注意したい小学校までの距離表示

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

とかくトラブルの種であった不動産の誇大広告は、各種法的規制や業界の自主的なルールによって、新築マンションに限り完全に消滅していると言って過言ではありません。しかし、注意しなければならないものもあります。

●不動産広告のルール
不動産広告は「宅地建物取引業法」と「不当景品類及び不当表示防止法」によって、誇大広告などの不当表示が禁止されています。
「最大規模」「最高級」「日本初」など、客観的根拠がないにもかかわらずメリットを断定したり、「当社だけ」「格安」「今だけの厳選物件」など実際より有利であるかのように誤解させたりする表示を広告上に使用することを禁じているのです。「値上がり確実」「高利回り間違いない」なども含まれます。

不動産の広告に関する不動産業界が自らの約束事を定め、政府(公正取引委員会)が正式に認定したものを「不動産の表示に関する公正競争規約」と言いますが、不動産業界では一般に「表示規約」または「広告規約」と呼んでいるもので上記のような細部を定めています。

この規約が最初に作られたのは昭和38年のことであり、その後、10回以上も改正されて、不動産の広告に関する最も詳細な規制として、不動産会社に広く遵守されています。
この表示規約の改正作業や、広告の監視、表示規約に違反した不動産会社への警告などを行なっているのは、全国各地に設立されている「不動産公正取引協議会」です。業界では単に「公取」と呼んでいます。

●誤解されやすい「距離表示」
広告規約の中には、ご承知の方も多いと思いますが、距離を時間で表わすとき、「1分=80メートル」というのがあります。〇〇駅から現地まで〇〇メートルと表示するのではなく、徒歩〇〇分やバスで〇〇分などと表示するのが一般的ですが、その際の換算基準を定めているわけです。
歩く速さは人によって違うわけで、早足の人なら3分で到達する場所が、遅い人は5分かかることがあります。駆け足なら2分かもしれません。このような曖昧さを明確にするルールであるわけです。

起点や歩くコースがどこかでも実際の時間距離が随分違うな、と感じるケースがあります。何番出口からだと5分だけど、別の出口からは8分ということがありますし、裏道のようなコースを辿って行けば10分で、大通りだけを通れば15分という例も少なくはありません。

また、500戸以上もある団地マンションの場合は、団地入口までは5分だが、買おうとしている棟の入り口までは10分というケースも実際にたくさん存在します。
道に勾配がある場合も、表示と実際に歩いた印象、あるいは計測時間が異なってきます。
初めて歩く道は実際より遠く感じるものでもあるでしょう。

いずれにしても、これらの表示はルール違反というわけではないのです。売主によっては、「団地入口まで〇〇分」や「最短コースを通った場合」などと断り書きしている例も見られますから、実際に歩いて見て表示と大きく異なるからと目くじらを立てる前に、よく確認をしておいた方が良い点です。広告の中にある文字は小さい場合が多く、気付かないこともあるのですが。

●小学生の子供がいる人は要注意
問題は小学校への距離です。表示では、これも80メートルを1分で計算しています。しかし、学校へ通うのは子供です。80メートルを1分のスピードで歩く子は少ないでしょう。東京都区内ではまず見当たりませんが、郊外マンションでは、指定区域の小学校まで徒歩20分などというケースがあります。これは実際に歩くと子供なら30分はかかる場合が多いと考えられます。
不動産広告を見るのは大人ですから、親は子に置き換えて判断する必要があります。

都市化が現在のように進んでいなかった昔は、学校まで30分もかかる通学路を道草しながら自然とのふれあいを楽しんだものでしたが、今日はそういうこともほとんどないでしょう。交通事故に遭わないか、犯罪に遭わないかなどの心配をしなければならないことも多いだけに、親の心理は「より近く」というもの。

広告やパンフレットに小学校まで10分とあったら、20分はかかると思うべきですし、実際に学校まで子供と一緒に歩いてみることをお勧めしておきたいと思います。まだ子供のいない新婚さんも他人事(ひとごと)と思わずに注意しましょう。

・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ

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