中古マンションは売れるか?

マンションの価格を継続的に調査しているという会社が東京には複数あるが、それらの会社による調査データを見て、「やはり」と気付くものがある。
 それは、新築マンション対中古マンションの価格差である。
 地域ごとに、販売された新築価格と取引された中古価格を対比したもので、結論だけを言うと、①「都心のマンションは、中古になっても値段が新築に対して極端に値下がりしないが、郊外ほど短時間に下落してしまう」、②「東京の人気スポットは、新築並みか、それ以上の中古マンションも多い」、③「郊外(=東京都以外)でも、人気地区や話題の街は値下がりしにくい」、④「人気エリアとは言い難いが、東京の下町にも新築マンションの供給が少ない地区で新築並みの中古相場を形成している所がある」といった点である。

 こうした数字を見て、直ぐに言いたくなるのは、郊外マンションや不人気地区のマンションを買おうとしている人たちに対し、将来をよく考えてからお買いなさいという点だ。
 
 もし、不都合が起きて売却するときが来たらどうするか。逆に言えば、20年以上は売却しなくてすむないような買い物かどうかを、よく吟味してから選ぶことが大切だということ。
 例えば、子育て期間は郊外に住み、子供が大きくなったら都心に近い場所に移るという計画を10年くらいの短い期間で実現したい人は、要注意である。そのとき、誰だって少しでも高く売りたいはずだが、現状の傾向が続くとしたら、郊外マンションは新築価格に対して半値くらいになってしまうと覚悟しなければならない。
 そうなると、売るに売れない人も多いはず。なぜなら、住宅ローンがまだほとんど残っているからで、売却にあたっては、預貯金を取り崩すなどして銀行に返済する必要が起こるからだ。
 10年で売却が困難と分かり、そこで諦めるとしよう。そこから10年(つまり20年)先、ローンも6割残くらいに減っているので今度は大丈夫かと調べてみると、価格は更に下落しており、売却にあたっては、そこでもいくらかの持ち出しが必要になってしまう。
 そのとき、もし預貯金を崩すことができないとしたら、結局ローンの完済まで住み続けることが必要になるかもしれない。そのときの年齢は?もう、そのままそこに死ぬまで住むということになる。自分の寿命はまだ先なのに、マンションの寿命はどうなのか。維持管理がきちんと行われていればいいが。
 何より、家に縛られた人生になってしまうかもしれないことが気になる。それでも、あなたは郊外マンションを買いますか?希望する値段で売れないときは、次善の策として、親族(子供世帯など)に貸す、第3者に賃貸するなどを検討することになる。その途があるなら、それもよしだが。
 
 今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。  三井健太
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