環境を無視して利便性優先の選択をしましょうなどと言う気はありません。

しかし、どちらが資産価値を決するかというと、東京圏居住者の価値観は「利便性」が勝るのです。従って、将来の売却価格を気にするなら、環境は二の次と考えるべきなのです。もちろん、何事も程度があることは言うまでもありません。

ところで、環境という言葉には広い意味があります。環境というのは、緑や自然という意味だけではありません。

郊外都市ほど環境が良くない都心、準都心でも、候補マンションの近辺を散策してみると、意外な発見があって、子育てに向かないと思っていた街が魅力的な街に見える場合があるものです。

ある知人は、ボクシングジムを発見して子供を通わせようと思ったと語ってくれました。また、女の子を持つ主婦はダンス教室を偶然見つけ、子供と一緒に見学しているうちに購入の決心をしたというエピソードを聞いたことがあります。

また、小さな公園や区の運動場などを使って子供を遊ばせるという都心のある保育園の活動をテレビで見て、どこでも大丈夫と感じたというご相談者の声もありました。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

このように「利便性」を先ずは動かぬ条件と定め、環境は探検して良さを探すこと。これが、マンション探しのコツかもしれません。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

★三井健太のマンション相談室は、マンション購入のお悩みにお答えするサイトです。
★「無料の未公開情報」や「マンションWEB講座」など、お役立ち情報も多数掲載されています。

<<<追伸>>>
「三井健太のマンション相談室」では、マンションの基礎知識を分かりやすく解説した「WEB講座」を公開しています。「地震関連の講座」、「マンションの遮音性」、「新築と中古マンションの対比」、「こんな失敗こんな失敗」など全部で2013年10月現在75講座あり、お好きな講座・興味ある講座のみを拾い読みすることが可能です。
最新のNO.75は「不動産に掘り出し物はあるか?」です。是非ご利用ください。