第632回 当分は賃貸という選択の是非

このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

・負担が少ない社宅家賃制度に甘えてマイホームを買いそびれたXさん。

・実家から通勤していたが、結婚を機に別世帯になった。家賃が勿体ないから、親がどこか買いなさい。資金援助もすると言われて物色中のXさん。

・会社の家賃補助は大きいが期限付き。その期限が2年後に迫っているからそれまでには買いたいというZさん。

・会社補助がないので、家賃がもったいないから早く買ってしまいたいと物色中のQさん。

 

様々な事情が個人ごとにあります。今日は、家賃負担が少ないので買う気になれない。老後のためにはどこかで買う必要があるのかもしれないが、まだ永住先を考える年でもないし、買ったとしても永住することはないと思う。10年くらいしか住むつもりがないなら、賃貸でいいのではないか・・・・先日このような考えを持っている人にお会いしました。

 

その考えが正しいかどうかを確認したかったための面談でした。その方は「決断を先延ばしにしているだけかもしれないのですが」とこぼし、迷っていることが明らかでした。

 

今日は、「当分は賃貸でもいいかな」という考えの人や、マンション購入のエネルギーを失いかけている人へ筆者の考えをお届けしようと思います。

 

●住宅ローンの返済に慣れる

実家から通勤している人は、家賃負担がないので経済的には楽なはずです。そんな人が家を出て一人暮らしをするとなれば、お小遣いが減って大変と思うのでしょうか。何しろワンルームを借りても、都心なら10万円もしてしまうのですから。

 

ある知人は、同居する子供に「家賃を払わせていた」と語ります。その金は息子名義の貯金にしていたそうで、後に息子が家を買うときの頭金になったと聞きました。

 

会社が家賃を半分とか8割とか負担してくれているような場合、その分を払ったつもりで親に預けて積み立ててもらうとしたら、多額の預貯金ができていいのではないかと思いますが、そういう話は聞いたことがありません。

 

よく、「何とかしたつもり」で貯める「つもり貯金」という貯蓄の方法を聞きますが、成功した人はいるのでしょうか?あまりいないのではないかと想像します。誰かに強制されないとできないのが貯蓄というものだということも聞きます。

 

一方、筆者の友人で自動車メーカーに勤め、長く中近東と東南アジアの駐在員であった男が、海外にいると金を使うことがないと言っていたことを思い出します。彼は、タイの支店長か営業所長かのとき、一時帰国して現地の生活について語ったのですが、家賃はただだし、生活雑貨や消耗品の類は日本より廉価なので、生活費はかからない。海外赴任手当ももらえるから、どんどん貯まるのだと嬉しそうに語っていました。この分だと帰国してマンションを買うのも難しくないとも。

 

友人のような人は数少なく、国内で勤務する多くの日本人は、所得があればあったで消費します。そう言えば、我が家は筆者も妻も貯蓄は得意なタイプではなかったと汗顔の思いがあります。贅沢は敵だという発想はなく、仕事をしてたくさん稼いでたくさん使う。金は使うためにあるのだなどと思っていたものです。

 

今でも年中無休で1日15時間も働くことを厭わない筆者ですが、若いころは働いた時間に比例して収入も増えることを実感して来ました。しかし、貯蓄残高という物差しでは全く自慢できるレベルにはなかったのです。

ただ、自宅を含めて不動産を複数所有したおかげで、最初はローンがあるので正味資産はしれていたものの、いつの間にかローンが減って資産が増えました。ただいまの残高はいくらと記帳をすれば出て来る銀行預金と違って、長い時間をおかないと残高が分からないのが不動産です。残高が分からないため、「ほったらかし」で忘れているからです。

 

結局、ローンを払うくせがつき、それを引いた残りの所得で普段の生活設計をすることになります。そうした方が、結果的に堅実というか、質素というか、長期的に見て老後安心の暮らしを実現できるのではないかと思います。

