住宅ローン控除の勘違い

7月のこと、都内の某マンションが発売され、その動向が注目されていたが、立地条件の良さから、第1期110戸の即日完売を達成した。おおかたの予想通りではあった。
 こうした好調マンションの事例は、ここのところ増えているが、その背景には低金利、住宅税制の軽減措置があることに加え、景気の先行きに薄明かりが見えてきたこともあるようだ。

 まだまだ本格回復には遠いが、業界関係者の顔には安堵感も幾分見られる。

さて、好調を支える要因になっている税制だが、その一つに「住宅ローン減税」がある。住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した人は、ローンの年末残高の1%に当たる金額が、10年間に亘り、所得税から控除されるというもの。所得控除ではなく税額控除なので、計算がしやすい。
 10年間の合計で500万円までと多額である。
 但し、勘違いしてはいけない。納めている税金が少ない人は控除される金額も少ないので、みんながみんな
500万円になるのではないのだ。
 マンション販売の広告には、「最高500万円の税金が戻る」と大きく謳っているが、単純平均で年間50万円も還付される人は、年収の高い人である。先ずは、自分の年収、すなわち、年間にどれだけ税金を納付しているかを、源泉徴収票などでチェックしてみる必要がある。

 今年のローン残高が3千万円とした場合、1%の控除だから30万円が戻るわけだが、年収500万円以下では、大抵の人が30万円も納税していない。せいぜい20数万円のはず。とすれば、単純に見ても10年間合計では300万円に届かないことになる。
 しかし、仮に年間24万円が還付されるとしたら、毎月2万円だから、それだけで管理費分は賄える勘定になる。やはり買い手にとっては大きい。それが10年も続くというこただと、踏ん切りをつけやすくなるのは間違いないだろう。
 来年入居の場合には、控除額の10年合計が最大400万円に減るが、心配は無用。もともと300万円の控除額の人には影響ない。従って、その面からも今年中の入居を急ぐことはなく、例えば来春完成のマンションでも問題ないのである。
 
 今後、気を付けたいのは、価格動向である。バブル後の急落から価格安定時期を経て3年前に再び価格は上昇した。その後、今日まで下落してきたが、それも短期間で終わりそうである。
 市場が活気を帯びて来ると、土地の仕入れが活発になり、条件の良い土地ほど奪い合う格好になって地価上昇に向かう。今のところ、その兆しはないが、1年くらい先にはマンション用地が高騰し、その後(つまり今日から1年半か~2年後)にマンション価格の上昇局面がやって来る。

 しかし、前々回くらいにも書いたが、買い時はいつかなどと深読みなどしないで、無理なく支払えるローンで買えるなら、いつでも、買いたいと思った、その時が買い時なのである。そのことを忘れるべきではない。

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