東京で都心に住む魅力を深読みする

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

地震や集中豪雨によって交通機関が一時的に運転を停止。1、2年に一度くらい起きる現象です。
2011年は3.11震災の他に台風の直撃で、首都圏の交通がマヒ状態になりました。
駅では運転再開を待つ人たちでごった返し、混乱が起こりました。3.11のときは、私鉄の一部や地下鉄が深夜までに再開しましたが、JRは翌日の復旧となったのです。
その後の調査によれば、帰宅までに要した平均時間は8時間を超えたそうです。3時間も歩いて帰宅した人もあったとか。勤務先近くのホテルに泊まった人もあったようですし、都心の大学や寺社などが用意した臨時の宿泊所を利用した人も多数あったと報告されました。2011年は、「帰宅困難」が2度も話題になった特別な年になりました。

JR東日本は今回のことを教訓に、東京都区内の主要な駅に帰宅困難者用に貸し出す毛布や飲料水の備蓄を始めるようです。民間企業各社は、それぞれに対策を採り始めました。
しかし、もし貴方の家が歩いて帰る距離にあれば、こうした災害時にも帰宅難民にならなくてすみます。
最悪でも歩いて帰ることができる距離とは、一般に2時間程度が限界と言われます。距離にしたら8キロから10キロといったところですね。自転車通勤が震災以後は増加しているそうですが、自転車ならもう少し離れていてもOKということになりそうです。
そのような職住近接の住まいを持つことが無理な場合は、家族それぞれが安全な場所に留まるという方法もあるわけですし、安心なエリアに安全な家を選び、家族間で非常時の連絡方法や行動ルールを決めておけば、災害時に大きな問題になることはないと思います。

ともあれ、都心居住を一度真剣に考えてみるのも悪くはないでしょう。
2011年9月30日のブログで「親子3人が都心の1LDKに住む発想」について書きましたが、広さを犠牲にしても都心の魅力を選択する価値はどこにあるのか、あらためて検証してみました。

都心居住には災害時の歩いて帰ることができるメリットがあるわけですが、それ以外のメリットを「都心居住を楽しむ」ことに視点を置いて考えてみました。
以下、10項目に整理することができそうです。

(1)職住近接は時間が有効に使えるメリットが大きい
通勤時間が必ずしも無駄とは断定できませんが、身動きできないほど混雑した電車の中でやれることは限られてしまいます。
郊外に家があると、ラッシュを避けて早めに家を出ることにもなるのでしょう。そのために睡眠時間が短くなっている人は少なくないはずです。
ドア・ツ―・ドアで90分くらいは当たり前の首都圏ですが、もしこれが片道30分以内に短縮できたらどうなるでしょうか?
往復2時間分が浮きます。これを何に充てるかは人それぞれですが、帰宅時間が1時間早まることで、子供と接する時間に使える人も多いのではないでしょうか?
また、英会話スクールの早朝レッスンに通えるかもしれません。新聞をじっくり読む時間に充てたりすることも可能になるはずです。
(2)“痛勤”地獄を味わうことが少ないので肉体的にラク
通勤時間が短くなれば、その分「地獄の通勤ラッシュ」に身をゆだねる時間も短くなるでしょう。健康のためにジョギングしながらの通勤も不可能ではないかもしれませんね。
(3)東京は世界一旨い店が多い
外食は楽しいものですが、郊外に住んでしまうと時計を気にしてしまうことや、家族と一緒にというのが難しいものです。この点からも都心居住のメリットは大きいでしょう。
しかも深夜も利用できる店がとても多いのが何とも素晴らしい。
東京は「ミシュランガイド」に載る星付きレストランの数が世界で一番多く、パリの64店、ニューヨークの57店、ロンドンの49店に比べ、何と238店もあるとモノの本にありました。都内各所に有名・無名合わせ「旨い店」がたくさんあるのは、食通に限らず魅力が大きいのではないでしょうか?
(4)東京は芸術に触れる機会が多い
東京には美術館や博物館が100以上あると言われています。これら常設の展示以外にデパートなどで行なわれる展覧会、イベントは年中どこかで開催されています。
(5)東京は街歩きが楽しい
NHKの夜の「プラタモリ」でタレントのタモリさんが紹介する番組や、民放番組では地井武雄さんが歩く「ちい散歩」を持ち出す迄もなく、東京には都内に住んでいる人でも知らない隠れた名所や歴史に触れられる場所・施設が多数存在します。
それこそ目的地を決めずに普段は通らない裏道などをプラリ歩くだけで楽しい発見があり、心和むものが多い。これも東京の魅力です。
(6)東京は新旧の見どころ満載の街だ
東京には歴史を語る名所旧跡や寺、神社もありますが、ウォーターフロントを代表に、新しい見どころが次々に誕生しています。再開発も各所で活発なので、生まれ変わった街を覗く楽しみも格別なものがあります。
また、各国の大使館も都心には多く、建物に興味のある人はこれを巡るだけでも楽しいものです。外国の文化を垣間見ることもできるでしょう。
(7)東京は緑が意外に多い
東京は他の先進国に比べて緑がとても少ないと言われていた時代がありました。今は統計的な比較でどうなっているか知りませんが、都区内を移動して感じることは「緑が多いなあ」ということです。
皇居や明治神宮、新宿御苑、青山霊園、代々木公園、日比谷公園、小石川後楽園、上野恩師公園といった誰でも知っている広大な緑の場所だけではなく、住宅街を少し歩くと公園があり、神社にぶつかります。また、大規模なホテルには広大な緑の空間があって、心を穏やかにしてくれます。
これらの多くが昔ながらの自然林ではなく人工的なものであるにせよ、長い間に樹木が成長して鬱蒼とした森になったところも都心にはたくさんあります。遠くまで出かけなくても、散策するだけでも心が洗われる公園は都心に数多く存在するのです。
(8)学校が多く教育環境の整った東京都
多くを語る必要はないでしょう。私立の学校、インターナショナルスクール、進学塾、習い事教室などが数も種類も豊富に揃っているのも子育て世代には魅力ですね。
また、行政サービス面にも魅力がありそうです。因みに、「出産助成金」や「子供の医療費補助」などは、他の自治体より東京都は充実していると言われます。
(9)医療機関が充実していて安心
これもご承知のことですが、専門病院からクリニックまで、また診療科目においても心療内科などのメンタルケアの専門医が都心には多く集まっています。
(10)マンションは高く貸せて高く売れるのが都心
最後は、何といっても住宅の資産価値の高さの魅力です。購入するときも高いですが、何年か経って売却するとき、買値を上回る金額になる例は少なくないのです。
転居にあたり、売却せず賃貸しておきたいという場合でも、その賃料は非常に高く、貸し手を十分満足させるレベルです。
これは逆に言えば、住み替えがとてもしやすいことを意味しているのです。

―――以上が東京都心の魅力です。その中に住む、もしくは可能な限り都心近くに住む。一度考えてみてはいかがでしょうか?

・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ

★2011年10月30日WEB講座が更新されました
相談室サイトの「三井健太のマンション講座」に、以下の新タイトルが追加になっています。ご興味のある方は、覗いてみてください。
講座NO.55「住んで気付くダメ間取り
マンションの間取りは、こうありたいというものがあっても、法的な規制や事業採算の都合などから理想通りにならないばかりか、短所・デメリットの解消ができないままで世に送られています。
これは事業者や設計士の努力不足だけではなく、「宿命的なもの」である場合が多く見られます。
ダメ間取りが何故できてしまうのかが明らかになっています。
理由はともかく、マンションとはそういうものだと知っておくのも悪くはありません。