 

●マンション購入の住宅ローンは貯金のようなもの

マンションを買うとき住宅ローンを組むのが普通です。そのローンはいやでも払わなければなりません。

 

返済が進むと、フルローンで買ったマンションでも、そのローンもいつか半分に減って、仮に25%値下がりしても正味資産は25%分残るのですから、払った金(返済した分と金利)の大部分は貨幣から不動産に形を変えていることになります。

 

目減りした分は家賃だったと思えばいいのです。物件選びの上手な人は、購入額と変わらない額で売却ができるかもしれません。としたら、残債が半分に減ったときに手にするキャッシュはどんでもなく大きな額となるのです。今の金利なら10年経過で25%は残債が減ります。これは35年ローンの場合ですが、25年なら10年経過で40%も減るのです。減った分が貯蓄残高というわけです。

 

●恵まれすぎて不幸になることも

転勤が頻繁にある会社、転勤の多い部署または役職というのが今もあるのでしょうか?最近、老後は東京のどこかで家を買って暮らしたいと思っていたが、購入チャンスがなく50代半ばになってしまったと悔やむ人にお会いしました。

転勤はもうなさそうなので、落ち着き先を考えることができるようになったが、希望するエリアに購入することは難しいと分かり、どうしたものかと思い悩んでいたのです。Aさんとしましょう。

 

事情を聞いて、筆者は「お気の毒と思いますが、次善の策を一緒に考えましょう」というほかありませんしたが、Aさんは、頭金はびっくりするほど多かったものの、住宅ローンの年限から予算は大きく組めないのです。

「贅沢な暮らしをして来たつもりはないのですが、こんなにマンション価格が上がるとは思いませんでした」とAさんは嘆いたのです。

 

そう言えば、「新幹線に追いつく自転車はない」という標語を昔聞いたことがありました。不動産の値上がりスピードが速すぎて、いくら節約しても貯蓄は追い付かないという意味だったと思います。「だから、借金してでも早く買ってしまった方がいい」と、そのような教訓だったのです。

 

Aさんは、チャンスがなかったということでしたが、家賃がただ同然の、恵まれた会社に在籍していたことが仇になったとは言えないでしょうか?

 

一方で、可処分所得が少なく贅沢はできなかったが、マイホームを二度も買い替えてローンも定年までに終わる予定のBさんという人がいます。Bさんは、二度目の住み替えの際に元の家は売らずに賃貸中です。間もなくローンも完済するので、家賃収入が年金のように入って来るというのです。

 

Aさんは、狭い社宅暮らしを長く家族に強いたのことも悔やまれるとも述懐していました。おまけに、やっと落ち着けると思ったマイホームを希望地域には買えないAさん。家賃ゼロという恵まれすぎた環境にあったために、人生後半で不幸なことになるかもしれないのです。Bさんとは対照的です。

 

●買って貸す(住まない)という道もある

恵まれた境遇に置かれると、人間はそこに安住するものです。しかし、そんな会社に入ったことを嘆く必要はありません。早い段階から資産形成に励みたいなら、とにかくマンションを購入することです。

 

税金のこととか、高利のアパートローンでなく住宅ローンを利用する方法とか、研究テーマは残りますが、買ったら貸すという策も検討したらいいでしょう。

 

ずるい方法と嫌悪感を覚える人、不動産投資をしてはいけないという就業規則がある人なら別ですが、そうでないなら家賃補助の好待遇に甘えつつ、将来のためにマイホームを確保しておくというのは悪いことではないと思います。

 

家賃収入がそっくりローン返済に回って追加負担がないものを選び、かつ、いざとなったら自分たちが住むこともできる、そんな物件が良いでしょう。

ただし、どこかで売却して新たに購入する家の資金に充当するという場合も想定しておくことが大事です。そのための条件としては、立地の良い物件を選ぶことが重要です。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。(http://www.syuppanservice.com

 

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